新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



犠牲を厭わない人たちと犠牲が出ない人たちの戦争

犠牲を厭わない人たちと犠牲が出ない人たちの戦争はどのように終わりを迎えることができるのか?
以前どこかの番組で取りあげられていたテーマで、ずっと頭の片隅に残っていました。
戦争に関して詳しくないので、全くもって検討はずれの意見なのかも知れませんが、僕は戦争が終わるのはいずれかの集団が目的を達成したときか、被害が大きくなりすぎて撤退したときだと考えています。
この2パターンでしか戦争が終わらないとしたら、犠牲を厭わない人たちと犠牲が出ない人たちが戦争を始めれば、終わりがありません。

犠牲を厭わない人たちというのは具体的にはイスラム国の戦士のこと。
彼らは聖戦(厳密にはイスラームの教えに書かれている聖戦と違う気がするのですが)として、イスラームの教えを守るための戦いで命を落とすと、最後の審判の日を待たず、天国にいけると考えています。
そのため自爆テロをはじめ、命を落とすことを厭わない。
一方で犠牲が出ないというのはドローンや無人戦闘機を使うアメリカなどの軍のことです。
彼らは戦場から遠く離れた場所から無人戦闘機を操作して戦争を行います。
無人戦闘機の場合、仮に落とされても、損害はマシーンだけで、操縦者の命は失われません。
イスラム国の場合、命を落とすことに意味付けがされているため、犠牲が多くなったから撤退するという選択肢は生まれない。
そして犠牲のほとんど出ないアメリカも、人命を理由に戦争をやめるとは考えにくくなります。

人命により戦争が終わらないとなると、もう一つの戦争が終わる手段である、どちらかが目的を達成しなければ戦争が終わらないということになります。
現在の中東の戦いを見ると、アメリカサイドの目的はイスラム国の排除とアサド政権の打倒であるといえます。
元外交官の佐藤優さんは、投入している軍の整備の面から見るとアメリカがこの目的を達成することはほぼ不可能という見方をしていました。
それに対してイスラム国の目標はイスラムの教えで動く巨大なイスラム帝国を作ること。
もともと存在しない国を作ろうとするわけですから、こちらも事実上不可能です。
そうなると、どちらかが目的を達成して戦争が終結するという可能性も低くなります。

僕の考える昨今の中東戦争の最大の問題は、終わるきっかけが存在しないことです。
シリアの内戦に関してはアサド政権が破られれば終わりになるかも知れませんが、そこにイスラム国やクルド人問題など、さまざまな要素が絡み合っているため、シリアの内戦が終わったところで戦争自体が終わるわけではありません。
要素が一つ減るだけ。
イスラム国の場合、その性質上トップの首を取ったところで終わりにはなりません。
また、もともと国土を有しているわけではないため、土地を制圧して戦争を終えるという手段をとることができません。
終わり方の見えない戦争がどうなるのか。
それが犠牲を厭わない人たちと犠牲が出ない人たちの戦争だと思うのです。

ドローンで戦う集団VS国土を待たず死を恐れない戦士を率いた集団という、SFの世界のような構図の戦いが現実で起こっているのが現在の中東戦争
明らかに20世紀までの戦争とは毛色が異なります。
この「終わり方のない戦争」がどう進むのか、僕たちはしっかりと注目しておく必要があるように思います。