新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



早くやれば良かったと毎年後悔する人のための読書感想文講座②感想文は選ぶ本で8割決まる

読書感想文とは何か?
僕は読書感想文で一番重要なことを、を一言で表すと、本の中から「あるある」って思える箇所を探す作業だと思っています。
主人公が思わず飛び出したその行為に「あるある」と共感したり、困難に立ち向かう姿に共感したり。
こんな風に作品の中の登場人物の行為で共感できるところを見つけ、その共感の根拠を自分の経験の中から探していく。
こうやって作ると、「感想文」は比較的簡単に作ることができます。

さて、前回のエントリで僕は、「薄い本を選ぶと感想文がかきづらい」と言いました。
その理由はここにあります。
読書感想文が「あるある」と共感できる箇所を探す行為であるとしたら、その共感を探す材料は広い方がいいのです。
もちろんページ数が多ければいいというわけではありませんが、分量が多くなれば単純に共感できる箇所に出会う確率は高くなります。
数ページで終わる作品は結末に向かって一直線に進みますが、200ページもあれば、当然脇で進むエピソードがあったり、物語が枝分かれしている部分もあります。
そういう細部のところで、「あるある」を見つける可能性が高くなるのです。
たとえば虫取りをしようとした時に、家の庭で虫を探すのと森に入って虫を探すのとでは、比べるまでもなく森に入っていった方が多様な昆虫と出会えそうですよね。
庭の虫取りはせいぜいカナブンが限界(笑)
フィールドを広くすればその分多様なアイデアに出会えるのは読書感想文でも同じです。

確かに数ページの作品は、読む作業はすぐに終わります。
しかし、「あるある」と思える場面に出会える可能性は低くなり、早く読み終えても書く段階でかなり悩まなければなりません。
結果として時間がかかってしまう。
逆に、多少分量の多い小説を選ぶと、最初の読む段階ではちょっとだけたくさんの時間が必要となりますが、その分「あるある」と共感できるポイントには幾つも出会えます。
だから、書き始めてからがとてもスムーズ。
ネタ元が乏しい段階でいくら悩んでも、いいアイデアは生まれません。
だから、読む段階で時間をかけるのと書く段階に時間をかけるのとなら、読む段階に時間をかけたほうが圧倒的に手間は少なくてすむのです。

ここまでは分量の話を中心に書いてきましたが、ページ数だけでなく、文体や時代背景によっても描きやすさは大きく左右されます。
たとえば、現代の作家の学校生活をテーマにして書いた作品と、明治時代の文豪が大人になってからの葛藤を書いた作品とを比べたとき、「あるある」と共感しやすいのはどう考えても前者です(笑)
昔に書かれた作品は、時代背景が今とは全く違います。
だから、作品世界にすごく入りにくい。
また、扱われる世界が大人の内面の葛藤だったり、おじいさんになってから感じたことだったりすると、全く共感できない場合があります。
仮に「周りの雑多な情報に触れないで、ただ盆栽を眺めてることこそが一番の幸せだ」みたいなことを言われても、学生の身からすればどうやったってそれに共感するのは難しいはずです。
また、作家によって文体も大きくちがいます。
一文字一文字、言葉の置き方にまでこだわった純文学と、読んでくれる人に対する伝わりやすさを優先して書かれた作品とでは、後者の方が圧倒的に読みやすいはずです。
そもそも難しい文体だと、それだけで読む気がなくなり、いつの間にか文字を追いかけているだけということにもなりかねません。
そうなってしまえば、「あるある」なんて当然みつけられません。
①作品の時代背景、②そこに書かれている場面、そして③作者の文体という3点から作品を探していくことも、読書感想文を書こうとする上では非常に大切なポイントです。

書く段階で悩まないために、できるだけ「あるある」が沢山得られるように、あまり薄い本を選ばない。
そして、作品の中から一つでも共感できるポイントを見つけるために、現代で自分の知っている世界を扱っていて、優しい文体で書かれた作家を選ぶ。
これが、本を選ぶ段階でもっとも重要なことです。
読書感想文は本を読むという「ネタ仕込み」の段階でその後の工程の8割以上が決まってしまいます。
是非、上に挙げた基準をもとに、自分にあった本を探してみて下さい。

アイキャッチは読書感想文に向いてそうな本②重松清さんの「季節風 春」

季節風 春 (文春文庫)

季節風 春 (文春文庫)