新・薄口コラム

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



授業の形態における差別化戦略をサプライサイドから考えた

僕は普段、何を考えているのか分からないと言われてしまうことも少なくないのですが、教育に関してはかなりいろいろと考えている方だと(自分では)思っています。

特に、ここ最近GWの間はずっと、ある授業形態においてでしかできない授業の在り方というものを考えていました。

反転授業とか、演習中心とかいう授業の形式は除いて、あくまで教師と生徒の関係という「授業形態」でみたとき、今の塾業界には様々な形態が存在します。

家庭教師、個別指導、集団指導に映像授業etc...

授業形態を特徴で分類して、それぞれどこが競合しているのか、またどの部分で差別化戦略を取れるのかを考えてみると、僕の中で面白い分類ができました。

僕の作った分類は①個別指導群②集団指導群そして③非インタラクティブ指導群の3種類です。

さらに僕の中では①の個別指導群には家庭教師と1:1の個別指導が含まれ、②の集団指導群に1:2〜4の個別指導、少人数集団指導、大人数集団指導が含まれ、③に映像授業が含まれるというわけ方になります。

(個別指導の分類が少し特殊ですが、これについては後々説明します。)

 

まずはそれぞれの指導群の強みについてはまとめたいと思います。

①に該当する指導方法は完全に1人の子に焦点を絞ります。

そのため、スポーツのインストラクターのように、文字通り手取り足取り指導することができる。

極端な話、野球のノックのように、応答の繰り返しで一問一答のような覚え方をさせることだってできてしまうわけです。

これは1人の生徒さんを相手にするスタイルでしかできません。

僕は他の指導群に比べ①が持つ最大の強みは、この「覚える過程踏み込める」点にあると考えています。

それに対し②の指導群はライブ授業であることが最大の強みだと考えています。

目の前に複数の生徒がいて、生徒と教師のインタラクティブなやりとりの中で授業が組み立てられる。

思わぬ気づきや、その瞬間ならではの教わり方というのは②群にしかない強みです。

Googleの翻訳制度がここ数年で著しく高度になっていますが、その理由は間違えの蓄積にあると言われています。

集合知で臨めるライブ授業は、こうした蓄積に大きな威力を発揮します。

最後の③非インタラクティブ指導群に関してはテクノロジーの進化が最大の強みでしょう。

理解が十分でないとき、何度も見直すことができるというのは、映像授業でしかあり得ません。

例えば、テキストに細かく時間が書かれていて、分からなかった場所に関しては何度も見直せるみたいな授業作りは、非インタラクティブだからこそです。

以上が①〜③群の、形態別の差別化です。

 

次にそれぞれの指導群内の差別化戦略について考えます。

一つ目の個別指導群は、担当と生徒が完全1:1という定義にしました。

1人の教師が1人の生徒を教えるのと、2人以上を教えるのとでは、上に書いたように、全く意味合いが違うと考えたからです。

この分類にすると、完全1:1の個別指導と家庭教師が競合関係にあたります。

従って家庭教師と1:1個別指導の両者にとって、両者が相対的に武器とし得る強みを考えることにします。

まず、個別指導にできて家庭教師にできないことを考えていきたいと思うのですが、最も簡単にできる差別化戦略といえば、授業外学習指導の時間の有無につきるでしょう。

家庭教師は家に教えに行くことが大きな利点です。

逆にいえば、質問対応はその場でしかできません。

対して塾の個別指導であれば、原則(担当でないにしろ)塾に行けばいつでも先生が待っています。

そのため、質問対応がしやすい。

また、補修や呼び出しみたいな付加価値で家庭教師と差別化することもできます。

従って、家庭教師との差別化を考えるのなら、この辺に特化することが重要でしょう。

一方で、家庭教師が個別指導と差別化をできるところは何か?

1番の強みは「毎回家に行く」という部分にあると思います。

家庭に顔を出すということは、保護者の方とのコミュニケーションの度合いにおいて、個別指導を圧倒している。

したがって、学習状況の共有や進路相談といった、保護者とのコミュニケーション密度の部分で差別化を図るのが有効といえるでしょう。

 

次に②群内での差別化です。

僕はここに属する授業形態にはA演習密度とB体系化して伝えられるという2つの軸があり、対象とする人数により、それぞれの比率が異なって行くと考えています。
例えば、1:2の個別の場合、一人当たりに目を向けられるA演習密度は50%とかなり大きくなります。
反対に演習を見ることに軸足を置いている分、体系化して知識を教えられる割合は少なくなる。
これに対して100人クラスの場合、Aの一人当たりに向けられる意識は1%になりますが、代わりにBの体系化された授業の完成度という観点では非常に大きな数値になる。
②群においてAとBはトレードオフの関係です。
また、雇われる側の給料という観点からみれば、当然一人当たりの持つ人数が多いほど多くの給与を支払うことができ、より腕のいい教師である可能性が高くなるでしょう。
予備校が日本を飛び回るようなカリスマ講師を雇うのはこういう仕組みです。
こうした構造を踏まえるのなら少人数であるほどに面倒見の良さを売りにすることが有効で、大人数になる程講師の腕やブランド、あるいは知識の体系化という部分での差別化が有効といことができるでしょう。

 

最後に③ですが、ここに関しては僕の勉強不足もあり、そもそも③群内での差別化があまり思い当たりません。

もちろん同じ形態での差別化はいくらでも考えられますが、そこに関しては他の群と違うレイヤーのお話になってしまうので、今回は触れません。

あえて言及するのであれば、1.いかにインタラクティブを取り入れるか2.映像の尺による工夫3.価格帯や付加価値の充実といったところになるでしょう。

 

ということで、授業を「売る側」にとっての差別化戦略について、あれから考えたほんの「さわり」の部分だけまとめてみました。

これが塾選びに役に立つのかどうかは甚だ疑問ですが、1つの指標になれば幸いです。

 

アイキャッチはさんざん勉強についてかいたクセに山田詠美さんの「ぼくは勉強ができない」

 

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)