天童よしみ「美しい昔」考察〜世界のために命を捧げる「英雄」の恋人は幸せか?〜
世界を救うために命を捧げようと覚悟した男がいたとして、それを見送る恋人はどんな気持ちなのだろう?
小さい頃、12時まで起きていようと何度も目を擦りながら見ていた紅白歌合戦。
そこで流れて未だに忘れられない曲があります。
それが天童よしみさんの歌った『美しい昔』という曲。
当時の僕には歌詞の意味なんて分かるはずもないし、そもそも演歌歌手に興味もなかったのですが、この曲だけはずんと響いてテレビに噛りついてしまったことを今でも覚えています。
『美しい昔』という曲は、もともとベトナムの反戦歌で、元々はカーン・リーさんが歌っていた曲を日本語訳にした曲です。
(当然当時の僕はそんなことを知る由もありません)
その時は「好きな男の人に新しい人ができておいていかれたことを歌った歌詞」程度にしか思えなかったのですが、声のトーンや表情から何かただならぬものを感じ、その印象のおかげでずっと僕の記憶の片隅に眠っていました。
それをこの前15年ぶりくらいにこの曲を偶然聞く機会があり、その時に始めて歌詞の意味が分かって(少なくとも今の僕の思考が及ぶ範囲で)、改めて衝撃を受けました。
※以下は個人の勝手な解釈なので、もちろん違う解釈、「正しい」解釈があることは分かっています。それぞれの解釈がある場合は是非ご自分のブログ・SNSでご主張下さい。
<赤い地の果てにあなたの知らない愛があることを教えたのは誰?>
当時、小学生か中学生だった僕には、これが「恋人に置いていかれた人」に感じたわけです(笑)
今ならば「赤い地」も「あなたの知らない愛」の何を指しているか分かります。
そして「赤」というモチーフから共産主義の側であると考えられます。
そして、その「地の果て」にある「あなたの知らない愛」とは、共産主義で疲弊した国とは違うシステムで動く社会(資本主義)と捉えるのが妥当でしょう。
この歌の主人公は「あなた」の恋人で、その恋人は自分の住む国の現状を憂い、同時に海外にはずっと豊かな世界が広がっている。だからその自由を国民のために勝ち取るんだと奮起した英雄くらいに捉えると歌詞がすっと入ってくるように思います。
そして、そんな自由があることを「教えたのは誰?」と言う。
明らかに主人公は「あなた」がそれに向かって突き進むことを望んでいません。
冒頭に僕は「世界を救うために命を捧げようと覚悟した男がいたとして、それを見送る恋人はどんな気持ちなのだろう?」と書きましたが、この曲はそんな「英雄」を愛する人の気持ちを歌った歌だと思うのです。
<風の便りなの 人のうわさなの 愛を知らないで いてくれたならば>
続くこの歌詞に「愛を知らないでいてくれたならば」と言っています。
どうやってそのことを知ったのかは分からないけれど、あなたがこの世界のどこかに、今の暮らしとは違う、もっと豊かな世界が広がっているということを知ってしまったせいで、あなたは命を危険に晒している。
そんなことまでしなければいけないのなら、いっそこのままの方がいい。
そんな主人公の気持ちが感じられます。
そしてサビに続きます。
<私は今もあなたのそばで生命続くまで夢みてたのに。>
僕はこのサビの部分で使われる「夢」という言葉が、この歌を読み解くための一番のポイントであると思っています。
まず、主人公にとっての「現実」とは何かを考えると、それは「愛」を求めたせいで「あなた」がいなくなってしまったという状態です。
ということはここの「夢」はあなたとの幸せな生活のこと。
もちろんここでいう「幸せ」とは、自由を勝ち取った豊かな生活という意味ではありません。
本当は辛いし、場合によっては虐げられているのかもしれないけれど、一応「あなた」が側にいるという外の世界を知らない時に持っていた「幸せ」のこと。
仮に本当はそれが「幸せ」でないのであるとしても、それを手にするために「あなた」が犠牲になるのなら、私は仮の幸せでもいい。
そんな気持ちがあるから、ここでは「夢みてたのに」と表現されているのだと思います。
そして歌詞は<今は地の果てに愛を求めて 雨に誘われて消えてゆくあなた>と続きます。
ここでの雨は「戦火」のメタファーとして捉えるのが適当でしょう。
自由のために戦いに向かってしまう恋人を思う主人公の気持ちが表れています。
2番のAメロは<来る日も来る日も雨は降り続く お寺の屋根にも 果てしない道にも>と始まります。
「ずっと降り続く雨」の描写からは、先ほども書いたとおり、「戦火」が想像されます。
お寺にも道にも毎日戦争で火の粉が振り落ちてくる。
そんな終わることのない戦争の悲惨さがここから伝わってきます。
また、「止まない雨」を裏返せば太陽の見えない空と捉えることもでき、それは「希望の見えない毎日」を憂う気持ちにも取ることができます。
自分たちが信じる仏にも、未来を暗示する「果てしない道」にも雨が降り続く。
これは、まったく未来に希望を持てない主人公の内面を表現しているのではないかというのが僕の解釈。
この辺は人により意見が異なると思います。
<青空待たずに花は萎れて ひとつまたひとつ道に倒れて行く>
おそらくこの部分は前の歌詞を受けて、戦地に住む人々がひとりまたひとりと無くなっていく様を描いているのだと思いますが、ここで僕が気になるのは「折れる」でも「枯れる」でもなく「萎れる」と表現されている点です。
「萎れる」というのは外部の手によって命が絶たれるというわけではありません。
僕にはどちらかというと初めは持っていた希望を信じることができず、心が折れてしまう様子に感じました。
初めは「本当の自由」が手に入るという期待を持っていたのだけれど、先の見えない戦いに疲弊し、はじめに抱いた希望もとうに消えかけている。
そんなニュアンスが漂います。
そして2番のサビに。
<誰が誰が雨を降らせるのよ この空にいつまでもいつまでも>
「誰が雨を降らせる」という表現には結末はどうでもいいから早くこの毎日が終わって欲しいという気持ちが伺えます。
そして「雨が降るならいっそ思い出全て流して欲しい」と続きます。
そして最後は1番のサビの繰り返しで終わり。
僕はこの歌を改めて聞いた時、いつ手に入るかも分からない、またどんなものかも分からない「理想」を手にするためにこんな苦しみが続くくらいなら、あの時のままがよかったと思う、「英雄」を愛する人の悲痛な気持ちが書かれている曲であると感じました。
もちろん、歴史の上から振り返ってみればそういう「英雄」のおかげで今の世界があるのだから、「あなた」のやったことは正しいし、「あなた」は偉大だということになるのは分かります。
でも、その人を待つ人の気持ちになったり、そんな何年も先の本当の幸せよりも目の前の不幸が少しでも減ることを望む主人公のような気持ちも確かにその通りだと思うのです。
タイトルの「美しい昔」とは、あなたが「愛」(本当の自由や幸せ)を知らず、苦しいけれど戦時中よりはマシだった世界に戻りたいという主人公(に乗せた作詞者)の市民レベルの「当たり前」の気持ちを表したものであるように思います。
戦いの結果や、後から振り返ったら分からない、戦火に苦しむ人とっての「正しさ」はあまり歴史の教科書には表れません。
そんな声を感じるからこそ(当時は意味なんてほとんど分かりませんでしたが)この曲が印象に残っていたように思います。
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イケメンの研究②「イケメン」と「モテ」の関係を考える
皆さんは「雰囲気イケメン」と聞いて誰の顔が思い浮かびますか。
有名な俳優さん?お笑い芸人のあの人?新進気鋭のあの研究者?それとも友人のA君?
僕は勝手に雰囲気イケメンの代表を星野源さんだと思っているのですが(笑)、皆さんの頭にも誰かしら浮かんでいるのではないでしょうか。
「雰囲気イケメン」と聞いて、パッと具体的な人物が思い浮かぶ一方で、「じゃあ雰囲気イケメン」とはどういった人のことを指すのかと言われると、なかなか言語化するのが難しいところだと思います。
そこで、「イケメンの研究」をするにあたって、まずは「雰囲気イケメン」の定義をしていくことにします。
「イケメン」とは何か?
「イケメンの定義は?」と聞かれて真っ先に浮かぶのは「モテる!」というものだと思います。
ここでは、この「イケメン=モテる人」という「直感的な」イケメンの定義を採用していきたいと思います。
ただし、「イケメン=モテる人」というと、きっと「そんなにカッコよくないけれどモテている人もいっぱいいる」という反論が返ってくることでしょう。
確かに、カッコよくないのにモテる人もいます。
カッコよくないのにモテる人というのは、真の意味でのイケメン(端正な顔立ち)という意味の規準には漏れるけれど明らかにモテている人という意味。
つまり、ここに該当する人こそが「雰囲気イケメン」ということになるのです。
以降、僕はイケメンという言葉を「モテる人」という意味で用い、そこには整った顔立ちである「真の意味でのイケメン」と「雰囲気イケメン」の両方が含まれるという前提で話を進めていきますので、皆さんもこの前提を共有していただけたらと思います。
「イケメン」と「モテる」を定義する
さて、イケメンの定義を「モテる人」とする場合、「モテる」という言葉の使い方も共有しておかなければなりません。
はたして「モテる」とはどういう状態なのか?
僕はこの「モテる」という言葉の定義に関しては、評論家の岡田斗司夫さんの「不特定多数の異性から行為を抱かれることである」というのが最も的確に「モテる」という現象を表しているように思います。
『うる星やつら』の諸星あたるや『いちご100%』の真中くんみたいな状態です(笑)
おそらくこの辺のラインが一般的に「モテる」という言葉を聞いて思い浮かべる状態なのではないかと思います。
また、「不特定多数の異性から行為を抱かれる」というモテラインの他に、僕は「向こうから好意を抱かれるほどではないが、こちらから積極的にアプローチをかければ食事くらいなら断られない」という「準モテライン」も今後のイケメンの分析をするにあたって一つの指標になります。
そのため、こちらも合わせて定義していこうと思います。
「イケメン」ラインと「準イケメン」ライン
「モテ」というのが「不特定多数の異性から行為を抱かれる」状態、「準モテ」が「向こうから好意を抱かれるほどではないが、こちらから積極的にアプローチをかければ食事くらいなら断られない」状態であるとして、実際にそこに該当するのはどういった要素を持つ人で、全体の何%ぐらいなのでしょうか。
僕は雰囲気イケメンの分析をするにあたり、モテの要素を下の図のように①顔面整度と②他者意識の2つにわけ、それぞれ100点ずつの持ち点であるとしました。
①の顔面整度とはどれくらい顔が整っているか、つまり「真の意味でのイケメン」を測る指標となります。
一方で②の他者意識とは、コミュニケーションにおいて、どれだけ相手のことを考えているかという度合いのことを指します。
ここは完全に僕の主観ですが、「真の意味でのイケメン」は顔面整度が90点以上の人のこと、モテは①顔面精度と②他者意識の合計が140点以上の人たちのこと(全体の30%くらいのイメージです)、準モテラインは①+②が100点を超える全体の50%ということにします。
上に書いた関数に沿ってみていくと、ⅰに該当するのが「真の意味でのイケメン」で、ⅱに該当するのが「雰囲気イケメン」。
また赤いラインよりも上が「モテる」人、黄色のライン以上が「準モテ」の人ということになります。
以上で、イケメンの分析をするのに必要となる言葉のだいたいの定義ができたとので、次以降のエントリで、これらを使ってイケメンについて考えていこうと思います。
イケメンの研究①プロローグ〜なぜイケメンは「イケメン」なのか
僕はイケメンが好きです。
というか、モテる男の人と他愛もない話で盛り上がるのが好きという方が正しいかもしれません。
(でないとあらぬ誤解を招く気が...笑)
僕は高校時代からなぜかずーーーっとイケメンの友達がたくさんいて、なぜか気が合い、イケメンの素に触れてきました。
自分でいうのもおかしな話ですが、女の人だったらむちゃくちゃ羨ましいポジションであったように思います(笑)
周りからモテて、いわゆるイケメンと呼ばれる男友達を「最前列」で見続けているうちにふと、僕は周りからイケメンと言われている人も、実は本当のイケメンは少ないのではないかと思うことがありました。
もちろん、平均と比べれば(それこそ僕なんかと比べたら)はるかにカッコいいのですが、写真や動画を通してしか知らないアイドルや俳優のような「イケメン」と比べると、そこまで超絶カッコいいという人は案外いないように思ったのです。
グループでわいわいやっている時は、テレビで見るカッコいい人たちよりもずっとイケメンに感じるのに、サシで冷静に顔を見る場合はわいわいしている時に感じたほどにはカッコよく見えない。
そんな感覚を何度も経験しているうちに、僕は「イケメンは振る舞いや言動で補正されるのではないか」という仮説を持つようになりました。
昔、学生時代のOB訪問会の時に話に来てくれていた、塾で働くおねーさんが、バイトでどんな人を採用するという質問に対して、少し考え込んだあとにボソッと「...イケメン」と答えて大爆笑が起こったことがありました。
その方は慌てて「あっ、雰囲気イケメンね!」と付け足していたのですが、初めのインパクトが強すぎて、教室はしばらくざわついたままでした。
周囲が「イケメン」という言葉につられる中、僕は「雰囲気イケメン」という言葉が気になり、その言葉を反芻していました。
「雰囲気イケメン」という言葉が、僕が周りの「イケメン」たちに感じた事にぴったり当てはまったからです。
僕の周りにいるイケメンたちは、カッコいいことは疑いようのない事実として、それ以上に立ち振る舞いや仕草、表情が圧倒的に「イケメン」だったのです。
みなさんも雰囲気イケメンと言われると、言葉ではどんな人か説明できなくても「あっ、◯◯君のことだ」と頭に浮かぶ人がいませんか?笑
「雰囲気イケメン」というパワーワードに出会ってから、僕は雰囲気イケメンの観察を始めました。
そもそも「イケメン」ってどんな人だろう?モテるとはどういうことか?みたいに、いろいろな観点から「雰囲気イケメン」について考えるうちに、僕の中でいくつもの仮説や説明ができてきました。
この「イケメンの研究」という連載もののエントリは、僕が雰囲気イケメンについて考える中で思いついた理論や仮説をまとめるためのものです。
例えばぽっちゃりした人は何故好印象なのかを説明した「レバレッジデブエフェクト」や、高校まではルックス=モテである場合が多い理由を説明した「イケメンタル補正」。
少女マンガに出てくるイケメンと少年漫画に出てくるイケメンとの比較や、そもそもの「モテる」という言葉はどういう状態を指すのか?
あるいは「同性に好かれるイケメンとは何か?」といったお話や金持ちバイアスの話やなどなど、「イケメン」を研究しようとした時に考えるべきトピックは枚挙に暇がありません。
こういった、現時点で僕が「イケメン」に対して考えた説明を1つ1つまとめていきたいと思います。
イケメンとは何か?モテとは何か?
その辺を、僕の膨大なフィールドワーク(笑)の末に得られた見地から考えてみたいと思います。
これ絶対友達が減る...笑
アイキャッチはイケメンで調べたら一番上に出てきたこの本
イケメンは、つくれる。: この物語の主人公「ユウキ」は、過去の僕の姿です。
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「勝てる」戦を探す力
もともと職場の近くに小さな薬局があったのですが、半年くらい前に近くに大手の薬局ができて、僕はどれくらい持つのか興味があって定期的に様子を見ていたのですが、今日見たらその薬局がつぶれていました。
いろいろと仮説がたったので備忘録を。。。
僕が大手薬局ができたときに面白いと思っていた最大の理由は周囲に他の薬局が全くない状態であったということがあります。
薬局という性質上置いている商品は大体同じなので、純粋に個人経営のお店の耐久力の観察ができると思っていたのです。
新しくできた方の薬局はそれほどセールも行っていなかったので、置いてある商品は殆ど同じで、規模は元からあった薬局の倍くらい。
基本的に商品が同じであればシェアはちょうど半分になり、かつ後からできた薬局(面倒なので元からあった薬局をA,後からできたものをBと呼びます)のほうが大きいので、理論的薬局Bのシェア(S)は100≧S≧50ということになります。
元々どれくらいの耐久力があったかは知りませんが、仮に薬局Aの利益の余裕が営業を続けるのに必要な額の倍以上でない限り、理論上絶対に経営が成り立ちません。
反対に薬局Bの場合は、たとえ店として利益を出すためには70%くらいのシェアをとらなければならなかったとしても、薬局Aの経営が成り立たなくなったらそのごシェアが全部取れるわけなので、どれだけ赤字を垂れ流していたとしてもいずれは「勝てる」勝負ということになります。
薬局Bができたとき、僕は思考実験として、どういうデータを取れば必ず「勝てる」と判断できるかということを考えていました。
で、もし僕がそこに出店するのなら、①その薬局の売り上げの推定値と②薬局を経営するのにかかる費用の概算値、そして③新しく店舗を置こうとしている貸し店舗の家賃を見るだろうという結論になりました。
大手の薬局であればさまざまな地域ごとの客単価みたいなデータを持っているはず。
あとは誰かがこっそり薬局Aの利用者数を数えればかなりの精度の売り上げ推定値が立つはずです。
次に、薬局Aを経営するコストですが、こちらも一度お店に出向き店員の数を把握し、不動産屋で隣の店舗の坪当たりの家賃を聞けば、こちらもかなりの精度で分かります。
そして①と②があれば薬局の余剰利益の概算も立ちます。
仮にその数値が運転費用の200%に達していなければ、先に書いたシェアの観点から費用を投入し続けさえすればいつかはそのお店を潰すことができるため、薬局Aの売り上げ推定値が薬局Bを運転するにあたり必要な費用を僅かでも超えていた場合、絶対に「勝てる」勝負といえるでしょう。
もちろんBは大手の薬局なので、専門のマーケッターがもっとずっと精緻な理論に基づいて「勝てる」と考えたからこそ出店したのだとは思いますが、そんな専門家でなく、素人目にも「勝てる」という計算が立ちます。
「勝てる」という計算は、僕がここ最近非常に興味を持っているテーマだったりします。
僕が「勝てる」と考えるのは大きく2種類で、一つは上に書いたように時間経過により相手に勝てるというパターン。
そしてもう一つが確率>50%の事象をひたすら繰り返すというパターン。
仮に得られる報酬が一回あたり0.1で、勝てる確率が51%であったとして、一回あたりの勝ちが小さいとして(あるいは時に負けが続くとしても)、1万回試行すれば([0.1報酬×10000回×51/100]-[0.1報酬×10000回×49/100])で20のプラスになるというように絶対に勝てます。
これがもう一つの僕が好きなパターン。
大きく勝てる事象は中々存在しませんが、非常に勝ち幅の薄い事象なら案外世の中に溢れています。
それをひとつひとつ収集しておくことで、長期的に見たときに、「何故か勝っている」と見えるような戦略になると思うのです。
理屈で「勝てるところ」を探して、ひたすらに気付かれないように差を積み上げていく。
これがここ最近、僕が特に意識している戦略だったりします。
久しぶりに書いたら文章がむちゃくちゃヘタクソになってしまった(笑)
アイキャッチは最近の大当たり「確率思考の戦略論」
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才能は「気づく」力ではないかということ
以前、とある番組でジブリのプロデューサーである鈴木敏夫さんが、宮崎駿監督の事を「あの人は分析が凄い」と言っていました。
例えば宮崎駿さん曰く、人のご飯の食べ方には①お椀を顔の方に近づけてくる人と、②顔を机のご飯に近づけて駆け込む人と、③お椀と顔を同時に近づけて行く人がいるのだそう。
言われてみれば確かにこの3パターンな気がします。
宮崎駿さんはこうした「日常の気づき」を絵に落とし込んでいくということです。
最近、「才能」の定義について、「他の人よりも細かな部分に気づくこと」ではないかと考えています。
上の宮崎駿さんの例であれば、人間の細かな動き一つ一つに気づけることが圧倒的な才能ということになります。
或いは人体には共通の比率やバランスがあるのではないかと「気づいた」レオナルド・ダヴィンチも、言語とは既にあるものに名前をつける行為ではなく名前をつけることで物が存在するのではということに「気づいた」ソシュールも、リンゴの落下する様から重力に「気がついた」ニュートンも、或いは平均律という波長の規則に気がついたバッハも、みんなその分野で卓越した観察眼を持ってきたように思うのです。
上にあげたような数世紀に1人生まれるか生まれないかの才能(気づける力)は普通の人にはそうそう備わっていないかもしれませんが、100人に1人くらいの倍率の「気づく」力ならば、ジャンルを問わず、どんな人でも何かしら備えているように思います。
もしかしたらそれが「人の髪の毛のパーマ具合の違いがわかる」とか、「人のまばたきのタイミングが正確に捉えられる」とか、全く役に立たないものかもしれません(笑)
(そういった能力でも使い方次第であるということをテーマにした「僕のヒーローアカデミア」がこの辺をテーマに扱っています)
ただ、何かしら人よりも敏感に「気づける」分野があり、それを自分で知っておくと、仕事探しでも趣味でも人付き合いでも、非常に有効であるように思うのです。
例えばお客さんのニーズに10000人に1人くらいのレベルで「気づける」のであれば、それはコンサルタントをすれば成功するかもしれません。
仮に100人に1人レベルのその能力を持っているとしたら営業マンをしたら優秀は成績を残すかもしれません。
或いは日頃道を歩いていて、やたらと広告のコピーの意図や機微に気がつくのであればコピーライターが向いているかもしれません。
僕の場合は受験勉強をしていたころから、ほんの少しだけ「参考書の行間の解説の足りなさ」に気づくことがあったので、それを理屈で補うということばかりをしていたら、結果的に今でも塾の先生をやっています。
これだって、一応は「気づく」力と言えます(ショボすぎて恥ずかしいですが...)。
自分の「気づける」力が何であるのかをリストアップして、それぞれを抽象化し、何かしらの仕事に役に立たないかを当てはめていって、それが役立ちそうな分野を見つけていく。
そうすると「やりたいこと」ではなく「向いていること」が見つかるような気がします。
よく、学校の大学選びに関する面談で「やりたいこと」ベースの進路相談を聞くのですが、こういう形で「向いていること」ベースの考えも大切だと思うのです。
そのためにもまずは「気づく」訓練をしなければなりません。
作家の円城塔さんが「道化師の蝶」の中で「思考の網」という言葉を使っていますが、まさにそもそも自分がどういった才能(「気づく」力)があるのかを知らなければなりません。
思考の網を細かくして、自分は何に「気づき」を得やすいのか。
その辺を知っておくということは、非常に重要であるように思います。
アイキャッチはマルコムグラッドウェルの「天才!」
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奨学金を受け取って積み立てに使ったらどうなるかという思考実験
僕は座右の銘として「ルールは絶対」というものを掲げています。
ただこれは、「絶対にルールは守るべき」というような、聖人君子のような観点から述べているものではありません。
むしろルールさえ絶対ならば、立場の弱い人でもそれを利用して逆転する可能性があるのではないかという面から掲げているものです。
ルールさえ変えられなければ、頭を使ってそれを利用すれば勝負を上手く運ぶことができるはず。
そんな打算的な視点から大切にしているのが僕のいうところの「ルールは絶対」だったりします。
で、そんな観点から色々な社会の仕組みをテーマに、僕はよく「思考実験」をするのですが、最近興味を持っている仕組みの1つに奨学金のシステムがあります。
以下は「あくま」で思考実験なので、ずるいみたいな道徳的判断は棚上げしてお読み下さい(笑)
もちろん生徒さんにそんなことは言いませんが、僕は基本的に奨学金とは、国が正式に定めたルールの上で運用されているシステムである以上、要件を満たす人は貰っておけばいいと思っています。
必要な人はともかく、必要もないのにそんな「借金」を背負ってどうするのみたいに思う人もいるかもしれませんが、僕はむしろ奨学金が必要ない人ほど(少なくとも無利子のものに関しては)要件を満たして貰えるのなら貰っておけばいいと思うのです。
(この辺が道徳的観点から話をする人には嫌悪されるところなのですが...)
仮に奨学金を毎月3万円もらったとして、それを全て年利3%積み立てに回すとします。
(年利3%はそれほど高いハードルではないはず...)
毎月3万円を4年続けたら複利込みで約152.7万円になります。
何もせずお金をもらっているだけで、約9万円の利益を得るわけです。
卒業旅行の費用の足しにはなるでしょう(笑)
また返済のことですが、この金額を借りたとしたら、大抵は月に約1万円×12年という返済プランになります。
仮に奨学金をもらっていない人が毎月1万円を積み立てていたら、負担額はほぼ同じ。
ここで、奨学金を借りてその額を運用に回していた人の場合と、社会人になってから毎日1万円を積み立てる人を比べてみましょう。
前者の奨学金を借りていた人は、すでに152.7万円のお金があります。
毎月の1万円は奨学金の返済に使われていくので元本はこれ以上増えません。
奨学金を返すまでの12年間、152.7万円のお金を利率3%で回すとします。
計算すると217.5万円、つまり65万円近くの利子を得られることになります。
一方で、社会人になってから、毎月1万円を12年間積み上げた場合をみてみます。
この場合では、12年×1万円 を3%の運用で、約30万の利益になります。
実質額は全く同じなのに、運用により得られる額は倍近く異なってきます。
もちろん、奨学金は金銭に余裕がないけれど学問に励みたいという人のための制度です。
ただ、その条件を満たしていて、支給されるのであれば(もちろん返済が前提です)、どんな人でも貰って構わないし、そのお金をどう使おうが構わないと思うのです。
少なくとも制度の上では「貰うに足る人」と認められているわけですから。
こういう、色々な制度に対してルールや仕組みをどう見るのかという思考実験は、むちゃくちゃ面白いように思います。
これを見て実際に試して見るのは勝手ですが、あくまでこれは僕の思考実験なので、実際に運用するのならくれぐれも自己責任でお願いします(笑)
アイキャッチは調べたら出てきたこの本(笑)
Dr.STONEとノアズノーツの企画を担当編集がどう通したか妄想する
今週号のジャンプで新連載として始まったノアズノーツという作品。
昨日の夜、仕事終わりにジャンプを買ってきて読んで以降、ずっとこの作品のことばかり考えるくらいにハマっています(笑)
歴史(というか考古学?)をテーマにした作品なのですが、歴史嫌いのヒロインがとあるきっかけで考古学と出会って(巻き込まれて)、そこからの展開がむちゃくちゃ面白いです。
内容に関して話したいことは山ほどあるのですが、昨日発売の作品について書いてしまったらネタバレになるので、あくまで内容ではなく、周辺で気になったことについての感想を書きたいと思います。
Dr.STONEと同じ担当編集者では?
僕がこの作品を読んだとき、内容よりもまず、担当編集者が誰なんだろうということに興味が行きました。
ノアズノーツを読んだ時に最初の印象は、この漫画は少し従来のジャンプマンガとは毛色が違うのではというものでした。
それまでのジャンプ作品では「友情・努力・勝利」は描かれるのだと思うのですが、「実用性」は意図的に排されてきたというのが僕の持論。
(メタ的なメッセージ性みたいなものはこれまでもありましたが)現実的な説教臭さはなく、純粋にワクワクできるというのが僕のジャンプに対するこれまでの印象です。
しかしノアズノーツでは、明らかに歴史嫌いのヒロインが登場し、その女の子が「歴史なんて学ぶ意味があるの?」といい、学校の先生はそれに対して凡庸な解答しかできないところに主人公が現れ、歴史の面白さや重要性を伝える。
明確に「歴史って楽しいよね」というメッセージが感じられるのです。
これと同じ印象をDr.STONEというマンガを読んだ時に持ちました。
Dr.STONEは「科学って面白い」というのを子どもたちに強烈に伝える作品になっています。
僕はDr.STONEがジャンプに連載された時に、新しい編集が加わったのかななんて思ったのですが、この作品からもそういう印象を受けました。
担当編集がどうやってノアズノーツとDr.STONEの企画を通したかを邪推する
以下は僕の完全なる妄想です(笑)
僕がノアズノーツとDr.STONEを読んですぐにハマった最大の原因は狙って当てにきている感じがしたからです。
狙ってというのは語弊があるかもしれません。
作者がその分野(Dr.STONEなら科学、ノアズノーツなら考古学)に興味があるのは当然ですが、それをウケるようにエンタメに昇華したという方が僕の印象に近い表現です。
で、そんな風にややもすれは説教臭くなりそうなテーマを子どもにウケるコンテンツに仕上げた裏には同じ担当編集がいるのではないかというのが僕の仮説です。
①エンタメに勉強の楽しさを織り込んだマンガがあればジャンプでヒットするのではないかという仮説を持った編集者(おそらく新しく配属になった人?)がいて、②元々科学や考古学というお堅い分野を書きたいマンガ家がいて、その人の企画を通して自分の仮説を実現するために③編集会議でロジック構築してねじ込んだ。
僕はそんな背景があったのではないかなあと思っていたりします(笑)
で、仮にそんなスーパー編集Aがいたとして、どんなロジックでこの企画を通したのかなということを、僕が勝手に予想(というか妄想)してみました。
ノアズノーツとDr.STONEを連載に持っていくにはどうしたらいいか会議(笑)
科学や考古学をはじめとする「役に立つ」或いは「勉強になる」テーマを選ぶというのは、ゼロ年代中頃位からの青年マンガの系譜だというのが僕の持論。
きっかけは『神の雫』あたりで、その辺から読むとちょっと得した感じになる業界知識が載っているマンガが増えたように思います。
(山田玲司先生の『アリエネ』は、実際にその手法を参考に美術ネタをふんだんに盛り込んで欲しいと言われたのだとか。)
僕は、上司にDr.STONEやノアズノーツの企画を通す時、こうした青年マンガでの成功メソッドを説明したのではないかと考えています。
しかし、これだけでは説得力がありません。
これだけでは「ジャンプ」で載せる理由にならないからです。
青年マンガでちょっとためになるマンガが流行っているというのなら、青年マンガでやればいい話ですし、そもそも子どもたちが説教臭いマンガを受け付けないだろうという意見に反論できません。
次に考えられるのは「ジャンプでなければならない」理由です。
僕はここに関して、マーケティング的な視点で説得したのではないかと思っています。
ジャンプの最大の強みは小学生〜高校生くらいがターゲットになっていること。
ここに対して「ちょっと役に立つ」マンガを打ち出した作品はこれまでなかったように思います。
単なる雑学や小難しい知識では子どもたちにはもちろんウケないけれど、身近なもの(=勉強)をおもしろおかしく扱ったら興味を引ける。
そんな主張をしたのかなと思います。
他にも今の出版不況を指摘して、いかに単行本が出た時に買ってもらえる作品にするかが重要。
手元に置いてもらうには読み返す価値のある内容にしなけらばならず、そのためには役に立つ情報が入っている必要があるみたいな主張や、子供が科学や歴史に関心を持つという評判になれば保護者の財布の紐も緩むだろうみたいな主張もあったのかなと思ったり思わなかったり。
そんな風に考え出すとアレコレ止まらなくなってしまう程度にこの2作品にはハマっています。
僕は性格上、今までと違うものを見たら、つい内容そのものよりも「なんでそんなものが生まれたのか」に興味がいっまうので、こんなよく分からない「妄想」をしてしまいましたが、そんな邪推を抜きにして、Dr.STONEもノアズノーツも純粋に面白い作品です。
(ノアズノーツは始まったばかりですが、絶対に面白くなるはずと思っています)
今後の展開が楽しみな作品ですので、興味がある方は是非読んで見て下さい!
※あくまで自分のブログで好き勝手妄想するのが今回のエントリのテーマなので、無粋なツッコミはご遠慮下さい。
(的外れなことは承知しています 笑)