新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



マンガ読解法3ONE PIECE〜絵と物語の関係〜

NARUTOONE PIECEって、ちょうど僕くらいの世代(小学生の時にあの二作が始まった)にとって、ジャンプの2大看板みたいな印象です。
かれこれ10年以上、ランキング順にならぶ、ジャンプの冒頭に君臨し続けてるって、よく考えたら凄いこと。

僕の印象ではあの二作って、度々人気が入れ替わったりしながら現在まで続いている気がします。
昔はNARUTOONE PIECEの人気を抜く事も。。。


でも最近って、なんとなくONE PIECEが独り勝ちみたいな気がします。
だいぶNARUTOが押され気味。

今までのストーリーや、構成はそんなに違わない様に思うんです。
(頂上決戦したり、ライバル登場したり、時間が飛んだり、主人公より強い敵が沢山でてきたり)

それでもここまで差が出てきたのは、(もちろん絵って人もいるかもしれませんが)ディテールの設計や見せ方によるものが多いと思うんですよね。

マンガの見せ方と、世界観の点から両者を比較してみます。

まず見せ方について。。。
作品のどこをウリにしようとしているかという点において、ONE PIECENARUTOは明確に路線が分かれています。
ストーリーが全面にくるONE PIECEと、絵の構図で魅せたいNARUTOと言ったイメージ。
ここでいう「絵で魅せる」っていうのは、絵が上手いという意味ではありません(もちろん下手だとは思いませんが)。
そうじゃなくってコマ割りの仕方や、コマのアングルにこだわっているという意味での「絵で魅せる」です。

NARUTOって特に50巻位から、やたらとコマ割りが映画的になってきている気がするんですよね。
敵目線の視界と味方目線の視界が戦いの「間」として入ってきたり、数コマごとに心情の絵を入れて心理変化を表したり。

すごくうまいなって思うと同時に、どうしてもページ数が取られて、ストーリーの進行が遅れてしまうんですよね。
だからジャンプで読むライトユーザーには間延びして見えてしまう。
(BLEACHほどじゃないですが(笑))


ONE PIECEはあくまでもストーリー重視のイメージです。
若干頂上決戦編で間延びした気もしますが、それでもストーリーを魅せるための絵作りなので、ダレた印象を読者にあまり与えません。
(モネvsゾロとかの戦いもサッと一話で終わらせてます)

NARUTOがコマ割りやカットを意識して映画的に見えるのに対して、ONE PIECEはどこまでもマンガとしての表現にこだわっているんですよね。


宗教観を挙げてみたいと思います。
ONE PIECEって、首尾一貫してキリスト教の価値観に基づいた物語の設計になっています。

その代表がブルックの能力の設定。
死ぬと抜けた魂が再びカラダに戻る「ヨミヨミの実」の能力。
あれって、キリスト教の死生観じゃなければ、絶対に生まれてこない概念なんですよね。


仏教の考え方では魂は死んだら他の生き物として生まれ変わる。
イスラム教では死んだ魂は終末の日まで浮遊し続ける。

キリスト教だけが、死を肉体と魂が離れた状態と定義しているため、ブルックのようなキャラクター設定が生まれるんですよね。
(因みに産まれるとは、魂が体という器に宿ること。)
Body&Soulの考え方です。

もう一つ、設定に凝ってるなって思ったのは「鐘」の描き方。
空島のシャンディアの鐘です。

あの鐘が地上から離れた高い位置にある事も興味深かったです。
僕らが普段身近に感じるのはお寺や神社の鐘。
あの鐘って、境内で聞こえることを目的に作ってあるので、置いてある位置が低いんですよね。

それに対してキリスト教の教会の鐘はどれもかなり高い位置に置いてあります。
それはキリスト教にとって、ベルの音はその地域全体に鳴り響かなければ鳴らないものだったから。

寺社の鐘と教会の鐘では目的が違うため、配置する高さも異なってくるんですよね。
シャンディアの鐘はどう考えても広い地域に音を届けるために作られたもの。
だからこそ、神殿の1番高い位置に鐘がなくてはならなかったんですよね。
その辺、ONE PIECEは非常に細かく設計されてます。

多分それは、ストーリーを重視しているから。

やっぱりそれと比べると、NARUTOはそこまでこだわってはいないんですよね。
それは多分作りが甘いとかいうことでは決してなく、そこよりも筆者が絵やカットを重視しているから。

文化観で矛盾を感じるのは忍者大戦編になって多用されている「輪廻転生の術」と「穢土転生の術」です。
輪廻転生は文字通り死者が別の肉体に生まれ変わる術です。
それに対して穢土転生は死者の魂を生贄の肉体に宿らせて、死者を蘇らせる術。

先ほど書いた宗教毎の死生観で行くと、仏教とキリスト教がごっちゃになってるんですよね。
こういう矛盾がNARUTOでは所々に見られます。
別に気にはならないですが、それだけ世界観ではなく、演出を見せたいのかなという印象。
細かな設定がONE PIECEと比べてあまり重視されていない代わりに、その分戦いの中での登場人物の心情変化とか情景心理とかはズバ抜けてますからね。


どっちが良い悪いじゃなく、ただ今のジャンプ読者にはテンポとストーリー・世界観を重視したONE PIECEがウケているというだけの話です。
両者を比較すると、筆者の大切にしているポイントなどが見えてきて、非常に面白いなって思います。