新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



日本酒に資産としての価値は生まれるか?

秋になって日本酒の「冷やおろし」が出回る季節になりました。
春先の新酒の時期に火入れをして、そのまま出荷せずに涼しい蔵元で一夏寝かせて出荷される冷やおろしは、熟成が進み、新酒とは違う味わいになります。
居酒屋の棚をみると、やはり日本酒は新しいお酒を楽しむものなのだなあと実感します。

少し前に「ワイン・アドヴォケート」という有名なワイン雑誌で日本酒の評価を行ったところ、78銘柄が高評価であったという記事を目にしました。
高評価の直後、各地の酒店に注文が相次いだのだそう。
日本酒好きの一人としては、世界に日本酒が認知されたというこのニュースは嬉しいものなのですが、これがワインの雑誌であるというところが少しだけ気にかかりました。
ワインコレクターにとって、ワインとは飲んで楽しむと同時に資産としての価値も持っています。
ワインは何年も寝かすことによって熟成され、そこに価値が生まれる飲み物。
だからこそ、出荷量が少ない高品質の年のワインなんかには、20年ものみたいな形で非常に高価な値段がついたりします。
年を重ねるにつれ価値が上がるからこそ、コレクターには大金をつぎ込む価値があるし、収集する意味があるわけです。

日本酒はワインと比べると、寝かせることで価値が上がるという側面はあまりありません。
保存のための火入れをしていない「生酒」みたいなものがあるように、むしろ日本酒は作りたてのフレッシュさを楽しむ側面が強い飲み物です。
そうなると、ワイン雑誌で評価が高かったからといって、ワインと同じイメージで買い集めるのは少し危険だと思うのです。
少なくとも、ワインと同じように「資産」としての価値が生まれるからと思って買い込んだ日本酒は、コレクターが期待するような値はつかないでしょう。
むしろ、年を重ねてしまえば価値が減っていく可能性のほうが高い。
作業工程が同じであるからといって、価値の帯び方が同じであるとは限りません。
ワインの有名雑誌「ワイン・アドヴォケート」で高評価であったからといって、その情報を鵜呑みに「買い」に走ったコレクターの中には、痛い目を見る人が少なからずいるんじゃないかなあと、そんな気がしました。

アイキャッチはここで高評価を得ていた「常きげん キス・オブ・ファイア」