新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



社会人は皆知っている読ませるエントリーシートの作り方⑤自己PRで必要なのは「信用」の創出度合い

仕事でも何でもそうですが、何かを行う上で「信用」というのが非常に大事になってくるように思います。
何かやりたいこと、あるいは欲しいものがあったとして、それがお金で手に入る機械は、実はそれほど多くありません。
もちろん売っているものであればお金を出して手に入りますが、本当に珍しいものは、そもそもお金で解決してくれる「市場」に出回らない場合さえあります。
しばしば農家が一番おいしいお米は農協に出さず、自分と周囲の人に配って終わりという話がありますが、まさにこれなんて典型例。
僕も、よく行く日本酒バーがあるのですが、そこのマスターが偶然手に入れた、むちゃくちゃレアなお酒は、たいてい常連さん向こうから提供してくれます(それも無料で)。
これは「お金をくれる」から貴重なものを手に入れられるのではなく、「いつも来てくれてありがとう」と、マスターからの「信用」を得ているからこそ手に入るものなんですよね。
「お金がある」だけでは手に入らないものって案外たくさん存在します。

消費の場合のお話をしましたが、これが生産の側になるとますます顕著になります。
そもそも信用が無ければお客さん自体が集まらないのもありますが、それ以前に「信用」がなければやりたいことを形にすることさえ困難です。
何をするにも信用は欠かせません。

そんな「信用」に関して、僕は貯蓄と消費と投資という3つのアプローチがあると考えています。
まずは分かりやすい信用の「消費」と「投資」から。
信用がある人は、それを用いて様々なことができるといいましたが、その人の振舞い方によって、その信用の使い方は二つに分かれます。
「消費」とは文字通り、自分がそれまでに溜めてきた信用を食いつぶすことによって何らかのリターンを得る方法です。
一番分かりやすいのが「ちょっとお金貸してくれない?」というやつ(笑)
仮にその人がそれまで莫大な信用を築いて来ていたとしたら、お金を貸してくれる人は現れるでしょう。
しかし、何度も頼んでいたら、いずれお金を貸してもらえなくなる。
或いは、自分が積み重ねてきた人脈や関係を利用して、自分都合に融通を利かせてもらう。
これも初めは好意で行ってくれる人はいるかもしれませんが、やがて相手をしてもらえなくなります。
こうしたパターンが、信用を消費するということです。

一方で、自分の持っている信用を使って、さらなる信用を生み出すという場合もあります。
これが信用の「投資」です。
たとえば何かしらのイベントを企画したとして、それを実現するために様々な方面に頼みごとをする。
しかし、そのイベントの結果、頼みごとをした人たちにもリターンが返り、かつ自分も使った以上の信用が得られるというやり方です。
これは別に、何かを企画する場合に限りません。
一緒に遊んでいるときなどであっても、こちらが誘って、別れしなに相手が「楽しかった」と思ってもらえるのなら「投資」したことになります。
投資はレバレッジをかけた状態ですので、うまくやれば当然信頼の量はどんどん増えていきます。
自分が現在持っている信用を元に、さらなる信用を創造しようと心がけること。
これが信用の「投資」です。
世の中で成功している社会人は例外なくこれがうまい。

さて、今ある自分の信用を利用して、信用の総量を上げることが「信用の投資」であるといいましたが、それでは元の「今ある自分の信用」はどのように集めればいいのでしょう。
信用の投資は、1を100にする作業であり、その前段階として0を1にする過程が必要になってきます。
僕が「信用の貯蓄」と呼んでいるのはまさにこれ。
後にレバレッジをかけて信用を増やすために使う「タネ銭」となる信用を集める作業が大切になってきます。
信用の貯蓄に関して、これはもう、細かな感謝の積み重ねでしかありません。
人が面倒に思うことを進んで引き受ける、求められることをしっかりとこなす。
「自分にしかできない」みたいな特別なものではなく、誰でもいいような地味なことの積み重ねが信用の貯蓄をする唯一の方法です。


よく、あの人はみんなに慕われているなあと見える人がいますが、彼らはすでにそのコミュニティにおいて貯蓄を終え、投資の段階に入っているのです。
だから簡単に信用が拡大しているように見える。
これはたとえ別の人が同じように振舞ったとしても決してうまくはいきません。
なぜなら、「タネ銭」がないから。
レバレッジをかけようが、元の数値が小さければ結果となって表れることはないのです。
学生さんや新入社員の人で「こんなことをやりたい!」と意気込んだはいいけれど、いざ身を投じてみると急にやる気がなくなったり、そんなはずじゃなかったと思ってしまうのはみんなこのタイプ。
地味で時間のかかる貯蓄段階をすっとばして、レバレッジをかける「かっこよくて」「自分にしかできない」みたいなことばかりをしようとしているわけです。

さて、やっとここからが就活のお話。
これは僕の印象論ですが、就職活動において、この「信用の貯蓄」という概念があるのとないのとでは、試験官に伝わる印象がまるで違います。
これは一度でも社会を相手にしたことがある人なら、その人が「信用の貯蓄」をしてきたのかそうでないのかは、ちょっと話すだけでわかる。
裏を返せば、「信用の貯蓄」をしている風な話し方が身につけば、それだけで大きな評価が得られるのです。
エントリーシートだってもちろん同じです。
どんなに輝かしい実績(と自分で思っている)ことであっても、それが創出した価値(=信用)が低いものであれば、評価されることはありません。
逆に、パッとしないような日常的なエピソードであっても、周囲からの信用をしっかり積み重ねていることが分かるものであれば見てくれる。
「凄い」ことではなく、周囲に対して信用を積み上げていることが大切なのです。 
この切り口で自分の経験を振り返ってみると、案外自分でも気付いていなかったようないい部分をはっけんすることができるかもしれません。
「信用」という尺度を、ぜひ意識してみてください。