新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



いつか来る興味をもつ瞬間に備えて、「環境」を整備するということ。

僕は持論として、あるものを好きになるときには、好きになりそうな瞬間に、どれだけその「好き」に囲まれた環境にいるかが大切であると思っています。

僕は今でこそクラシックが大好きなのですが、本格的に好きになったのは大学を卒業する頃でした。
きっかけは好きなお笑い芸人の方がドビュッシーラヴェルの話をしていたこと。
何気なくラジオを聞いていて、その2作家の名前と両者の代表曲ともいえる、「アラベスク」と「水の戯れ」を聞いて、こんな曲もあるんだ!と、クラシックの見方が180度変わったことを覚えています。
その後、いろいろなクラシックの曲を聴いていくうちに、自分なりに好みの曲がわかるようになりました。
僕の好きな曲はやっぱり主に印象派で、そこにショパンベートーヴェンが入ってくる感じです。
高校3年生までピアノを習っていたのですが、印象派の曲には、ほとんど触れたことがありませんでした。
もしずっと昔にラヴェルのような作曲家を知っていたら、もっと真剣にピアノを練習していたような気がします。
(練習が嫌いなだけで、ピアノ教室は大好きでした)
 
当時はクラシックというと、モーツァルトやバッハなどなど。
僕がクラシックに魅了された印象派とは対極に位置するような作家の曲ばかりです。
言わずもがな、そうした課題曲が中心であったのは僕の技術不足が唯一にして最大の原因なのですが、同時に、もし両親がクラシック好きで、身近にそういった曲が溢れていたら僕はピアノをもっと真剣にやっていたのだろうか?なんてことを考えてしまいます。
もちろん、年齢を重ねたからラヴェルドビュッシーの良さが分かるようになったという部分も少なくないと思うのですが、それを差し引いても、小さいころにこうした作家知っていたら、クラシックにかける熱意は変わっていたように思います。
 
よくミュージシャンの子供はミュージシャンになりやすいみたいなことをいいますが、これはあながち間違えではないように思います。
コネでも血筋でもなく、単純に親がその道を究めた人である場合、その分野に子供が興味を持つ可能性が高くなる。
だって他分野に比べて「生の音」をきいているから。
身近なところに音楽が溢れている環境とそうでない環境では、音楽に興味を持つ可能性は前者のほうが高くなるのは明らかです。
 
身近なところに「好き」が溢れているほうが、その分野に興味を持ちやすくなるというのは、音楽に限りません。
どんな分野でも、自分が深く掘り下げたいと思ったときに、それができる環境があると、それがない場合に加えてずっと深い部分まで興味が向くと思うのです。
ただし、それは外部から強制されて興味を持つようなものではありません。
むしろ、「これを好きになれ」と強制された場合、それが逆効果になる場合がほとんどです。
一番ダメなのは、環境を整備してもいない状態で強制すること。
お母さんはテレビを見ていて全く構ってあげる気はないのに勉強しなさいと言ったり、クラシックに興味もないのにとりあえずピアノを習わせて「練習しなさい!」と叱ったりとかそういう状態(笑)
そもそも興味を持つための土壌もないのに、そのうえ強制されれば、誰だって興味を持つはずがりません。
そんなわけで僕は、子供に何かを習わせたいと思ったのならば、いつかくる興味を持つ「その日」に向けて、その子がとことん追求できる環境を整えておくことが唯一の方法だと思うのです。
たぶんそのうちのほとんどには興味を持つことがないと思うけれど、環境の整備さえしておけば、とりあえず興味を持ってもらえる「可能性」は残ります。
逆に、それ以外の方法で興味を持たせることは不可能です。
子供に勉強をさせたいのならば、いつかやる気に火がついたときのためにいつでも勉強のできる環境(塾に通わせておくとか、電子辞書や参考書を揃えておくとか)を整備して上げる、ピアノを弾くようになって欲しいのならばあらゆるクラシックのCDを取り揃えておく。
そんな環境整備が、なにより大切なように思います。

アイキャッチは「バイオリンのない生活が想像できない」という葉加瀬太郎さんの決めポーズ

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