新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



英単語学習における逆スマイルカーブとそれに基づく勉強法

「モチベーション」や「やる気」といった内性的なものではなく、いかに外的要因で勉強ができるシステムを発明する。
これは僕が教育に携わる上で自分自身の目標としているテーマの一つだったりします。
もちろんそんなもの、パッと思いくけるわけもないのですが、少しずつ仮説を立て、検証し、自分なりのノウハウを蓄えています。
最近僕が関心を持っているのは英単語です。
英単語を覚えるシステムについて、新しいアイデアが思いついたので、紹介させてください。

まず、受験英語を攻略するにあたって、英単語を覚えることがどのくらいの効果的であるのかを考えます。
僕は英語の問題は突き詰めると知識が無ければ解けない問題と、読めれば解ける問題の二つに要素分解しました。
知識が無ければ解けない問題の代表例が文法問題・発音アクセント問題、それから英作文などの問題です。
また読解問題の中でも、国立2次で問われるような、自分で英語を考えて答えなければならないものはここに該当します。
読めれば解ける問題の定義は、仮に問題文が全て日本語であった場合解答にたどり着けると定めました。
一番問題が定型化しているセンター試験を例に、上の2分類で配点比率を考えると、知識が無ければ解けない問題がおよそ3割弱、読めれば解ける問題が7割です。
ある研究では、特定の文章の内容をきちんと理解するには、その文章のうちの90~95%の語彙が理解できていることが必要という結果が出ています。
このことから、センター入試レベルの英単語のうち、90~95%が分かる程度の語彙力を身につければ、7割の得点は期待できると考えられます。
大学受験において、英単語を覚えることのコストパフォーマンスはかなり高いといえるでしょう。
次に、具体的に単語を覚えるためのシステムについて考えていきたいと思います。

単語を覚えることに関して、定着率と生産性(覚える効率)の間には逆スマイルカーブの関係があるというのが僕の仮説です。
勉強を始めた初期の段階では、頭の中で互いに関連する知識が全く存在しないため、生産性は低い状態です。
やがて一定の語彙が定着すると、同義語や接頭辞などの関連から単語を認知することができるようになり、生産性が上がってきます。
ある一定量の単語を覚えると、自分にとって苦手な語彙が中心に残ります。
また、それらは互いに関連させづらい。
こういった語を覚えなければならない最終段階になると、再び生産性は低下するため、単語学習は逆スマイルカーブを描くようになる。

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逆スマイルカーブに基づいて、単語の学習を3つの期間に区切ると、一定の語数を頭に入れなければならないⅠ期と、単語学習がうまく軌道にのって生産性の高いⅡ期、そして最期の詰め込みを必要とするⅢ期に分けることができます。
3つの段階に分けたうえで図をみると、生産性の低いⅠ期と、同じく生産性が再び下がるⅢ期に対して効果的にインセンティブを与えるような学習方法が有効であると僕は考えました。
こうした仮説に基づいたとき、僕は次のような単語学習の方法を考えました。
①まずひと月で1000~1500語程度の単語帳を一周する。
②次に覚えた1000~1500語程度の単語から、ランダムに50問が抽出される単語テストを用意して、毎日実施。
③単語テストを単語の横に単語帳の掲載ページを記載しておき、分からなかった単語に関しては、単語帳の掲載ページを確認&そのページに掲載された単語を全て復習する。
④この単語テストを毎日の勉強の最初に組み込む。
上の勉強法方だと、Ⅰ期に分類される単語が未定着の人は、行わなければならないテスト後の復習が膨大な量になってしまいます(1ページに6語載っている単語帳で最大300語)。
そのため、単語テストにかかる時間を減らそうという、単語を覚えることに対するインセンティブが生まれます。
また、大方は覚えられているⅢ期に属する人は、覚え漏れが発見できると同時に、覚えた単語を忘れることを防ぐことができます。
なにより、Ⅲ期の段階に到達している場合、単語テストにかかる時間の負担が少なくて済む。
一語5秒で答え、5問ミスで復習に1ページあたり一分を割くとした場合、一日あたりの負担は10分前後になる計算です。
一日10分程度の学習で、覚え切れていない残りの数%を補っていくと考えれば、コストパフォーマンスは決して悪くありません。

以上が、僕が今考えている単語勉強の方法です。
もちろんまだまだ穴だらけで改善の余地はあると思いますが、一定の成果は期待できるのではないかと思っています。

アイキャッチは関正生先生の参考書

東大英語の核心

東大英語の核心