新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



ニコ動がユーザーではなくコンテンツホルダーを大切にするようになった理由を考えてみた

ニコ動のユーザーって、凄い特殊だと思うんです。
もちろん変な人が集まってるというネガティブな意味ではありません。
そうではなくて、特殊だと思うのは同じサービスなのに利用の仕方が全く異なる人たちによってユーザーが構成されているところ。
そんなユーザーを抱えるニコ動が今後展開していくならどんな方向かということをあれこれ考えてみました。
f:id:kurumi10021002:20150310092546j:plain

最近のニコ動は生主ではなくコンテンツホルダーを見ている

先日、ニコ動の某生放送で2ちゃんねる管理人の西村博之さんが「今のニコ動はコンテンツホルダーに目が向いている」と言っていました。
確かに、角川との経営統合にしろニコニコ超会議にしろ、アニメーター見本市にしろ、ユーザーが作るコンテンツよりも企業の側に寄った動きが多いように思います。
ここでいうユーザーとは、単に動画を視聴するユーザーのことではありません。
ボーカロイドの曲を作ったり自分で生放送をしたりという、ニコニコ動画のサービスの中で創作活動をしている人のことです。
少し前まではクリック数に応じて報奨金を出す、コンテンツを販売する仕組みを整えるなど、アマチュアクリエイターが創作活動を通して利益を上げる制度をたくさん整えていたように思います。
それが、YouTubeの報奨金が広がり始めたあたりから、ニコニコ動画コンテンツホルダーへの支援に力を入れる方向にシフトしています。
なぜアマチュアクリエイターからプロの支援にシフトしているのか。
ドワンゴがこうした戦略を取ろうとするのには、ニコニコ動画の抱えるユーザーの構成が関係してるように思います。


ニコ動の3種類のユーザー

ニコニコ動画のユーザーには、大きく分けて①作品を投稿して楽しむアマチュアクリエイターと②動画などのコンテンツを楽しむ通常のユーザー、そして③コメント機能でガヤを入れることを楽しむユーザーの3種類が存在します。
僕はニコニコ動画の最大の特徴は、この③のユーザーではないかと思っています。
アマチュアのクリエイターや通常のユーザーなら、他の動画配信サービスにもいるけれど、積極的にコメントを書いてそれ自体を楽しむというユーザーは、他のサービスには存在しません。
というよりも、「コンテンツにガヤを入れて楽しむ」というサービスの利用法は、他のサービスではなできない。
YouTubeな生放送が手軽に配信できるツイキャスのコメント機能は、あくまでコンテンツに対する自分の感想を書ける場所であって、それが不特定多数の人の目に触れさせることを想定しているわけではありません。
ニコニコ動画の場合は、コメントを書いたらそれが画面に表示されるため、コメント表示をOFFにしない限り嫌でも人のコメントが視聴者の目に飛び込んできます。
僕はコメントが邪魔なので大抵は非表示にしているのですが、実際にコメントが流れてくるのを見ていると、そこには強い連帯感のようなものがあります。
まさに皆で集まってテレビを見ながらコンテンツについてあれこれ言っている感じ。
コメントを積極的に打ち込む③のユーザーが1番求めているのは、この「皆で見ている感」だと思います。

居場所としての機能の強さ

ガヤを書き込むユーザーを抱えているというのは、実はとてつもなく大きな強みであると思います。
例えばアマチュアクリエイターがサービスを選ぶ基準は、使い易さとファンの集めやすさ、そしてマネタイズのしやすさです。
これらが総合的に最も優れたところを選ぶはずなので、彼らにとってはニコニコ動画でなければいけない理由はありません。
また、動画を単に視聴するユーザーにとってのサービスを選ぶ基準は、手に入るコンテンツの面白さのみ。
やはり、サービスを提供する会社なんてどこでも構いません。
ただし、ガヤを書き込み、そこに居場所としての機能を求めている人たちは少し違います。
彼らの「コンテンツ消費という体験を他人と共有したい」という欲求は、他のサービスでは代替不可能なわけです。
資本力や規模感からして、明らかにYouTubeやツイキャスが動画サービスとしてはニコニコ動画を上回っていくと思います。
そうなると、アマチュアクリエイターも動画視聴ユーザーも、そちらに流れる可能性がある。
しかし、コメントを書き込みたいユーザーは他のサービスではそのニーズを満たせないため、ニコニコ動画から離れて行くことはありません。


最大の強みは「ガヤ」を抱えていること

こうしたコメントを書く体験を求めるユーザーは、どんなコンテンツかということよりも、自分と趣向があったコンテンツにどれくらいの人が集まっているかが大切になってきます。
極端な話、提供されるものが非常にマニアックなものだけになったとしても、そこに自分同様にガヤを入れるような人が集まってさえいれば、根本的な欲求は満たすことができるわけです。
彼らは提供されたコンテンツの中から人が集まりそうな物を選び、そこにコメントを書いて消費する。
そういうコンテンツの消費の仕方を目的としています。
コンテンツそのものではなく、それを他人と一緒に消費するというように、単に動画を楽しみたいユーザーとは本質的に違う部分に価値を見出しているのです。
ディスプレイに流れたコンテンツを消費する部分に価値を見出しているという意味では、むしろテレビの楽しみ方に近いように思います。
ネット動画が自分の趣味にあったものを探すのに対して、僕たちらテレビのコンテンツを、次の日の学校の話のネタや、家族との団欒の材料として使っていました。
コメントを書き込むユーザーは、このテレビ的な楽しみ方を動画サービスに求めているのではないでしょうか。

競合はYouTubeなどのネット動画でなく、既存のテレビ局

こうしたテレビ的な楽しみ方を求めるユーザーを囲い込もうと考えているとしたら、ドワンゴコンテンツホルダーの方を向いているというのも納得がいきます。
コンテンツホルダーの方を向いているというよりは、他の二つのユーザーを取りに行っていないというのが正しいかもしれません。
アマチュアのクリエイターも単なる動画視聴者も、YouTubeなどの動画サービスとパイを取り合ったら勝てる見込みがありません。
そこは無理に取りに行かず、居場所としての動画サービスを求めるユーザーをしっかりと囲い込む方が、ニコニコ動画にとって勝算が高い戦略です。
コンテンツホルダーにとっても、このようなユーザーを抱えるメディアは非常に魅力的です。
普通のメディアならば、まずコンテンツを流して、面白ければそこにファンが集まるという形ですが、ニコニコ動画の場合、すでにコンテンツの投下を待っている一定数のファンを抱えています。
放送局がファンを持っているようなもの。
コンテンツを提供する側にとっても、非常に魅力的なメディアであると言えます。
こう考えると、ニコニコ動画の競合は、コンテンツを楽しむネット動画ではなく、むしろ「コンテンツの消費」を楽しむテレビであるように思います。
プロが作ったハイクオリティのオリジナルコンテンツをネットで消費する。
そんなサービスになっていくような気がします。