新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



ゲームのルールが変わるとということ

もちろん人によって、何に注目するのかというその人の見方によって、解釈に違いがあると思いますが、僕は革命という言葉の定義を、「ゲームのルールが変わること」と考えています。
それまでの社会のルールとは全然違うルールで新たな社会が回るようになる。
振り返ってこの転換点になっている部分のことを「革命」というのだとボクは考えています。

例えば、農業革命以前であれば、腕っ節の強い、狩猟が得意な人が勝つという「ゲームのルール」でした。
定期的な収穫も十分な備蓄も無い世界では、明日の食料をしっかり確保できることが何よりも重要だからです。
農業革命が起こると、このルールが変わります。
農業をするようになって、ある程度安定した収穫が入るようになると、腕っ節の強い人が活躍できる社会ではなくなります。
農業が始まって一番重要なことは、安定して収穫ができることです。
そのため、仲間をしっかりと治めてくれる人、そして日照りや干害を防いでくれる占い師のような人々が強いというルールになるわけです。
農業革命の前後で、腕っ節の強い人が偉いというルールから、農業に安定をもたらしてくれる人が偉いというルールの書き換えが起こっています。
市民革命では、貴族が偉いというルールから市民の指示を得た人が偉いというルールになっているし、産業革命なら、たくさん生産できる職人芸を持っている人が偉いというルールから土地やお金を持っている人が偉いというルールに変わっています。
僕は、このルールの書き換えが、「革命」の根本だと思っています。

では、新しい革命があったときに、次のルールで勝ちになるのは誰なのか。
歴史を後から振り返ればはっきりと誰から誰に「強さ」が移ったのかは分かりますが、それを当事者として予測することは極めて困難です。
しかし、一つだけ分かっていることがあります。
それは、新たなルールに書き換わるタイミングでは、それまで一番優位なポジションにいたものが引き摺り下ろされるということ。
ここだけは常に変わらない。
であれば、革命が起こっていると感じる社会においては、そのポジションに自分がいないことが、次のルールの中で勝ち残るための有効な戦略になってきます。

現在は農業革命、産業革命に次ぐ、IT革命という第三の革命が起こっているといわれていますが、新しいルールの中では、どういった生き残って、どういった人が衰退していくのか。
さきほども書いたように、勝ち残る側を予想することはできませんが、衰退していく側を予想することは可能です。
つまり、新たなルールが引かれたときにできたシステムで、現在構造的な優位性を持っているものを探せばいいわけです。
僕は日本において新たなルールが引かれたのは、終戦のときだと思っています。
そして、一定のシステムが完成したのが高度経済成長のころ。
ここまでの期間で作られたシステムのうち、明らかに肥大化したシステムが、IT革命によって一番を受けることになるはずです。
で、僕の頭に真っ先に思いつくのが、年功序列と終身雇用という2つの制度です。
30年の住宅ローンにしろ、奨学金にしろ、これらのシステムが前提となっているからこそ、当たり前のように僕たちは受け入れていますが、もし「一度就職さえすれば定年まで安泰」という前提がくずれたらどうでしょうか。
恐らく、何年もかけてお金を払い続けるなんていう「リスキー」なこと、なかなか選べなくなるように思います。
しかし、普段の生活で僕たちはそんなこと意識もしません。
それくらい年功序列と終身雇用は今の社会の底のほうに根付いているということです。
だからこそ、ルールが変わったときに真っ先に崩れる可能性が高い。

この十年を振り返って、明らかに社会のシステムは変化しているように思います。
始めは生活の一部分にしか影響がなかったものが、やがて仕事の仕方に影響を与えるようになりました。
パソコンの普及なんてその象徴です。
SNSが普及すると、僕たちの友達関係のあり方に影響を与え始めました。
そしてSNSで誰とでもつながれるようになったことや、ウェブを通じて情報発信ができるようになったこと。
あるいはクラウドファンディングなどができたことで、「有能な人」はいくらでも仕事の可能性が広がっています。
僕は肌感覚で、とりわけこの数年ITによって外堀が埋められていっているように感じます。
現在のルールの中でうまく立ち振舞って(そうしないとそもそも生活できないので)、かつ新たなルールに移行したときに適応できるポジション取りをしておく。
今の20~30代くらいの僕たちは、かなり面倒な、裏返せば面白い立ちいちにあるように思います。


アイキャッチ岡田斗司夫さんの評価経済社会

評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている

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