新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



公募推薦やAO入試で落ちる子に抜けている、たった一つの「ある」視点

今年(17年)版として少し詳しく複数回に分けて書く予定です。

よかったらこちらもよろしくお願いします。

AO・推薦入試で周りに差をつける視点①受かる人は「顧客視点」と「コンセプト」がはっきりしている - 新・薄口コラム

 

少しずつ公募推薦やAO入試の募集やそのための説明会が始まってきました。
この時期になると、面接や小論文の相談をチラホラ受けます。
一応僕も塾の看板の元にお仕事をさせていただいている身なので、どうしても立場上教室では言いづらいようなことがあります。
それは当然入試に関しても。。。
ということで、推薦入試やAO入試の戦略について、あまり塾では言わない観点から考えてみたいと思います。
よく、面接や自己推薦書を書く際に、どのようなことを書いたらいいだろうという相談を受けるのですが、僕は大学によって求める人物像が違っているので一概には答えられないといいます。
因みにここでいう「求める人物像」というのは、いわゆる「自主性がある」とか「リーダーシップを持っている」とかいうことではありません。
もっとシビアな、学校側の事情に基づいた「求める生徒像」です。

僕は、大学側が推薦入試やAO入試といった入試形態をとる意図は、大きく2つあると考えています。
一つはより優秀な人材が他校に流れないように囲い込むために設定している場合で、もう一つは最終的に定員割れをしないために人員を確保するために設定している場合です。
前者のロジックで推薦入試やAO入試を行っている大学は、いわゆる人気校。
関東で言えばMARCHクラス以上大学や日東駒専、関西なら関関同立、産近仏龍あたりの大学でしょう。
これらの有名大学は放っておいても一定以上の受験者が来ます。
だから、推薦入試やAO入試で取ろうとする人材は、一般入試ならばより上位の学校に流れてしまうような優秀な生徒か、中国語が出来るとか部活動で優秀な成績を収めたとかの一芸に秀でた生徒さんになるわけです。
それに対して、後者のロジック(一定の定員を取り合えず確保したい学校)で公募推薦やO入試を設定している大学も少なからずあります。
もちろんそんなことを公にいうわけがありませんが、学校が入学者の授業料によってなりたっており、それを管理する入試課というものが設定されている以上、そこに一定のノルマがあり、それを達成したいという方向に当事者が動くのは明らかでしょう。

優秀な人材が欲しいという理由で設置した推薦入試と、一定数の生徒を確保したいという理由で設定した推薦入試とでは、合格基準が異なるのは当然です。
優秀な人が欲しいと考える学校が期待するのは、他生徒よりも明らかに優秀とわかる実績や態度です。
だから、こうした学校を狙うのであれば、学業でお部活動でもプライベートでもいいですが、いかに他の生徒と比べ秀でた結果を残しているかをアピールすることが重要に鳴ってきます。
「部活動でチーム一丸となって頑張りました」みたいなことではなく、「個人で全国大会優勝です」みたいな方が響くはず。
それに対して、一定数の定員を確保したいと思っている学校は少し違います。
こうした学校の入試課の担当者が求めている生徒像を想像してみましょう。
彼らにとって一番避けたいのは、入学させたはいいけれど留年したり退学してしまったりすることです。
そうなると選定の基準には少なからず、「入学したらキチンと授業に出席する」だとか「絶対に学校を止めないだろう」という部分になってくるはず。
先にあげた学校では有効であった個人の著しい成果よりも、この子は卒業まできっと学校に通ってくれるだろうなという安心感が、面接官には響くようになるのです。
こうした意図を汲んだ上で有効な面接でのアピールポイントは、仮に結果がでていなくても何かに取り組んできたという「継続力」や「何事にも努力する」という姿勢です。
優秀な人を求めている学校に対して「努力が~」などといっても何もプラス点にはなりませんし、逆に定員を確保したい学校に対して結果ばかりアピールしても「才能はあるけど辞めるかもしれない不安感が拭えない」とかだったらやはり好印象にはなりえません。
自分が志望する学校がどちらに属していて、そして自分にはその点でアピールし得るポイントがあるのかどうか。
そこを考えることが重要です。
面接や志望動機の書き方において一番重要なことは、相手が求めていることと自分の持っているエピソードにおいて、どの程度弁図的な重なりがあるかを考えることなのです。
そこをせずに自分の言いたいことばかりを伝えても、他と差別化は出来ませんし、100%学校に併せた模範解答をしたところで、やはり差別化にはなりません。
面接の練習や文章に起こしたりする前に、まず自分と学校の接点を探す。
これが非常に重要になってくるのです。

 

アイキャッチは大学入試にロジックを持ち込んだドラゴン桜

 

ドラゴン桜(1) (モーニング KC)

ドラゴン桜(1) (モーニング KC)

 

 

 

9月から過去問演習をしなければいけないと焦っている人への処方箋

例えば今あなたがポケモンをやっていて、いよいよ四天王に挑もうというまさにその直前だとします。
主力ポケモンの平均レベルは30。
さて、みなさんなら次のどちらを選ぶでしょうか?
①手持ちポケモンの並び順や技の出し方を変えて四天王に勝てるまで挑み続ける
②少し前のフィールドに戻って手持ちポケモンのレベルを上げる

3年生の9月も終わりに差し掛かると、とにかく過去問演習に取り掛かる人がいます。
もちろんそれまでのしっかりとした下積みがあるのならそれで構いませんが、(正直なところ)夏休みまでロクに勉強もしておらず、まだ十分に知識も入っていないにも関わらず過去問演習に取り掛かるという人がいます。
もちろん過去問を繰り返せば点数は上がりますが、それは「ある仕組み」があるからです。
この時期に焦って過去問に手をつけると、思わぬ落とし穴にはまることがあるので注意が必要です。

過去問演習を有意義なものにするには、そもそも過去問演習という勉強がどういった行為であるのかをしっかりと理解しておかなければなりません。
勉強には知識を頭に定着させるものと、頭の中の知識を使いこなす勉強の2つがあります。
過去問演習は明らかに後者の勉強です。
いくら過去問を解いたところで、(気休め程度の定着はあるものの)基本的に実力は伸びません。
「それでも過去問を解くうちに点数が伸びてきたんだけど、、」
こんな反論がるかもしれません。
過去問を解くうちに点数が伸びるのは、問題に慣れることによって、今持っている自分の知識量のMAXに近いところまで引き出すことができるようになるからです。
それなら過去問を解けばいいじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、ここで一つ、大事な視点があります。
それは、「そもそも現在の実力を100%引き出せば志望校に受かるのかどうか」ということです。
もちろん、今ある実力を全て出したら受かるだけの知識量に達している人ならばなにも問題ありません。
しかし、まだまだ自分の受かりたい大学に自分の知識量が達していないという場合はどうでしょう。
仮に過去問演習によって100%の実力を引き出せるようになったとしても、結局合格には手が届きません。
そもそも自分の実力が志望校に達していない場合、過去問演習をしたとしても、最終的に合格できるラインには到達しないのです。

「そんなこと言ったって時間が...」
まだ過去問演習をしたところで受かる実力が備わっていないから知識を定着させようというと、必ず上のように「間に合わない」ということを口にする人がいます。
もちろん、程度にもよりますがこの時期に基礎の定着をやっていては間に合わなくなる可能性はあります。
しかし、それなら過去問演習をひたすらすれば間に合うのでしょうか?
「今更基礎をやっても間に合わないから過去問演習をする」という因果関係は間違えです。
正しい事実認識は「今更基礎をやっていたら間に合わないかもしれないけれど、今過去問演習を始めたら100%届かない」です。
焦って過去問演習に手をつける人の多くは、今更基礎をやったときに間に合わなくなる可能性については考えているのですが、知識の足りない状況で過去問演習をした場合の合格可能性に意識が及んでいません。
仮に今から基礎をやったとして合格できる可能性が30%であったとしましょう。
この数値だけみたら、このやり方は取らないと思います。
しかし、今から過去問演習を始めた場合の合格可能性が5%であれば話は変わってきます。
5%を取るくらいなら、30%の確率を選んだほうが、「まだ」受かる可能性は高いのです。

「間に合わないかもしれない」のと、「間に合っても届かない」のとなら、冷静にみたら前者を選びますよね。
これはちょうど、冒頭で書いたポケモンの例と同じです。
多分、ポケモンであればほとんどの人が上の状況で一旦引いてレベル上げをするという行為を選ぶはずです。
受験勉強と全く同じ。
今の実力をフルで出せたとしても受かる水準に達していないのであれば、どんなに過去問を解いたところで受かる実力には達しません。
それならば間に合わないかもしれないけれど、レベル上げしようよと、そんな風に思うのです。
過去問演習をすると、確かに受かれそうな気がします。
しかし、この「気がする」が最も怖いのです。
フィーリングではなく論理で合格する筋道を考える。
闇雲に過去問演習をしている人がいたら、この視点が非常に大切です。


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ビジネスマンの基礎知識としての損得計算入門

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