新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



マンガ読解法4 めだかボックス〜作者と打切りをマンガに登場させる

※すみません、頭痛くて文構成がぐちゃぐちゃになってます。

 

 

化物語シリーズで有名な(読んだことないんですが)西尾維新さんが原作でジャンプに連載していたマンガです。

 

とにかくメタフィンション(マンガやアニメの構造そのものを作品の演出に織り込む技法)色が強い作品です。

 

「そんな事ジャンプの世界じゃあるまいし」

「めだかちゃん(主人公)には誰も勝てない。なぜならめだかちゃんがこのマンガの主人公だから。」

「大人が好きなどっちも頑張りましたっけ決着もいいじゃないか」

などと言った言葉を作中の登場人物に多用させています。

 

また、作者独自の言葉遊びも楽しめます。

こうした部分もこの作品の魅力だとは思いますが、僕がこの作品の中で最も興味があるのは、特異な三人の人物を作品に登場させた点です。

 

安心院なじみと不知火半纏、そして獅子目言彦というキャラクターです。

 

安心院なじみは、1京3000兆のスキルとマイナス(作品の中に出てくる超能力みたいなもの)を有し、宇宙が生まれる前から存在しているという設定のキャラクター。

ありとあらゆる登場人物に技を授けたり、自分の分身としての存在を何人も登場させたりします。

また、メタフィクション的なセリフが特に多く「ジャンプ的には~」「ラスボス」などと言った表現を多用します。

 

これ、多分作者自身の存在をマンガの中に登場させてるんですよね。

もっというと原作者。

めだかボックスは原作と作画がわかれています。

安心院なじみはちょうど原作者を投影したキャラクターだと思うんです。

登場人物が使う技は全て安心院なじみが「貸している」という設定は、まさに技やキャラクター設定を考える作者の存在そのものです。

 

一方不知火半纏というキャラクターは、安心院なじみと2人でセットの存在として登場します。

いつも背中しか見せておらず、安心院なじみがいるうちは何も語らない存在として描かれるキャラクター。

 

これがちょうど作画にあたる存在だと思うんです。

顔を見せず何も語らないのに必ず安心院なじみとセットで登場します。

これは不知火半纏(作画)がいて始めて安心院なじみ(原作者)が存在できるというメタファー。

実際に安心院なじみが一人で登場するのは、登場人物の夢の中や天国だけ。

マンガにおける作画の存在を象徴しているキャラクターだと思います。

 

不知火半纏は、マンガの中で安心院なじみが死んでしまうと始めて顔を前に向け、自ら話すようになります。

これは原作者がいなければ自分でストーリーも書ける作画担当の存在が表現されているんだと思います。

(もう少し掘り下げて、多分西尾維新さんは、作画は一人でも作品を作れるが原作は一人では作品を作れないということを2人のキャラクターで表したんじゃないかと思います)

 

安心院なじみが原作者を投影したキャラクターとすると、ちょうど不知火半纏は作画担当をマンガの世界に登場させたキャラクター。

 

どちらも圧倒的な存在として描かれていますが、その安心院なじみと不知火半纏が勝てない存在として登場するのが獅子目言彦というキャラクター。

安心院なじみは作品の中で獅子目言彦に何度も挑んだが、一度も勝てない人物と言っています。

 

これ、安心院なじみと不知火半纏が作者としたら、獅子目言彦は編集(もっと言ったら「打ち切り」という概念)をキャラクターとして生み出した存在だと思うんです。

 

獅子目言彦は、一度つけた傷は絶対に回復しないという力を持ち、主人公はじめ登場人物、そしてあらゆるマンガの世界を壊して行きます。

安心院なじみも獅子目言彦にやられる。

 

これはちょうど「打ち切り」というマンガそのものが絶対に逃れられない宿命を象徴している存在です。

 

獅子目言彦と主人公の戦いの中で、挑むほどに主人公はボロボロになり、あの決着となりました(読んでない方に対するネタバレになるので伏せます)。

これは打ち切り・終了が決まったマンガがその中でどの様にマンガを終わらせるかを描いたものだと僕は思いました。

 

めだかボックスのすごい所は、王道バトルマンガのフレームワーク(一見邪道に見えるけれど、それは言葉遊びだけで、構成自体は超王道です、このマンガ)の中で、マンガを描くという事を描いてみせた所。

そういう意味でお気に入りの作品です。