新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



テロリズムのIT化〜近代国家の枠組みでは対応できないISの構造的強み

ISISの日本人人質事件をみて思ったのは、ITによりテロリズムも時間的・物理的障壁が短縮されるようになったのだなあということでした。
テロの本質が、ターゲットとした国の国民に対して恐怖を植え付け、また国を動かす権力者に対して揺さぶりをかけることであるとしたとき、今回の日本人人質事件は、非常に効率的かつ効果的な手段であると感じたからです。

テロの目的が、ターゲット国の国民を怯えさせることや為政者を脅すことであるとするならば、テロの必要条件は①ターゲットとした国の国民に犠牲を生むことと②凄惨な情景を拡散させることが必要になってきます。
ネットが普及する前までは、①②を満たすためには敵国に乗り込んで、そこで悲劇的な事件を起こすしかありませんでした。
ターゲット国の国民を巻き込もうとしたら、その国民を巻き込むために自らが乗り込必要がありましたし、人々が巻き込まれた凄惨さを拡散するには、マスメディアに頼るしかなかったからです。
だからこそテロリストの人たちは、自ら乗り込み、最大限人々の印象に残る凄惨な光景を我々に見せつけました。
9.11なんてまさにそうだと思います。

IT技術の普及により、僕たちは時間・距離の壁を大きく克服しました。
地球の裏側に住んでいる人とリアルタイムに仕事をしたり、遠く離れた友達とネットを通して繋がっていられるようになった。
僕たちはITにより、様々な恩恵を受けています。
しかしこうした恩恵を受けるのはテロリストも同じだと思うのです。
今までであれば、たとえターゲットとなる国の国民をさらってきて自国で殺害しても、その恐怖を拡散することができませんでした。
つまり、①は満たせても②が満たせなかった。
しかしIT技術の発達により、現代ではそれが可能になりました。
凄惨な画像や動画をネットにアップすれば、瞬く間に世界中にその情報が拡散します。
テロリストは今や敵国に行かずとも先に挙げたテロの必要条件を満たせてしまうわけです。
相手国に行って自爆テロを起こすのと、適当にターゲットの国の国民をさらって殺害動画を拡散させるのとでは、リスクもコストも全く違ってきます。
圧倒的に後者の方がローリスクハイリターンです。
しかも、今のところこの手段に対する防衛策を僕達は持っていません。
どんなに注意したところで、どこかの地域で突然誘拐されるなんて防げない。
ISISの誘拐事件は、IT時代の新たなテロと位置付けて考えるべきだと思うのです。