新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



16.影響と継承

小説や漫画などジャンルを問わず、物語を楽しむ中で過去の作品の「香」に出会ったとき妙なうれしさを感じる。

橋本紡さんの小説「九つの、物語」(集英社)の中に印象的な台詞がある。

「食べてみないと分からないなんて、まるで人生みたいじゃないか。この料理を作るたび、あるいは食べるたび、そういうことを思い出す。実に素晴らしい。しょせんはトマトスパゲティだからなにかを入れすぎても、そこそこおいしくできるんだ。ほら、それもまたじんせいみたいだろう。」

この一節を読んだとき、私の頭には1994年公開のアメリカ映画「フォレスト・ガンプ/一期一会」が浮かんだ。
この映画のキャッチコピーは、作中でも象徴的な役割を果たす「人生はチョコレートの箱、開けてみるまで分からない」という言葉だ。

心なしか「九つの、物語」の台詞に似ているように感じる。
もちろんそれを元に橋本氏の小説を盗作などというために指摘したのではない。
むしろそこに名作の命が時代を超えて受け継がれているように感じたから紹介させていただいた。

フォレストガンプ」にちなんでもう2作ほど紹介したい作品がある。
岸本斉史さんの漫画「NARUTO」と、原作稲垣理一郎さんによる漫画「アイシールド21」である。
NARUTOに登場する人より劣る体術だけをひたすら極める努力の天才ロック・リーとアイシールド21の主人公で、小さいころからいじめられっ子でパシリにされていたのがきっかけでアメリカンフットボール選手に目覚めた小早川セナが「フォレストガンプ」の主人公に重なる。

フォレストガンプの主人公も先に挙げた両者と同じような境遇の少年だった。
主人公は知能指数が低く、足に矯正器をつけた少年だった。
その身の上から幼少期に周りの同級生にいじめられていた。
その主人公がいじめっ子に追いかけられている際にアメリカンフットボールの会場に乱入する。
そのときに脚力を認められアメフトの選手となる。
そしてその生真面目な性格から成功を掴んでいく事となる。

「ロック・リー」も「小早川セナ」もその人となりがフォレストガンプに似ている。

こうした繋がりを作者が意図的に込めたのか無意識的に反映されているのかは分からない。
だが「フォレストガンプ/一期一会」が発表された当時、三者がちょうど青春を謳歌していた年齢であることを考えれば、なんらかの影響を受けていると推測することはできる。

偶然でも必然でも、こうして過去の名作の命が新たな作品に引き継がれていることに気付いたとき、何とも言えない嬉しい気持ちになる。

時が流れ、「NARUTO」や「アイシールド21」に引き継がれた生命が次の作品に伝わった時に出会う瞬間を楽しみに待ちたいと思う。