新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



ネット社会になってユリゲラーは死んだ〜確率のトリックと種明かし

ユリゲラーみたいな、テレビ越しに奇跡を起こしてきたようなタイプの超能力者って、ネットの世界では絶対に生き残り得ないように思います。
彼のウリの「テレビ越しの不思議な現象」っていうのんは、情報の非対称性があってはじめて成り立つテクニックだから。
テレビを見ている視聴者にも不思議な事を起こしますっていうのんは、確率の計算と、視聴者とテレビ局の間に情報の非対称性があってはじめてできる芸当なんですよね。


例えば超能力者が視聴者に向けて10枚のコインを同時に投げたら、そのコインを全部表にすると言ったとします。
その現象が起こる確率は2の10乗分の1。
数値にして1024分の1ということになります。
そんなこと起こるわけがないと視聴者は考えるけれど、それは一人一人の視聴者にとってのお話です。
仮に視聴率が10%だったとすると、お茶の間でテレビを見ている人数は、1億二千万人×10%で1千200万人ということになる。
1024分の1でしかおこらない、コインが10枚全部表になるという現象も、確率的に10718人に起こるという計算になります。
統計的にこれだけの人数が起こりうる現象なわけです。

さらに、例えばもしコイン10枚が表にならなかったとしても、不思議な事が起こるでしょうとか言っておいたらどうなるか。
コインが10枚全部表になるひとがもう1万人。
コインが9枚表になる人が2万人、9枚裏になる人が2万人。
コインが8枚表になる人が4万人、裏になる人が4万人。
ここら辺までなら、もしかしたら超能力かもって錯覚するかもしれません。
単純に14万人の人の元に「不思議な現象が起こった」ということになります。
こうした現象が起きたうちの1000人に1人がテレビ局に電話を入れたとして、その数1万4000件。
母体値の実感(1200万人)がわからなければ、超能力で日本国中に不思議な現象が起きたと思っても不思議ではありません。


とうぜん少なからず何も起こらなかった人からの苦情の電話も来ているでしょうが、それは電話口で謝罪して、テレビで言わなければいい話。
こんな感じで、テレビ越しの視聴者に超能力をかけるという現象が可能だったのです。


さて、インターネットが普及した現在ではどうなったのか。
今はTwitterをはじめ、多くのインターネット技術で、視聴者が誰でもその場で情報を発信することが可能になりました。
当然超能力の番組を見て、その通りになった人が驚きの声を発信することもありますが、同時に「何も起こらなかった」という声も発信されることとなります。
今まではテレビ局にこんなに多くの声が寄せられていますという形で、その超能力の真実味を出していたのですが、それが即時で情報発信できるようになると、何も起こらなかった人の数も視聴者が認知してしまう。
先の例で、仮に14万人の間で不思議なことが起こったとしても、何も起こらない人が1100万人以上いるわけです。
彼らがTwitterなりコメントなりをしてしまったら、途端に規模感みたいなものが人々に伝わってしまう。
超能力が単なる確率の問題なのだということを気づかせてしまうのです。

ユリゲラーのような超能力者にとって、インターネット技術は非常に相性が悪いものであったと言えるでしょう。
思わぬ所でインターネットの影響を受けた意外な人ということで気になったので、取り上げて見ました。