新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



若者の新聞離れの真実と、発行部数を上げるビジネスプラン

新聞の発行部数減少に関して、記事の質の低下が読者離れに繋がっているという意見や、権力に迎合した記事を書くから読者が離れるという意見をよく耳にします。

もちろん、実際に読んでいて質の低下や権力に迎合した記事というのは最もだと思うのですが、僕は発行部数の減少の理由が「記事の質」の問題ではないと思っています。
発行部数が減少したのは、記事の質が低下したのではなく、単純に代替品が増えたからというのが僕の考えです。
 
 

人口の増減に伴って発行部数が増えてきた新聞

新聞の発行部数と日本の人口を見てみると、2000年前後まで人口の増加率に伴って(実際には新聞の発行部数の方が少し遅れていますが)新聞の発行部数は伸びています。
ここから分かるのは、人口が増えたから、その分読む人口が増えていたということです。
極端な言い方ですが、新聞を新しく読み始める人=出生した人、新聞の読者を辞める人=死亡した人と考えて、どちらも一定割合で新聞を読んでいたとしたら、死亡率<出生率になっている間は新規購読者数が増え、死亡率>出生率になると新聞の読者数は減少していきます。
現在の日本は出生率<死亡率となっています。
 
 

読者の減少速度が高いのは「新規顧客がこない」から

死亡率>出生率だと読者が減少するというのは、かなりの暴論だと自分でも分かっているので、もう少しまともに考えてみたいと思います。
新聞の発行部数が減少しているのは、新規購読者<購読を辞めた人という状態になっているからです。
新規購読者が増えないことと、購読を辞めた人の増加でどちらが発行部数に多く影響を与えているかといえば、僕前者だと思います。
そして、初めに言った「質の議論」は、購読を辞めた人に該当する議論です。
購読を辞めた人に関しては、確かに質の低下が主要な理由でしょう。
しかしそもそも読んでいない人に関しては、質の低下を原因と考えるのは少し難しいように思います。
そもそも新聞を読まない層に関しては、全く違う理由があるのではないでしょうか。
 
新しく新聞を読み始める可能性がある人として1番可能性があるのは、大学生〜新社会人のグループです。
彼らが新聞を取らない理由こそが、購読者減少に1番影響を与えていると考えられます。
大学生〜新社会人が新聞を読まない最大の要因は、「代替品に溢れているから」の一言に尽きるようち思います。
ネットを開けば新聞よりも早く・多く、そして無料で情報を手に入れることができます。
新聞を「時間を使うもの」というレイヤーまで広げれば、SNSスマホゲームまでが競合材に入ってくる。
単純に、嗜好品として新聞を選択する率が下がっているわけです。
また、競合材がネットニュースだとしたら、そこには質の議論は入ってきません。
単純にアクセスのしやすさ、そして価格で若者はネットニュースを選んでいるのだと思います。
新規顧客になるメイン層の若者にとって、代替品の増加で新聞を選択するインセンティブが特にないことが、新規顧客の減少の最大の理由であるような気がします。
 
 

親をターゲットにした売り込み戦略

では、どうすれば若者に新規購読をさせることができるのか。
僕は親をターゲットに売り込むのが1番有効であると考えています。
一人暮らしの大学生や新社会人がいる親をターゲットに、「一人暮らしのお子さんに新聞を」みたいなセールをします。
新聞の購読費用は親持ちで、新聞が一人暮らしの子供の家に届けられる。
届けられた子供にとっては、別に自分の懐が痛むわけではないので、特にデメリットはありません(まあかさみますが、、)。
そして、親世代には「就活に必須のスキル」とか、「都会で働く社会人として必要な知識を子供のために」みたいな売り文句にすれば、子供を心配する親のニーズも満たせる。
さらに親子割引でもつければ、より購読のインセンティブは増すはずです。
若者世代にとって新聞をわざわざ購読するというインセンティブがなくなっているところに、「新聞は大切だ」なんていうPR広告を打っても意味がありません。
そうではなくて、その親世代こそターゲットにすべきだと思うのです。
手元にあれば、一定数が読むかもしれませんし、その中でさらに一定数は将来購読するかもしれません。
まず若者世代にとっての、読み物としての選択肢に食い込むことが、新聞の購読者数減少を食い止めるために必要なことのように思います。
 

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