新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



IT革命は誰もが参加できる段階からルール作りの段階に入った

最近ちょこちょこ書いている「革命」についてのお話です。
このトピックの話をするときにいつも言っていることなのですが、僕は「革命=何かのルールがひっくり返ること」と定義しています。
例えば農業革命は、腕っぷしの強く狩の得意な人間が偉いルールから、安定した収穫をもたらしてくれる人が偉いというルールに変わったことみたいな感じです。
ルールが変わるには、一旦境界がなくなるタイミングと、新たな境界が再構築されるタイミングが必要です。
1度目の波でそれまでのルールが崩されて、2度目の波で新たなルールが施行される。
産業革命で行けば、蒸気機関というテクノロジーが生まれたことでそれまでのルールが崩されます。
そして、それを使った工場を作る人が出てきたところで、生産者と消費者、もっと言えば資本家と労働者という枠組みで新しいルールが出来上がった。

専門家でも何でもないので、この辺は直感的なものなのですが、1つ目の波でルールが崩れ、2つ目の波でルールが作られるというのが僕の考えです。
で、この考えに沿ってIT技術について見て行くと、僕には1つ目の波がパソコンの普及で、2つ目の波がスマホの普及に見えるのです。
これは先日のちきりんさんの記事(保有端末のまとめ - Chikirinの日記)にも書いてあったことですが、パソコンとスマホの最大の違いは生産するためのツールであるのか、消費するためのツールであるのかという点です。
パソコンは、新たなサービスを作り出すためのツールです。
パソコンに関するIT技術の発展といったお話は、あくまで作り手視点のもの。
だからこそ、パソコンが普及した時に僕たちの仕事のスタイルは大きく変わったし、ITバブルなんてものが起こったのだと思います。
それに対してスマホに絡む技術進歩は、あくまで消費者視点のお話です。
どんな高機能のデバイスが出たという話題であっても、それは「消費者」として使いやすい商品が生まれた程度のお話です。
だから、スマホが爆発的に普及しても、それが原因でスマホによるITバブルはこないわけです。
もちろん、消費者がスマホを持ったことによってビジネスチャンスができたという意味ではバブルがあったと考えることもできます。
しかしそれはあくまで、スマホが消費者に広まった(=いい消費者が生まれた)ことによって起きたことで、スマホというデバイスの機能によって起こったことではありません。
あくまでスマホは消費目的のツールで、その範疇を出ない。

生産のツールとしてのパソコンが発達したことで、既存の様々なサービスがITテクノロジーにとって変わられて行きました。
そしてそれはさらに加速しています。
これが1つ目の波で、ルールが崩れていく過程です。
この段階に触れている人たちは、IT普及以前のルールと以後のルールを行き来していくことになります。
その中でそれまでのルールでは不利だった人が、一気に優位なポジションに飛び出してくるなんてことも起こります。
そういう、入れ替わりが激しい混乱した状態がパソコンが普及したあたりから起こり始めたこと。
それまでは資本を持っている人、或いは資金を集められる人が生産者に回っていたのが、パソコンがあれば取り敢えず生産者に回ることができるようになりました。
つまり、この時点で生産者と消費者のシャッフルが起きたということ。

その後、消費のツールとしてのスマホが普及し始めると、パソコンは使ったこともないけれどスマホは持っているという世代が出始めます。
今の中高生は、このパターンが少なくありません。
もしかしたら、大学生でもいるのではないでしょうか。
スマホしか触れたことがない人々は、生産ツールとしてのITを知らず、消費ツールとしてのITしか触れたことがないことになります。
消費ツールとしてのITにしか触れたことの無い人にとっては、ITイコール消費の手段という認識になってしまう。
つまりこの段階で、パソコンが普及したとき崩された生産者と消費者の境界が、別の形で再び形成されてくるわけです。
ITと聞いて「やっぱパソコンでしょ」という人は生産者の立ち位置になり、「スマホで十分」という人は消費者の立ち位置になる。
僕はこうやってIT革命後の世界のルールが形成されていくように感じています。

スマホの普及によって、明らかに僕たちのライフスタイルは変化しました。
これは、IT技術が僕たちの世界にどんどん溶け込んできているということだと思います。
IT技術のある世界が当たり前になったということは、逆に言えばITの持つ可能性に鈍感になりつつあるとも言えます。
そこに消費するためのサービスが十分には揃っていなかったスマホ以前ならばITは触れた殆どの人にとって、新たなサービスを生み出すポテンシャルを秘めたものでした。
しかし、消費するサービスありきのスマホになった段階で、そういった新たな可能性には、目が向きづらくなっています。
スマホの可能性に目が向くには、あまりに面白くて便利なサービスに溢れすぎているから。
こうなると、ITに触れて生産者の側に回るという経験は少しずつ減っていきます。
そして、生産者と消費者の境界が再び形成され始める。
IT革命はここから加速するという主張を耳にすることがありますが、それは「ここからルールが整備されていく」という意味だと僕は考えています。
つまり、プレイヤーがシャッフルされる段階は終わって、新たなプレイヤーによって次の境界が作られる段階です。
スマホの普及はその転換点てあったように思うのです。
少なくとも僕は、日々のサービスの進化を見ていると、新たなルール作りが着々と進んでいるように感じます。
その進行過程を自分で体験できるというのが、なんとも面白いなあと思ったりするわけです。

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