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新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



2017年関西大学2月1日入試「紫式部日記」現代語訳

 今年度入試で出題された、古文の現代語訳速報です。

仕事の合間に急いで訳しているので、細かな違い(時に大きな読み間違えがあるかもしれません..)はご了承下さい。

また、あくまで話の筋を追うことを第一に訳しています。

そのため、文法事項や敬語はあえて無視しているところがあります。

随時アップしていく予定ですので、よかったらご参照下さい。

問.次の文章は『紫式部日記』の一節である。これを読んで、後の問いに答えよ。

 

 全ての女性の有様は、穏やかで落ち着いていればこそ、品格や振る舞いにも趣深さを感じるものだと思います。もしくは、色好みで心が移り変わりやすい性格であっても、生まれつきの人柄にくせがなく、周りの人に対して付き合いにくいような態度さえせずにいれば、憎くは思われないでしょう。「私こそは特別だ」というような様子で、周囲と違った態度を取る人は、立ったり座ったりというちょっとした動作につけて、自分では気を使っていたとしても、周囲の人の目についてしまうものです。一度でも人の目につけば、必ず何か言った言葉の中にも、やってくるときの振る舞いにも、立ち去る後ろ姿にも、周囲からあら捜しをされるようになるものです。話の整合性が取れていない人や、他人の身の上をけなすような人は、まして目も耳も立てられることになるのです。弱みの無い人たちは、どうにかちょっとした批難の言葉も人に言わないようにと謹んで、お世辞の情をかけたく思うものなのです。
人が進んで憎いことをしたときはもちろん、間違えて悪いことをしたときでさえ、それを笑うことに対して人びとは気後れしないものです。とても心が広い人であれば、たとえ自分が憎まれたとしても人のことは憎まないかもしれませんが、そのようなあしらいはどなたでもできるものではありません。あの慈悲深い仏であっても、仏教における三宝の悪口をいう罪は軽いものであろうか、いやそんなはずがないとおっしゃっています。まして、このように邪なことが多いこの世に住んでいる私たちならば、不遜な態度を取る人には、同じく不遜な振る舞いをすることでしょう。それを、自分が言い負かしてやろうとひどい言葉を浴びせて、向かい合って非常に悪い態度でお互いを見合うことと、そうではなく気持ちをおさめ、上辺の表情はなだらかにしているのでは、その人物の懐の深さが推し量れることです。
左衛門の内侍という人がいます。何のいわれもないのに不思議と私のことをよく思ってはいなかったようですが、そのことは知りませんでした。それが、聞くに心地よくない罵詈雑言が多く私の元に伝わってきたのでございます。
内裏の、私の仕える主人が「源氏の物語」を周囲の人々にお話になりながら私のことをふと、「この人は日本書紀を初めとする歴史書を多く読んでいるのでしょう。本当に博識です。」と言ってくれたのを、ふと聞いて思いついたのでしょう、「非常に博識な女房がいる」と殿上人などに言いふらして、その上私に「日本紀の御局」などとあだ名をつけたのだそうです。本当に滑稽だといわざるを得ません。私の故郷の女たちの前でさえ、こうしたことは表に出さないようにしているのに、宮中のような恐れ多いところでどうして才能をひけらかしたりなんてしましょうか。
私の兄弟の式部の丞と言う人が子供のときに漢書を読んでいたのを近くで聞いていたところ、この式部の丞は読み取るのも遅く、忘れるところもあったのに、私は自分でも驚くほどにすっと入ってきましたので、それを見た漢書に造詣の深い親に、「残念でならない。お前が男でないのが不幸でならない。」と言われるほどだったのです。
それを、「男でさえも才能をひけらかす人はどうであろうか。見栄えのしない行為でありましょう。」などと、少しずつ周りの人に言われるようになってからは一という字すらも書かないようにして、学の無いように装っていたのです。以前読んだ漢書などには目も留めないようになって後、ますます周囲から私が学をひけらかすなどという悪口を聞くようになりまして、私は屏風に書かれた文字さえも読めないような顔をして過ごしておりました。そんな折、中宮彰子さまが御前で私に白氏文集などをところどころ読ませたりなどして、その内容を知りたいような御様子でいらしたので、お忍びで、人のいないときを狙って、一昨年の夏ごろから、楽府という漢書を2巻ほど、おぼろげながら教えて差し上げていたのです。これも私は隠しておりました。中宮彰子さまもそのことを隠してくれていたのですが、殿も内裏もその様子をお知りになって、漢書などを書かれて殿が彰子さまに渡しなさるのです。それを彰子さまが私に読ませなさることなどは、私を悪く言うあの内侍はまだ聞いていないでしょう。もしこのことを知ったならば、どれほど悪くいわれることかと思うと、全くもって世の中というのは嫌なものでございます。

 

 アイキャッチはもっさい紫式部が表紙の本

人生はあはれなり… 紫式部日記

人生はあはれなり… 紫式部日記