僕は基本的にテレビを見ず、コンセントも入れてないため、ただただ毎月NHKの受信料が発生するだけの負債としての役割しかなかったのですが、最近久しぶりにテレビをつけています。
といっても週に一度だけ(笑)
今クールで始まった「逃げるは恥だが役に立つ」。
テレビドラマなんて久しく見ていなかったのですが、久しぶりに大ハマりをしてしまいました。
ハマったらどんどんのめり込むタイプのなので、ドラマを見てソッコー原作マンガを購入。
原作マンガもやはり期待を裏切りません。
東村アキコ先生の結婚できない女性を描いた「東京タラレバ娘」が掲載される講談社の雑誌Kissに連載しているため、それと比較したり、所々で感じるさくらももこメソッドを追いかけたりと、あれこれ考えて読んでしまったのですが、「逃げ恥」(タイトルが長すぎるので省略させて下さい...)を読んで一番最初に浮かんだのは、椎名軽穂先生の「君に届け」でした。
「逃げ恥」って、(契約とはいえ)結婚している2人の模様を描いているので風早くんと爽子の関係とは違うようにも見えるのですが、主人公みくりとその夫津崎の少しずつ近づいていく様は、ちょうど君に届けのそれと重なります。
「君に届け」の大人版っていうのが、僕の第一印象でした。
風早くんと爽子の場合は、お互いに気にしあっていて、周りの助けの中で少しずつ近づき付き合い始めるわけですが、逃げ恥の場合はこれの真逆をいきます。
始めに恋愛感情ではなく仕事として結婚した2人が、少しずつお互いが気になり始めて近づいていく。
つまり、みくりと津崎は夫婦から少しずつ恋人になっていくわけです。
仕事として付き合っているときは様々なことを割り切っていたのだけれど、恋人として意識するようになって、ちょっとしたことでも気になってしまうようになる。
ちょっとしたことでギクシャクしてしまう。
そんなところも、ただのクラスメイトだった2人が近づくにつれちょっとしたことで心が揺れ動く君に届けの風早くんと爽子の関係に似ています。
そんなところからも大人版「君に届け」だなあと思うわけです。
このマンガを読んでいて感じたことがもう一つあります。
それは、登場人物がいちいち全員頭がいいということです。
主人公のみくりも夫の津崎も、そして2人を取り囲む多くの人がみんな深い考察をします。
単に2人の恋愛を描くのではなく、所々で労働ってなんだろう?幸せの形は何なのだろう?ということを登場人物たちが考えるんですよね。
みくりと津崎の恋愛を見届けたい人にはもしかしたらそれがノイズになってしまうのかとも思いましたが、個人的には登場人物たちが不意にこうした「哲学的な問い」に思考を傾けることで、それぞれのキャラクターの考え方が厚くなっていって、面白いなあと感じています。
大抵の場合、原作マンガが面白ければ面白いほど、ドラマはイマイチになってしまうのですが、「逃げ恥」に関してはそうはなっていません。
僕はマンガを読んでからドラマに入ったのですが、一話目を見たときに相当読み込んで作られているなという印象を受けました。
前でも少し触れましたが、このマンガには所々でギャグ混じりの心の声のようなさくらももこさんの作品的なタッチや、マンガや番組のパロディのような挿入が出てきます。
あの手の演出は、マンガならではの面白さであって、映像にしたら繋がらないのではないかと思っていたのですが、その辺りのチューニングが非常に上手くなされています。
また、話を濃密にするために、話が進むうちに出てきた場面を一話に挟んできたりというところも、非常に上手く感じました。
相当読み込んで、整合性を意識して脚本にされているんだなあと、素人の僕でも分かるようなうまさです。
原作の面白さを活かす脚本に、とどめは主演のガッキーの踊る恋ダンス。
YouTubeで再生回数が非常に伸びているということですが、その辺のネットでバズらせる戦略もちゃっかり盛り込まれています。
そもそも、「逃げるは恥だが役に立つ」というタイトルも人を惹きつけるものになっています。
コピーライトやウェブ戦略といった、この辺のマーケティングも含めて面白いと思いドラマです。
1・2話目に入れられた原作にはない場面を見る限り、後半は原作と違ったものになりそう(原作もまだ連載中です)ですが、僕の予想している限りではきっと、ドラマらしいいいラストになるのではないかと思っています。
(その辺の予想に関しては寄稿依頼をもらった記事に書いたので、アップしたらまたそちらも載せたいと思います)
というわけで僕が今クールオススメする「逃げるは恥だが役に立つ」。
是非是非見てください!
なんと電子版一巻は無料!