新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



友情・努力・勝利のその先へ〜最近のジャンプマンガに通じるメッセージ〜

努力・努力・勝利といえば、言わずと知れた少年ジャンプの3大テーマですが、ここ最近、ビミョーにこのコンセプトが変わってきたような気がします。
いやっ、厳密には「作者が伝いたいメッセージが変わってきた気がする」というほうが表現が適当かもしれません。
<「正解」ひとつしかしらないやつは
「もっと凄いもの」にはたどり着けない気がするんだ>
これは今週号のジャンプに掲載された料理マンガ「食戟のソーマ」に出てきたセリフ。
似たような言葉は、他のマンガにも見られます。
<道草を楽しめ 大いにな 欲しいものよりもっと大切なものが きっとそっちに転がっている>
コレはハンターハンターで主人公のゴンに向かって父親が言ったセリフ。
<試合終了した時どんなに相手より多く点を取っていても嬉しくなければそれは「勝利」じゃない・・・!>
こっちは黒子のバスケ
そして、直接セリフとして書かれたわけではありませんが、暗殺教室では、教室の中で必死に勉強をするエリート学生と、「落ちこぼれ」の烙印を押された子たちが殺せんせーの下で、自然に触れながら楽しく学び、机に向かった生徒たちに勝つ場面が描かれています。

これらの作品に共通するのは「勝てばそれでいいの?」という価値観です。
勝つことこそが正義であった90年〜0年代。
それに対応するように、勝つだけじゃない、その先が描かれ出したところに、何か時代の移り変わりを感じます。
勝つための戦略やノウハウはあるけれど、それでいいのか?
勝つことだけを求めても、その先にあるものにはたどりつけない。
ここ最近のジャンプを見ていると、作者からのこうした問題提起がなされているように感じるのです。

言われた中で「頑張れば成功できる」から、システムの中でいくら頑張っても、構造上手くいかなくなったことに少しずつ気づきはじめたのがゼロ年代の半ば。
そこに出てきたのが進撃の巨人をはじめとする「壁のなか」という世界観です。
守られた壁の中で言われた通りに暮らしてきた壁の内側の人々は、ある日突然壁が壊され、急な危険に襲われます。
壁の壊れた世界、つまり無秩序な世界に対する生き方に関するある種のアンサーであるよくにも見えます。

あちこちでルールそのものに綻びが生じてきているのに、その枠の中で考えているだけでいいの?
週刊連載のマンガ家は、毎週アイデアを自分で出して、キャラクターと世界観を生み出して、それを絵と言葉で切り出すとい、創作の極みみたいなことをしている人たちです。
そうしたマンガ家さんたちが、同時期に似たメッセージを発しているというのは、何かしら感じるものがあるからなのでしょう。
「コンテンツは時代の空気を映し出す」とは、マンガ家の山田玲司さんのことば。
確かに、バブルの頃の作品を見ると、歌も、映画も、そしてマンガも、どこかしら「このまま永遠に伸び続けるさま」を感じます。
その象徴が、倒したらもっと強い次の敵が現れるというジャンプ方式。
失われた10年、20年といわれる時期には、終わらない日常を描いた作品や、現実とは違う世界をテーマにした作品が目立ちました。
そして壁が壊れ、上に挙げたようなモチーフが登場し始めた現在。
「勝利の、そのさきへ」
最近のジャンプマンガを見ていると、こうした空気を感じます。