日がな一日スマホに触っていると、目に見えて読書の時間が減っているのが分かります。
前は普通に暮らしていたら月10冊くらいは読めたのに、今はかなり意識して時間をとらないと、その程度の量も読めません。
これが最近の悩みだったりします。
今まで移動中に雑誌や新聞を読んでいた人の中にも、それがスマホをいじるのに取って代わったという人が多いんじゃないかと思います。
雑誌や新聞よりもスマホのコンテンツが面白いとかではなく、単純に使いやすいからという理由で。
同様に、僕に限らず読書の時間もスマホに奪われたという人は多いのではないでしょうか?
別に、読書をしたら頭がよくなるとか、人生が豊かになるみたいなことを考えて本を読んだことはありません。
ただ好きだから読む。
明確なメリットがあるとは思っていないので、僕は基本的に周囲に読書は「大切だ!」とは言わないようにしていました。
「〜だから本を読んだ方がいい」の「〜」の部分に、理屈の通った説明が見当たらなかったからです。
でも、スマホをずっといじるようになって、自分の中で一つ読書をすべきという理由ができました。
それが、損得感情から読書をしようというもの(笑)
スマホが普及することで、全体的に読書をする機会が減りました。
もちろんKindleで読むようになったという人もいると思うので、その辺がどの程度かは分かりませんが、すくなくともディスプレイ上で競合するコンテンツが出てきたという意味で、それ以前よりは全体的に読書量は減っていると仮定します。
本を読む人数が絶対的に減っているとしたら、そこから得られる情報を持っている人も少なくなりつつあると考えられます。
本を読むことで得られる知識とニュースを読むことで得られる知識の最大の違いは、体系的に学べるか否かということにあります。
ニュースアプリやウェブページの情報は、本に比べてどうしても短なものになってしまいます。
したがって基本的に体系的な情報を収集するのには向いていません。
体系的な情報を得る手段を使う機会が減ったということは、そういった情報なり知識が今後差別化要因になってきます。
その意味で、読書は有効だと思うのです。
体系的に知識を学べるというのは専門書などの評論系の文章の強みですが、もちろん小説にも強みはあると思っています。
それは、活字から情報を組み立てる能力です。
やっぱりこちらもスマホで得られる情報からは鍛えづらい能力ではないでしょうか。
活字から情報を集めて頭で再構築するという作業は、ある程度の情報量(文字数)、そして筆者の強い意図がなければできません。
やはりこういったことが必要になるのは単発のニュースや感情系動画ではなく、本みたいな媒体でしょう。
情報を頭で組み立てるというスキルも、スマホが普及するにつれ低下していき、だからこそ相対的に強みになっていくように思います。
体系的な知識、情報を集め再構築する力は、訓練してすぐに役に立つものではありません。
効率化を尊ぶ現在の社会では、むしろ軽んじられている分野にさえ思います。
しかし、差別化された何かを生み出すには、本来ならそうした長期的な投資を要する下地が不可欠なはず。
僕には効率化の評価がインフレしているように見え、そしてそれは石油を見つけたばかりの人類が、やがて枯渇するものであるとも知らずにガンガン使っている様に重なります。
ヤバいって思った時に動いてもそこから身につけるのには時間がかかりすぎます。
だからこそ、今の時点で読書をして、こういった力を身につけておくことに意味がある。
10年後に僕たちくらいの世代が周りと比べて差別化できるスキルは、英語力でもプログラミングスキルでも、ましてロジカルシンキングでもなく、読書で身につけた体系的な知識、情報を集め再構築する力だと思うのです。
(英語力、プログラミング、ロジカルシンキングはいらないというわけでなく、そんなの持っていて当たり前という意味です。)
そんなわけで、改めて意識して読書時間を確保しようと思う、今日この頃。
アイキャッチは知識の強さを嫌でも分からせてくれる、竹内政明さんの名文どろぼう
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