恋愛クライシス~エルザに憧れる女性陣と三葉を待っている男たち~
「確かにいい映画だったけど、世間で言うほど感動した!とは思わなかった」
「君の名は」について、僕の周りにいる女の人からこんな感想を度々聞きました。
一方で、映画を見に行った男友だちはほぼ全員が絶賛。
こうした評価を聞いて、男女で評価が割れるというのがとても面白いなあと思いました。
こうした「君の名は」に対する男女の意見の違いを目の当たりにして、僕はアナ雪ブームが一番に頭に浮かびました。
2014年に日本で上映された、「アナと雪の女王」。
その年の大ヒット映画となりました。
アナ雪ブームのときは、君の名はとは全く逆の反応であったことを鮮明に覚えています。
つまり、アナ雪では女性が共感し、大絶賛をしているのに対し、男たち手放しに拍手とまではいっていなかったのです。
「君の名」は男たちが絶賛し、「アナと雪の女性」は女性が共感したという現象が、個人的には非常に面白いなと思います。
この男女による支持率の差にはそれぞれの描く理想が反映されていると考えることができます。
女性はエルザに憧れて、男たちは三葉のような女性を待っていると考えると、非常に面白いなと思うのです。
女性が共感したアナ雪のエルザは、「少しも怖くないわ」と言って1人で生きていこうとする女性として描かれています。
この生き方に強く共感するのが今の女性。
それに対して僕たち男は、「君の名は」のヒロイン三葉のような、田舎の無垢な少女との、まるで赤い糸で結ばれていたかのような運命的な出会いみたいなものをどこかで期待している節があります。
「君の名は」はそんな男たちの淡い夢を完璧な形で描いている。
だからこそ、どっぷりと作品世界に浸かり、あそこまで感動してしまうのだと思います。
女性が憧れるのがエルザで男性が待っているのは三葉。
それぞれがこれらこキャラクターに共感するのはなんとなくわかります。
しかし、エルザと三葉は全く逆の存在。
女性と男性がそれぞれエルザと三葉を望む限り、両者の希望はどんどんかけ離れていくように思います。
女性はエルザの様に、どんどん自分らしい生き方を探し、男性は三葉のような田舎の純朴な少女との運命的な出会いを待っている。
若者の恋愛離れが深刻なんてニュースを時々見かけますが、女性はエルザを
求め男性は三葉を待っているなんて理想を持っているのだとしたら、恋愛の希薄化もらどこか仕方がないようにさえ思えてしまいます。
きっと、エルザのような女性を受け入れたいと思う男たちは女性の思う以上に少ないし、男性が心のどこかで待っている三葉のような女の子との出会いなんて、女性に言わせれば妄想もいいところなのだと思います。
現実ではエルザみたいな生き方はできないし、三葉みたいな女の子との出会いなんてそうそうありません。
だからこそ、それぞれがエルザに憧れて、三葉を待ってしまうのでしょう。
男女がそれぞれの思い描くのとは逆のものを追いかけていたら、それで両者が交わるはずもありません。
君の名はがここまで男性に人気で、アナと雪の女王があそこまで女性に人気だったということを見て、どこか現代の日本の問題と重なっているように感じました。
アイキャッチは「君の名は」