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新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



2009京都産業大学一般3科目型「堤中納言物語(虫愛づる姫君)」現代語訳

赤本古文を訳してみた、

赤本に全訳が載っていないので、全訳を作ってみました。
内容の背景を捉えることを第一目標としているので、直訳とは若干異なるところがありますが、ご了承下さい。

(とくに敬語に関しては、話の筋を理解しやすくするためにあえて無視している箇所が多くあります)
順次赤本に全訳が載っていない古典の文章の訳をアップしていこうと思います。

(ところどころいい加減です・・・)

※因みに過去問は東進の大学入試問題過去問データベース から入手可能です

 

 この姫は「人びとが花や蝶を可愛がることがつまらないことなのです。人には誠実さがあり、物事の本質を見ようとする気持ちこそ素晴らしいものなのです。」とおっしゃって、さまざまな気持ちの悪い虫を集め、「これらがどのように成長するかを見よう。」とおっしゃって、さまざまな籠に入れていた。中でも「毛虫の思いやりがあるようなたたずまいがすばらしい。」と言って、明けても暮れても一日中、ひたい髪を耳にかけて、手の上に毛虫を乗せて見守りなさっていた。
 お付の若い女性はみな怖がったので、姫君は無視に物怖じしない身分の低い男の童を呼んで、箱の虫たちを取らせ、童たちにその虫の名前を聞き、新しい虫には姫自ら名前を付けて、楽しみなさっていた。
 姫君は「人はみな、取り繕おうとする所があるとよくない。」といって、眉毛を全く整えようとしなかった。また、お歯黒も「わずらわしい、きたない。」と言って、つけることはしない。白い歯を見せて笑いながら、この虫たちを朝から晩まで可愛がっていた。お付の人びとが怖がって逃げるので、姫君の住まいはいつも騒がしくしていた。虫を怖がる周囲の女房たちには「けしからん、たしなみがない。」と言って、姫君がたいそう太くて黒い眉毛で睨みなさるので、いっそう彼女たちを悩ませた。
 姫君の親たちは「たいそう変わっていて、様子が普通の人びとと異なっている」とは思っていたけれど、「姫君にも何か思うところがあるのだろう。変わってはいるけれど、私たち(両親)が思っていることを言うと、姫が思うこと深い言葉で答えるので、非常に上手いなあ」と、思ったことを姫に伝えるのにも気が引ける様子である。
 「そうは言っても、周囲からの評判は悪いだろう。人は一般的に見栄えの良いものを好むのだ。『気持ちの悪い毛虫を可愛がっているらしい』などと世間の人の評判になるようなことが不安です。」と両親が言えば、姫君は「構いません。あらゆることを探求して、その行く末を見れば、物事には理由があります。(私や毛虫を見て怖いと判断するのは)たいそう稚拙なことです。みなが怖がる毛虫がやがて蝶となるのです。」と言って、毛虫が蝶になる姿を籠から取り出して見せた。「絹として人が着るのに使っているのも、まだ羽の生えない蚕が出した糸で、蝶になった時には無駄になってしまうものが原料なのです。」と姫君がおっしゃるので、言い返すこともできず、驚いていた。