新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



Twitterは日本の未来のスラム街

Twitterについて、最近考えていたのですが、あれって社会的立場があるものほど、利用するリスクが相対的に大きいツールであるように思います。
僕の印象では、Twitterは言論空間ではなく、非連続な単発の言葉をやりとりする場だと感じています。
140字でまともな論を張ることは基本的に不可能です。
140字を超える場合は分割され、意図しない方向に解釈されても仕方がありません。
かつ、基本的には相手とのコミュニケーションの中でのやりとりなので、相手の文脈に依存せざるを得ない。
システム的に自分の意見を筋道立てて説明するのには的していないツールなわけです。
非常に短く単発的なやりとりの中では、主張の質ではなく、単純に発した言葉の量が多い方が圧倒的に優位になってくるように思います。
一つの非常に練られたツイートより、10の単語の乱れ打ちの方が、タイムライン上では力がある。

(ブロックされる場合、非公開設定の場合を除いて)完全に自由なコミュニケーションができる空間では、そこに掛けられる時間と一人当たりに注ぐことのできるエネルギーが大きい人ほど、当然「発信できる量」は増えてきます。
単純に一日のうち10時間以上を仕事や実社会のコミュニケーションに時間を費やさなければならない人と、そのほとんどをWeb上でのやりとりにかけられる人では、発信できる量は物理的に後者が多くなります。
また、10万人のフォロワーがいる人間と、100人のフォロワーがいる人間では、1リプライ当たりに掛けられるエネルギーは違ってくる。
仮にあることをつぶやいて、1割の人間が返信をするとして、100人のフォロワーの人なら10の対応で済みますが、10万にのフォロワーがいる有名人だと、1万件の対応に迫られる。
僕一般人と有名人とでは、圧倒的に返信のコストが違うわけです。

加えて立場のある人ほど、その一言には責任がついてくる。
首相が誰かに腹がたって「死ねよボケ」って言うのと、(絶対言いませんが)僕がそれを言うのとでは、まるでその一言がもたらすリスクは違います。
極端な話、社会的つながりが一つもない人は何をつぶやいても失うものがないため無敵なわけです(笑)
また、時間を掛けてコンテンツを作り出す人よりも、それに批判を投げかける人の方が、圧倒的に掛けられる時間は大きくなる。(作る側はコンテンツ作成にかかった分、そうでない人より余分に時間を費やしているから。)


このように、自由なコミュニケーション空間であることは、平等である反面、立場の強いものほどコストが高くつくという特徴があります。
これをもって、「だから有名人は優遇されるべき」などということは決して思いません。
むしろ完全な機会の平等であるべきだと思うので。
しかしその上で思うのが、相対的にTwitter利用のコストが高くなりつつある人たちはどういう行動を起こすのか?ということです。
その最たる例が有名人です。
彼らがTwitterでコミュニケーションをとるインセンティブを考えると、①本人が楽しいことと②マーケティング目的が挙げられます。
現在Twitter上でのコミュニケーションが、先に挙げたような理由からコストがどんどん上がり、①の要素を上回りつつあるように見えます。
そうすると、多くの著名人が②のマーケティング目的で使っているということになる。
本人の楽しさのためで無いのなら、よりマーケティングに特化したサービスが出てきたら、多くの人がそちらに流れて行くはずです。

実際に755のようなトークアプリにアイドルが移っているのが、その典型例です。
有名人にとって、Twitterで高コストなコミュニケーションをとるよりも、より安全(有名であることが相対的にコストにならないようにルールが敷かれてる)で、フォロワーにリーチできるサービスが出てきたら、そちらに移行するのは当然の動きだと思います。
同様に、Twitterをやるコスト(炎上のリスク、誹謗中傷、非常識なからみetc)が高くなれば、相対的にそのコストの大きい人ほどTwitterを去って行く。
極端な話、月額500円位の有料サービスでアカウントは電話番号と連携していてTwitterと全く同じスペックだけれどトレーサビリティがあり、誹謗中傷がしずらいサービスが出てきたら、どんどんコストが高くつく人からそちらに流れると思うんです。
もちろんそんなものが生まれるかは分かりませんし、生まれたとしてずっと先の話かもしれません。
しかし、そうしたサービスが生まれ、著名人を中心にピラミッド構造の上位から別のサービスに移ったとしたら、Twitterに残るのは、ある種スラム街のような空気だと思うのです。
Twitterは参入が自由で、コミュニケーションも完全な平等な上に成り立っています。
と同時に、退出も自由なサービスです。
今はまだ殆どの著名人や立場のある人が種々のコストよりも便益が高いと感じているから利用していますが、今のように炎上や非難が激化していけば、やがて便益よりコストの方が多いと感じる人も増えてくるはずです。
その時に別のサービスがあれば、彼らは迷うことなくそちらに乗り換えるでしょう。
Twitter上で自由に発信できるからと、僕たちが著名人に分をわきまえずに絡むのは、長期的にみて、彼らを去らせることに繋がります。
その先にあるのは、あたかもネット上のスラム街のような発言に責任を持たなくていい人たちの溜まり場である気がします。

なんとなく、ここ最近のTwitterを観察していると、そんな風に感じます。

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