新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



コインマジックをすれば、努力とはなにかよくわかる

僕の密かな自慢は、手のひらに乗せた500玉を上に飛ばせることです。
マッスルパス(究極の技法) - YouTube
マッスルパスというコインマジックの技法なのですが、これがまあ難しい。
手のひらでコインが少しでも動くようになるまでに、非常に時間がかかります。

僕はマッスルパスを身につけることができる人とできない人の違いがそのまま、努力のできる人とできない人の差になると思っています。
手のひらにコインを乗せて上に飛ばそうとしてもらえば分かると思うのですが、どうやったって初めは飛ぶ兆しも見えません。
飛ぶようになる以前に、とっかかりすら見えない。
そんなところから練習が始まります。
練習といっても、初めは手のひらの皮で頑張ってコインを掴めるようになるという、とてつもなく地味な作業です。
ひたすら手のひらを慎重に動かして、皮にコインが引っかかるようにします。
f:id:kurumi10021002:20150807090746j:plain
朝から晩まで練習してもコインが全く引っかかりもせずに日がすぎていきます(笑)
それでも練習していると数日で手の皮でコインが掴めるようになります。

手のひらでコインが掴めるようになったら、ここからが本番です。
今度は挟んだ両サイドの圧力を利用して、飛ばせるところまで持っていかないといけないのです。
ここが本当に難しい。
100回に1度くらいひっくり返るようになるのにも1週間、手のひらから一瞬でも離れるようになるまでにさらに一週間くらいかかります。
それも、暇な時に四六時中コインをいじっていてこの長さ。
実際に僕は中学校時代、学校で一日中、それこそ授業中も学年集会の時もずっとコインをいじっているのはもちろんのこと、家でも食事中もお風呂の中でもずっとコインを持っていました。
トイレで練習していて夢中になって、父親に早く出て来いと怒られるほど。。

そんな具合に続けていくと、やがてコインが飛ぶようになります。
僕がとりあえず飛ぶようになるまでいったのがちょうど2ヶ月くらいでした。
そこからネタに組み込めるまでの飛距離と精度に持って行くのにさらに数ヶ月。
そんな具合で身につけるのがマッスルパスという技法です。

マッスルパスをやると必ず言われるのが、「おれは練習したけどできなかった」という言葉です。
多分、最初の段階で「できる人」と「できない人」がいるんだと諦めてしまったのだと思います。
で、できるようになった人は才能があると割り切る。
実際に技術を身につけた側からすれば全くそんなことはないんですよね。
ただ単に、全くとっかかりのない状態から、飛ぶようになるまで練習を続けただけです。
四六時中コインを握って、一週間何も変化しないと、それはもう本当にノイローゼになるんじゃないかと思うくらい辛くなってきます。
それでもやっていると、少し可能性が開け、やがて飛ぶようになる。
勉強やビジネスだと「そうは言っても才能やん?」って思ってしまうかもしれませんが、コインを上に飛ばすことなんて、完全に努力です。
全く目に見えた進歩がない中で、クソおもんない地味な練習を続けられるかどうか。
完全にこれに尽きます。

僕は努力するときに1番大切なことは「自分はできるようになれる」と確信を持つことだと思っています。
で、あとはできるまで続ける。
手のひらにおいてどうやってもピクリともしないコインを目の前にして、上に飛ぶイメージを持てるかどうかです。
何かと才能論で片付けようとする人は、そういう努力を一度もしたことがないのだと思ってしまいます。
逆に、努力は報われるから頑張れと安易な根性論に走る人も、ゼロから本当に努力して身につけたものがないのではと思います。
努力で何かを身につけるって、そんなに才能で片付けられるほどスマートなものでもなければ、根性でできるほど雑なものでもありません。
しいて言えばとてつもなく「地味」な作業。
僕は努力ができるとはその「地味」な作業に耐えられるかどうかの話だと思っています。
ドストエフスキーの「死の家の記録」の中に、水の入ったバケツと空のバケツを用意され、ひたすら空のバケツに水を移すという作業をさせられ続けるという拷問が出てきます。
僕はこれを読んだ時、ぞっとしたのと同時に、「ああ、努力ってこれに近いなあ」と感じました。
小さな成功体験の積み重ねがモチベーションに繋がるという人もいますが、僕はそんなものいらないと思っています。
ひたすらにゴールの見えない地味な作業を続ける。
本当にただそれだけ。
それができるのが、努力ができるということだと思っています。
僕はそれに気づいたのがマッスルパスを習得したときでした。
マッスルパスを習得できれば、努力をするってこんな感じなのかという感覚が掴めると思います。

真面目な風をよそおって、すごくどうでもいいことを書いてみました。


アイキャッチはコインマジックの王道勉強本

コインマジック事典

コインマジック事典