5.進歩と暴走
ドラゴンボールに出てくる、身体の細胞が一部でもあれば蘇るセル。
タケコプターをはじめ未来の道具でのび太を助けるドラえもん。
どちらも優秀な科学者が生み出した設定だ。
90年代、両者が世間に出てきた当初「復活する細胞」と「タケコプター」を比べ、一体誰が「復活する細胞の方が先に生まれるなどと予想できただろう。
先日IPS細胞のマウス実験において、人の肝臓を作り出すことに成功したとのニュースが流れた。
まだマウスでの研究段階ではあるが、今後の臓器復元の可能性に大きな光が指した。
ドラゴンボールのセルとドラえもんのどちらが先に生まれるかという点では鳥山明氏が藤子不二雄氏に勝利したといえる。
だが、ネコ型ロボットの今後の機関部分を担うであろう人工知能も負けてはいない。
人工知能に関する研究は、現在驚くべきスピードで成果をあげている。
「どこでもドア」は難しいかもしれないが、遠くない将来「未来猫」は誕生するかもしれない。
人体機能を人工的に作り出し、脳までも人工的に作り出すことが可能になれば、それはいよいよ神にとって変わることとなる。
身体も脳も自らの手で作り上げる事ができる様になった時、我々は次は何に手を出すのだろうか。
技術の進歩から生まれる恩恵への百の期待の裏側で、一抹の不安を抱えずにはいられない。