新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



3.頭(こうべ)と稲穂

今月頭に水を引かれた家の前の水田の水面から緑色の稲が顔を出してきた。 これから夏にかけ真っ直ぐと葉を伸ばし、秋になる頃には豊富な実をつける。 稲穂は実るほどに頭を垂れた形になる。 若いころは曲がることなく真っ直ぐに成長し、やがて頭を自然と下げられるようになる。 その姿はどこか人の生き様に重なる。 古いことわざにそんな人と稲穂を重ねて描いたものがある。 「実るほど頭が低くなる稲穂かな」 蛇足だが解説をつけるとしたら、稲穂が豊満になるほど頭を垂れる稲穂のように人間も知識を身につければ身に着けるほど腰が自然と低くなるものだという意味だろう。 経営の神様といわれる松下幸之助氏はこのことわざを挙げて社員をこう諭している。 「実りとともに自然と頭が下がる稲穂と同様に、人間も見識や教養を身に着けたものは自然と頭を下げられるようになるものなのだ。」 「自然と」の一言に氏の人となりがうかがえる。 松下氏は一貫して社員・お客様を思い続けてきた。 その謙虚な姿勢は稲穂に勝るとも劣らずといえる。 社会的な地位を得たものは、傲慢になるのが世の常の中で氏の姿勢は我々も見習わなければならないと思う。 特に政(まつりごと)に関わる者には今一度「実るほど」の句を戒めて貰いたい。 先日の裁判で一応の無罪判決が出た小沢氏、某お笑い芸人の母親を生活保護の不正受給として鬼の首を取ったかのように話した片山議員、日本の政治家の方々は知識の実りの割に頭は高いように思えてならない。 自分の足場を固める事の大切さもわからないでもないが、もう少しばかり謙虚で寛容な姿勢を見せてほしいと思う。 若いうちの野心的な成長はいいが、権力という実りを手にしたベテラン層はもうそろそろ頭を垂れる余裕を見せて欲しい。 晩年の松下幸之助氏は次世代のリーダーを育成する場として松下政経塾を開設した。 氏が政経塾で教えたかったことは「実るほど頭が低くなる稲穂かな」の言葉から滲む精神ではないのだろうか。 今の実るほどに幅を利かせる政治家を見たらきっと苦虫を噛み潰したような顔をすることだろう。