新・薄口コラム(@Nuts_aki)

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覚えない英文法 | 助動詞⑥[shall]のイメージ~運命的な誘い文句の作り方~

3-6 shallの基本イメージ

さあ、代表的な助動詞はほとんど解説がおわり、残すところshallのみになりました。
このshallという助動詞、shall we ~?やShall I ~?、それから過去形にしたら後悔や義務を表すshould、さらには仮定法未来といった具合に、一見かなり身近な単語のように思えます。
しかしよくよく考えてみると、そのイメージはとっても捉えにくい事に気づくでしょう。
たくさん意味がある故にぼやけてしまうshallという助動詞です。
今回はできるだけ噛み砕いて、全ての使い方に一応の説明を与えてみようと思います。



まずはshallの歴史から紐解いていきましょう。
もともとshallという助動詞は、willと一緒に未来形を表す助動詞として使われていました。
今でも文語などではときたま登場します。
そんな未来の意味を表したshallですが、一体willとは何が違ったのでしょうか。
当然2つの助動詞が存在する以上、そこには何かしらの違いが生じるはずです。
両者の違いを説明することで、少しずつイメージが掴めると思いますので、簡単に未来を表す助動詞shallとwillの違いを説明します。

willは先述したとおり、自分の意思を表す助動詞です。
(助動詞について③参照)
自分の意思でこれからの事を推量する、こんなイメージから未来を表すようになりました。

一方、shallは運命や協調性といったニュアンスを元に、これからの事を推量する働きを持ちます。
例えばWe shall all die.(みんな死ぬのは一緒だよ)
なんて文章は私たちは皆死ぬ運命にあるという直訳ができます。
こんな風に自分の意思ではなく、「抗えない何か」といったニュアンスで未来を推量するのがshallなのです。
だから厳かな雰囲気を出したい条文や契約書ではwillとかじゃなくってshallが好まれるわけです。


shallの未来形用法をまとめたところで、大きなイメージはつかんでいただけたのではないかと思います。
ここから一気に他の用法まで知識をつなげてしまいましょう。
次はsall we ~?です。
Sall we dance?という形で一緒に踊りませんかというように、お誘いの意味になります。
よくlet's~.で書き換えるやつです。
Let's~についても細かく分解したいところなのですが、あくまで今回は助動詞の単元ですので、やめておく事にします。
(ずーっと後に、文型の話の時に触れたいと思います。)
Sall we ~?という用法ですが、これはまさに運命・協調性のイメージから来てます。
「私たち、一緒に◯◯する運命じゃなかったっけ?」というニュアンスから、「一緒に◯◯しませんか?」という意味になるのです。
強引に誘うのではなく、運命というニュアンスを引き出して柔らかくお誘いするイメージです。
ちゃんとはじめの基本イメージから繋がっていますよね。


次に◯◯すべきというshouldという用法です。
こちらも以前にお話した事と被ってしまいますが、過去形は基本的に「心的・時間的キョリ」を表します。
shouldはshallの過去形なので、「一歩引いた所から運命で定められている事を指摘する」そんなニュアンスになったきます。
You should study hard.だったら「あれっ、強くは言わないけどキミ一生懸命勉強する運命だと思うよ?」みたいなニュアンスになります。
「一歩引いて運命を強調する」から弱い義務のイメージが生まれています。
だからmustよりも少し弱い義務だなんて言われたりするんです。


最後に仮定法未来のshouldに触れておきます。
詳しくは仮定法で触れるので今日はさわりだけ、、、
仮定法とは「現実から心理的キョリのはなれた事象を扱う単元」という事ができます。
だから自制が必ず一つずつズレるんです。
この観点から仮定法未来をみてみましょう。
冒頭で述べたように、shallは昔未来という意味で使われていました。
だから仮定法でも未来として使われます。
かつ未来の事ですが、仮定法なので心理的キョリがあるため、自制を一つずらしてあげる必要が出てきます。
だからshouldが使われるのです。
これもやっぱり運命・協調性で説明できます。

すこし捉えにくいshallですが、いかがでしたでしょうか。
少しでも輪郭が見えていただけたのなら幸いです。