読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



塾講師のバイトは、給与形式選択制にしたらいいと思う

ブラックバイトの話題でほぼ必ず上がってくる塾講師のバイト。
契約内容以外の仕事が多いということで問題になっているのだそう。
時間外の業務が多いのは不当だというのが、塾講師のバイトをブラックという人の主な主張。
一方で、全くその環境をブラックだと思わない人がいるのも事実。
僕はこの二つの差異は、何に対して賃金が支払われているかという認識の違いにより生じているのだと思います。

塾講師のバイトがブラックであると感じる人は、塾講師の普通より高い時給が、拘束されている時間に対して支払われていると考えています。
だから、30分前に入室して準備だとか、授業終わりの業務だとかが発生すると不当だと考えます。
これは全くもってその通り。
そもそも反論の余地もありません。
一方で、時給が生み出した価値に対して支払われていると考える人たちは、「一コマの授業」という商品を提供した対価としてお金を受け取っています。
こう考える人にとって、授業準備や早く入っての教室整備、もろもろの書類の記入は授業という商品の一部です。
だから、多少の時間外の拘束もあまり気になりません。
彼らにとっては、普通より高い時給は、そうした諸々の雑務を含めた部分に支払われていると考えるからです。

全体の流れとしては、授業以外の業務に対しても賃金を支払う方向に進んでいます。
おそらく塾側は、高い給与の理由はそれが高度な仕事だからではなく、単に準備に時間がかかるからその分として支払っているという認識のはず。
で、あれば業務にも時給が発生するようになれば、授業に対して支払われる賃金が低くなるはずです。
仮に、90分一コマで1800円支払っていたとしたら、これが時給900円で授業の前か後に30分の業務時間が追加されるというのが妥当でしょう。
それならば結果として貰える賃金は同じです。
僕は「時給」という観点でいくのであれば、これが妥当だと思います。

さて、もともと生み出した価値に対して賃金が支払われていると考える人にとってはどうか。
こういう人たちは時間を拘束されず好きな時間で準備したり、業務をこなせることも塾のバイトの旨味と感じています。
そういう人にとっては、賃金が下がって、代わりに拘束時間が増えるのはかえって嫌な制度になります。
多少の準備時間や雑務に関するタダ働きはいいから、その分高い時給、自由な拘束時間を好むという人も少なくないはずです。

塾のバイトの特徴的なところは、こうしたふた種類の価値観の人が集まる点にあるように思います。
もしこれが電話対応や工場の流れ作業のバイトであれば、そのほとんどが拘束時間に対して賃金が支払われると考えるでしょう。
反対にライターやクリエイターの仕事をしている人ならば、大半は成果に対して報酬は支払われているのだと考えるはず。
両者が混在するバイトって、以外と塾講師くらいなんじゃないかと思います。
もし仮に時給を下げて拘束時間を増やせば(今までは授業準備の名の下に無償労働とされていたところを業務給として支払うだけで、実質の賃金は変わらないものとします)後者の考えで塾講師のバイトをしていた人たちからは不満が生まれるでしょう。
彼らにとっては、コマに対する給与支払いが高い方が魅力的だから。

僕は、塾講師のバイトの賃金問題を解決するために、二つの雇用形態を用意しておくのが良いと思っています。
一つは従来のように、時給が高い代わりに授業時間に対してのみ賃金が支払われる賃金体系。
そしてもうひとつは時給をほかの仕事並に下げて、代わりに授業時間外に業務手当を支給するという形式。
入る段階で給与体系を被雇用者に選んでもらうようにすれば解決すると思うのです。

経済学で考えるような合理的な人間の行動を考えると、拘束時間に対して賃金が支払われる場合、1番手を抜く方向に行動することが最も合理的な選択です。
どんな価値を提供しても賃金が同じなら、手を抜く方が相対的にリターンが大きくなるから。
そのため、提供した価値に対して賃金が支払われると考える人と、拘束時間に対して賃金が支払われると考える人では、生み出すパフォーマンスは前者の方が高くなるはずです。
もし塾講師のバイトを時間制にしたら、後者の価値観の人が増えるはず。
しかし、雇用者として求めるのは前者の人材です。
だからといってタダ働きを強いれば、拘束時間に対して賃金が支払われると考える人から批判(実際は正当な主張ですが)がくる。
拘束時間に対して賃金が支払われると考える人を納得させて、且つ生み出した価値に対して賃金が支払われると考える人を囲い込むためには、2種類の賃金形態を用意することが有効だとおもうのです。

大学時代、僕は教えるという仕事なんかより、ダンボールの積み上げやコンビニのレジ打ちの方がよっぽど大変だと思うので、高い時給にはそれなりのタダ働き的なものがあって当然と思って塾のバイトをしていました。
だから全くもって不満はなかったのですが、同時にタダ働きがという愚痴を後輩からよく聞いていたので、そちらの気持ちも分かります。
塾講師の賃金問題の最大の原因は、雇用者側は当然のごとく高い時給には雑務の分が含まれると考えていて、被雇用者の側は当然のごとく高い時給は難しい仕事をしているからと考えているところにあると思うのです。
両者の認識のギャップがあるため、賃金でのいざこざが起こる。
そういう問題が起こらないためにも、僕は賃金体系を二つの用意したらいいと思っています。

アイキャッチ本田由紀先生の「ニート」って言うな

「ニート」って言うな! (光文社新書)

「ニート」って言うな! (光文社新書)