新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



「イスラム国」の人質問題で政府にとっての「正解」は沈黙?

「お前の母親と恋人が悪党に捕まりどちらか片方しか助けられない。①母親②恋人どちらを助ける?」
ハンターハンターに出てきた「ドキドキ2択クイズ」を思い出しました。
どっちに振って正解がない。
それが今回の人質事件ではないかと思います。
ここでいう「正解」とは、総合的にみてBestな解が何かということではありません。
(書いて非難されたくないので書きませんが)そんなの分かり切っているので。。
そうではなくて、ここでは事後の政府に対する世間の目が1番収まる方法を正解と考えています。
口うるさい僕たち国民が、どういう選択肢をとれば1番ブーイングが少なくなるのか。
それを正解として考えてみたいと思います。


まず身代金を払わず、人質を見殺しにするパターン。
これは1番批判が大きくなる選択だと思います。
本当はここで払わないことによってその後日本人が人質となるリスクを軽減できるという意味では国民を守るための選択なのですが、多くの人にとっては、「国が国民を見捨てた」と映ってしまいます。
なにより、野党の格好の政権批判のネタになる。
身代金を払わず人質が殺されるというのは、国が国民を見殺しにしたというストーリーを非常に分かりやすく当てはめることができます。
こういう(表面的に)わかりやすいストーリーは批判の対象になりやすい。
もし政府が、身代金を支払わないという判断をしたら、批判が殺到するのが目に見えています。


2つ目が身代金を払うという選択です。
一見国民を助けたというように見えますが、長期的な視座に立てばそうとも限りません。
もしここで犯人の言うとおり身代金を出せば、それは日本国民を誘拐すれば国がお金を出すということを証明することにもなります。
身代金を支払うことは、再び今回のような人質事件を引き起こす可能性を上げることにもなるわけです。
その場合、目先の支持率のために、長い目で見た時の国民の安全を売ったと批判されてしまいます。
身代金を払ったとしても、やっぱり批判は避けられません。
今回の場合、どちらにせよベストな回答は存在しないわけです。


冒頭に挙げたドキドキ2択クイズに対して、主人公たちは「沈黙」という答えを出しました。
無理な2択を迫られたとき、どちらも答えられないのなら、沈黙しかできない。
そういう理屈で沈黙という選択をしました。
理由も状況もまるで違うのですが、政府にとって批判を集めないベストな選択も、この「沈黙」であるような気がします。
沈黙をすれば、人質取り引きの期限を迎えます。
期限の延長を申し入れた所で、それがいつまでも続くわけではない。
やがて、テロリストグループは取り引き不成立として人質を殺すでしょう。
こうなると、確かに政権は「決められない政治」といって批判を集めるかもしれません。
しかし、それはあくまで「決められない」という政権の脆弱さに対する批判です。
前の二つの「国民を見捨てた」も「国民を危険に晒した」というのも、政府の選択に対する批判です。
決定に対する批判なら、責任も問われるし明確な判断基準になりますが、「決められない政治」という、政権自体の問題にしてしまえば、具体的な責任も問われず、ふわっとした責任追及にしかならない。
「国民を危機にさらした」っていうのと「決められない政治家という汚名」では、全然規模が違う話になってくる。
またら相手方にとっては、日本政府を脅してもお金奪えないというアピールにもなります。
これで少なくとも再び襲われるリスクを増やさないことはできる。
決められない体を装い、判断してる間に人質が殺されたというのが1番ベストな選択だと思うのです。

ただ、沈黙をするというのは、考え得る中でも、指導者としてかなり最低な選択です。
見殺しを前提に、かつ保身を考えるわけですから。
身代金を払っても払わなくても僕は仕方が無いと思うのですが、少なくとも「沈黙」という選択を選ぶことだけはないように願いたいです。

適切なアイキャッチ画像がなかったので。。

イスラーム国の衝撃 (文春新書)

イスラーム国の衝撃 (文春新書)