新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



音楽は十年前を体現する

音楽は十年前を体現するっていうのが、最近の僕の仮説です。
だいたい10年位前に広まった社会の空気が、濃縮されて音楽という形で人々に受け入れられる。
例えば2000年に「LOVEマシーン」や「恋愛レボリューション」のような曲でブレイクしていた全盛期のモーニング娘。は、バブル崩壊ギリギリの時代の空気を濃縮したような音楽でした。
クリエイターとしては自分の身体に染み付いた経験を音楽にするためのタイムラグがちょうど10年くらい、聞く側にとっても懐かしさに浸るのにちょうどいいのが10年くらい前の記憶です。
両方の感覚がぴったりと重なることで大きなブームを起こせるのだと思います。


僕は日本のポップスを大きく10年毎に区切ったとき、「憧れ→共感→応援」という系譜で音楽の流行が移ってきたと考えています。
90年から00年までの音楽はアーティストは尊敬や憧れを抱く対象でした。
歌詞も理想や自分の体験して見たいこと、直感的にかっこいいと感じるものや独自の世界で惹きつける人々が多かったように思います。
HIDEや米米CLUB、B'zや相川七瀬などなど。
アイドルでも篠原涼子さんや広末涼子さんみたいな人たちは憧れの対象でした。
分岐点となるのは、宇多田ヒカル浜崎あゆみといったアーティストが出てきたあたりだと思います。
もちろんその後も憧れの対象になるタイプのアーティストは多く存在しますが、徐々にメインシーンは違う層にシフトします。

00年から10年になると、「共感」を武器にした音楽がヒットするようになります。
その象徴がSMAPの歌った「世界に一つだけの花」でしょう。
この辺りから、「ありがとう」や仲間・絆といったものが頻繁に歌われるようになります。
SMAPファンキーモンキーベイビーズオレンジレンジサンボマスター
いきものがかりYUI西野カナなどなど。
共感には仲間意識なども含みます。
仲間意識や「俺たちの連帯感」みたいなものを歌ったのが湘南之風やEXILE三木道三氣志團のような人たちです。
当然憧れの対象という側面もありますが、それ以上に共感できるということがキーワードになっていたように思います。

10年に以降になると、「応援」できることが一つのキーワードになってきたように思います。
その代表がAKBのヒットです。
AKBグループに三代目J soul brothersE-girls、舞祭組などなど。
女性アイドルばかりでなく、ジャニーズをはじめとする男性アイドルも、かっこよさだけではなく、弱い部分や情けない部分だったり、大きくなっていくという応援できる「物語」を提供しています。
アイドル以外のアーティストも応援できる物語を提供している人が増えてきました。
インディーズで頑張るゴールデンボンバー、シェアハウスで暮らしメジャーを目指したSEKAI NO OWARIなど。
まだ10年代は半分しか経っていないので一括りにすることは難しいですが、ぼんやりと特徴が見えてきたように思います。
自分のお気に入りを見つけて応援する、また同じ趣向を持つ人と集まるというのが一つの特徴であるように思います。

こうしたそれぞれの時代に見える特徴が、実は10年前くらいに社会の空気感だったんじゃないかというのが僕の仮説。
80年代には何かに憧れ、90年代にそれが幻想に変わり、その「よき時代」が歌で表されるようになった。
90年代にはNo.1ではなくオンリー1、競争から連帯へ。
仲間というものが大事にされていて、00年代に入ったころに、格差をはじめとする諸々のほころびが表出して、万能であったはずの連帯感の限界に僕らは気づき始める。
ちょうどその頃に流行ったのが、00年代の音楽たち。
00年代にはいろんな綻びが見えてきたけれど、まだ頑張れば乗り切れる、努力が大切だと、社会全体が様々な方面を「応援」していました。
10年代に入り、もはや綻びを修繕することは不可能なほど拡大したことを僕たちは無意識に感じ始めます。
そんな時代になって「応援」できる対象を、音楽の場に求めるようになった。

大枠を捉えるためにあえて細部や詳しいものは省きました。
あくまで非常にざっくりとした「全体の流れ」について僕が思うことです。
まだ音楽は10年前を体現するという仮説に関していろいろ考えている途中なのですが、なんとなく大きな流れが見えてくるような気がします。

アイキャッチは日本2.0 vol.3

日本2.0 思想地図β vol.3

日本2.0 思想地図β vol.3