帰省中ということで地元のお話を。。。
地元の知り合いで、小さい頃から非常によくしてもらっているお金持ちのおばちゃんがいるのですが、以前帰省した時に新しくマンションを建てるという話をしていたので(僕は買えないので)面白いなと思って色々話を聞いていました。
で、その話を聞いた率直な感想は、「それはやめた方がいいだろう」です(笑)
おばちゃんがマンションを建てると決めた一番のきっかけは「その話を持ってきてくれた人は信頼できる」だそう。
一応話を聞いた上で僕は(パッと手に入るものではありますが)数値を見せてやめた方がいいのではという話をしたのですが、人に対する信頼は無機質な「数値」よりもはるかに強いらしく、結局マンションを建てることにするそうです。
数値に基づくアドバイスは聞かないとなると、僕ができるアドバイスはないので、あとは単純に「マンションを建てる人のロジックはどういうものなのか」ということと、「地方都市でのマンションの営業マンの売り込みロジックはどういうものなのか」という二点に絞られたため、ほぼインタビューみたいな形で色々な話を聞いていました。
おばちゃんの話を聞いて一番強く感じたことは、数値云々の前に、「相対化」するという概念がないのだということです。
例えば、僕は高校卒業と共に関西に引っ越し、滋賀県の草津市と京都市にそれぞれ同じくらいの長さ住んでいたので、地方都市の浜松市、都心に近い草津市、観光地の京都市の「土地勘」のようなものがあります。
人が流入する街のイメージと、人が流出する街のイメージが身体感覚として感じます。
だからこそ、マンションを建てるという話を聞いた時に僕の頭にはマンションを建てる/建てないという軸の他に、縦軸として人口流出都市/人口流入都市というものが出てきて、4象限で考えてしまいうわけです。
で、比較したいから数値を調べて納得するということになる。
一方でおばちゃんは生まれも育ちも生粋の浜松市民。
外に住んだことはありません。
だから、他の都市と比較するという視点がないわけです(それが悪いという訳ではななく)。
おばちゃんの話を聞いていると、浜松市の人口というパイ自体が減っていくという「視点」がありません。
浜松市という(地方の)中心都市には70〜80万人の人がいて、彼らに対して魅力的(=新しい)マンションを建てて提供するといった感じでした。
なんていうか、遊園地に新しいアトラクションを増設するようなイメージが近いのかなと思います。
増設したらそりゃ利用者増えるじゃん!という感じ(笑)
そもそも遊園地自体の集客が減っていくという想定をしていないわけです。
遊園地の例になぞらえるのなら、地元を離れて数年かを過ごした人は、いわば別の遊園地を知った状態です。
例えば生まれてこの方浜名湖パルパル(僕の地元の遊園地)しか行ったことがない人にとっては、確かにそこは面白い場所なのですが、ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンを見てしまったら、「それと比較して」という視点が生まれるはずです。
(もちろんこれは浜名湖パルパルがつまらないという話ではないです。)
僕は地元が嫌いではないですし、面白ところもたくさんあると思っていますが、同時に頭には常に「今住んでいる京都と比較したらどうだろう」という視点があります。
浜松市の人口推移を見ると、この30年で2/3まで落ち込むというデータが出ています。
これは全国の平均と同じ水準。
東京や大阪のように殆ど人口が減らない地域もある中で全国平均と同じというのは、地方にしては頑張っているということではあるのですが、絶対値として減っている中で立地的に優位性のない場所にマンションを建てるのはやはり悪手だと思います。
何より、「浜松は都市だ」と周囲の地域と比較してそう認識してしまっているおばちゃん(とそう説得している営業マン)の視点がヤバい。
ミクロな地域での人口の奪い合いでうまくいける規模と、そんなんではどうしようもない規模があると思うのですが、マンションに関しては明らかに後者です。
タイタニックの中で生き残ることができる場所を探しても、その船自体が沈んだら意味がないよねというお話。
(ただこの辺は市区町村別に分けた分析をしたときの人口の推移を見た訳ではないので断言できませんが。もし浜松市の人口が3/2になっても、その区の人口増加率が2/3以上ならまだいいかもしれませ)
という訳で、おばちゃんのマンションの話を聞いていろいろ気づきがありました。
そもそも国語の先生がマンションについて語るのもおかしな話ですが(笑)
(もちろんそういう断りと、素人意見という前置きはしました)
アイキャッチは上念司さんのこの本。
こんなん貼ったら大工の棟梁だったじいちなんに怒られる(笑)