新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



25歳の現代文考

現代文の解き方について端的に表すとしたら、僕は文章の内容を踏まえて、根拠を見つけて解く作業であると答えます。
「①文章の内容を踏まえて②根拠を見つけて解く」
この2つの力を鍛えることが現代文の力をつける最短経路だと思います。
日頃から活字に慣れ親しんでいて、文字を読めば内容が十分に把握できる人間にとっては、①の練習は必要ありません。
そういうひとは、テクニックを駆使して文章の内容を理解しようとせずとも、フツーに読んだら、筆者の言いたい内容、主張や論点が理解できるのです。
だから、「内容説明ならばこうやって解く」とか、「理由説明ならばここに注目する」といった『解き方』を覚えるだけで得点に直結します。
すでに内容理解力が伴っている人には、読み方を覚えることは不要なわけです。

パッと読んだだけ内容が把握できるだけの理解力が予め備わっている人に関しては②の力をつけるだけで十分ですが、裏を返せば文字から内容を理解する力が備わっていない人は、②の力をつけようとするだけでは絶対に実力は伸びません。
①の力が十分に足りていないのに②のテクニックばかりを身につけると、文章の内容をまったく理解せずに、ひたすらにキーワードや設問に合致する文字数の箇所を抜き出すような習慣がついてしまいます。
解答を見ればすぐにこのパターンに陥っている子は分かります。
明らかに内容からずれている箇所を答えの根拠として平然と並べ立てているからです。
このタイプに該当する子にとって必要な勉強は、先に挙げた二つの力で言えば、②の根拠を見つけて解く力ではなく、①文章の内容を踏まえる力なのです。

僕は「文章の内容を踏まえる力」を読む力と読んでいます。
参考書や多くの先生がするアドバイスは読む力ではなく、解く力にフォーカスしたものがほとんどです。
解く力を説明するテクニックは、点数に(一見すると)直結し(したように見え)ます。
「〇〇という言葉を探したらその付近に答えがある」と説明されて実際に辿りつければ、実際に解けたように思うからです。
それに対して、読む力は、直感的には実力がついているようには感じられません。
内容が正確に捉えられるようになることはあくまで下地であり、直接的に点数と結びついているようには感じづらいからです。
授業や参考書が相手ありきである以上、作り手はどうしても直感的に「分かった気にさせる」要素が必要になります。
国語が苦手な子が多くなれば、否が応でも「直感的に分かった気にさせる」要素を増やさざるを得なくなります。
そのため本来なら、十分に読む力を伸ばすことをした上で、解き方を教える段階に入るのが理想的なのですが、100%読む力の養成に振り切った授業なんて、子供たちの興味や集中力の度合いからして、ほぼ不可能なのです。
(だからほとんどの先生が、直感的な分かりやすさや、当人の魅力でひきつける等、さまざまな工夫をして読む力の伸ばし方を教えていきます)

だいぶ教える側の話になってしまったので話を戻します(笑)
得点がのびない、或いは毎回の得点にムラがあるという生徒さんの多くが、①の力が伴っていないのに②の技術ばかりを駆使しようとしている状態です。
こういう状態に陥った人は、線の引き方や、重要部の捕らえ方、具体抽象関係を捉える方法等を学んで、正しく文章を理解する練習をすることが不可欠なのです。
しかし、「これを探せばいい」という解法と違って、内容を理解する練習はひどく地味な上に根気が必要です。
数学で言えば掛け算九九や四則計算のような段階。
いざ受験生になって掛け算九九や四則計算の練習をしろと言われても、たいていの人はそんなのプライドが許さないと感じるでしょう。
無意識ではあると思うのですが、国語の勉強の際にしっかり内容を理解しろというアドバイスをされたときに、ほとんどの生徒さんがそれを素直に受け入れられないのは、数学におけるそれと、本質的には同じ心情が影響しているのだと思います。
そしてその度合いは、内容を理解する力が弱い(=国語が嫌い)な生徒さんであるほど大きくなります。
これが、国語が苦手な人が勉強をしてもなかなか成績が伸びない最大の理由であるように思います。

では、そういった子が成績を伸ばすにはどうしたらいいか。
これはもう、以上のことを頭で理解してもらって、地道に「読む力」を身につけていきたいと思ってもらうしかありません。
それにはなんらかのインセンティブ(読む力をつければ確かに問題を解けるようになるという確かな実感や、読む力をつけると得するという合理性)を自覚することが不可欠です。
そこを提供することが現代文を教える人間として必要な姿勢だなあと思ったり、インセンティブを明確に示すことのできるテキストを作ったらニーズがあるだろうなあと思ったり。。
そんなことを考えながら現代文の説明を日々改変しているわけですが、なかなか先の見えない模索が続いています(笑)
同時に、だからこそ面白い科目だなあと思ったりするわけです。


アイキャッチ養老孟司さん「バカの壁

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