新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



世界情勢の収束点

個人的にここ最近の世界のニュースが気になっています。
中国の工場爆破事件に、国慶節の前日の爆弾事件。
難民の流入に、シルバーウィークのメッカでの将棋倒し事件と、今日のロシアのISに対する空爆開始。
フォルクスワーゲンの排ガス問題にアメリカの利上げ延期。
この辺が年末にかけての経済に大きな影響を与えるのではないかと思っています。

中国を見ていると、ここ半年で、明らかに流れが変わってきています。
習近平国家主席の行う政策に対して、ことごとく風向きがよくないように思うのです。
AIIBアジアインフラ投資銀行の構想を打ち出した直後に上海株式市場の株価が大暴落。
抗日戦争勝利70周年記念の軍事パレードでは、直前に天津での工場爆発、山東省での工場爆発が続きました。
そして中国の大型連休直前に起こった16件の爆破事件。
AIIBに関しては、打ち出した時期にはギリシャのデフォルト問題に注目が集まりすぎていて、期待していたインパクトは与えられず、今回の訪米に関しても、ローマ法王が同時期にアメリカに来ると言うことで、現地のニュースは法王で持ちきり。
日本ではマイクロソフトサトヤ・ナデラ、アップルのティム・クック、アマゾンのジェフ・ベゾスFaceBookマーク・ザッカーバーグなどそうそうたるメンバーと並んだということがニュースとして大きく取り上げられていましたが、ローマ法王と重なったおかげで、実際のところインパクトは小さくなってしまったように思います。
しかも大統領候補戦いがあるため、クリントンなんかは厳しいコメントを寄せていました。

イスラム国に関しても、かなり大きな変化があるように思います。
自由シリア軍イスラム国、そしてシリアに対する向き合い方で、世界の思惑が大きく異なります。
元外交官でロシア主任分析官であった佐藤優さん曰く、アメリカ・ヨーロッパ・ロシアで、イスラム国を排除したいという意見は一致しているが、それに加えて排除したい組織がそれぞれでことなっているのだそう。
そうした背景から緊迫状態が続いていた中東で起こったのが、先日のメッカでの将棋倒し事件です。
この事件を受け、イスラム諸国のトップに様々な動きがありました。
情勢不安に加えて、宗教的ないざこざも加速するように思います。

中東が不安定になるほどに難民の流入は加速します。
現在、各国が難民に対して寛容にする流れに傾いていますが、難民受け入れ態勢が充実すればするほど、難民の数は増えていきます。
ちきりんさん曰く、今の中東やアフリカ諸国では、「貧困な人から国を捨てるのではなく、お金が持てた人から国を出て行く」のだそう。
本来、難民問題は、国が裕福になれば解決されるものですが、あまりにも情勢不安が拡大した地域では、裕福な人から国を捨てるという状況になってしまいます。
受け入れ態勢が整うほどに難民が増え、個人が裕福になるほど国を出て行くのであれば、外部からできる難民問題の解決手段はありません。
中東の情勢不安を解消するしか手段はないのだけれど、実際はどんどん事態が悪化しています。
中東の一連のいざこざから難民問題までの一連の事象は、確実に悪化していくように思います。

フォルクスワーゲンの不正問題も、東芝の不正問題のように、一企業の不正問題としてでは片付けられません。
アメリカの検査のときだけ、自動で排気ガスが少なくなり、それ以外のときは馬力がでるような制御システムを搭載していた今回の事件。
検査時と通常運用時では、排気ガスの量に40倍も違いがあったのだとか。
この問題、製品回収だけで数兆円に及ぶとされています。
それに加えて、多方面からの訴訟も予想されます。
フォルクスワーゲンはドイツの象徴的な企業なので、つぶれるのに手を差し伸べないわけもなく、破綻の危機になれば、ドイツ国家が何らかの対策を打つはず。
そういた直近の面に加えもう一つ、排ガスを抑えた状態、つまり馬力が弱くなったフォルクスワーゲンが、今後世界の自動車市場でどの程度受け容れられるかと言うことも問題です。
機能面で弱くなったワーゲンの需要は、間違えなく縮小するはずです。
EUの一翼を担うドイツの象徴的な企業が壊滅的なダメージを受ければ、EUの強さ事態にも影響が及びかねません。
ひいては難民の受け入れ態勢、そしてギリシャに対する姿勢にも、影響を及ぼす可能性があると思うのです。

これに加えてアメリカの利上げの問題もあります。
9月の利上げこそなかったものの、イエレン議長は直後に年内の利上げは明言しています。
もしこれが実行されれば、上に挙げた地域を中心に、多きなダメージがあるはずです。
それに加えて安倍総理の新しい三本の矢。
現在の表現では抽象的過ぎて何が言いたいのかわかりませんが、それは補正予算のときに明らかになることです。
おそらく、大胆な金融緩和の延長にある政策が並ぶように思います。
これも中国を中心に、経済に大きな影響を与えることは必至です。
これらの事象が年末に集束したら、かなり大きな問題になると思うのです。

ロイター通信が、ナシーム・タレブの不確実性のリスクについて語った著書、「ブラックスワン」に重ねて、次のブラックスワンは何かという記事を掲載していました。
僕は、上に挙げたブラックスワン予備軍のような事象が重なることで、大きな転換期になるのだろうと思っています。
今の株式市場の読めなさの原因は、こうした不確実性が互いに干渉し合っていることにあるでしょう。
こうした各々の問題が非常に活発に動いているので、これから年末にかけて、世界の動きから目が離せません。



アイキャッチはナシームタレブ「ブラックスワン