新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



センター地理の「ムーミン」問題が話題なので、明日に引きずらないようにざっくり解説をしてみた

評論家の岡田斗司夫さんは、表面的な部分に惑わされずあくまで構造を比べたら同じだよねということを説明するためによく「カレーと肉じゃが」を例に用います。
岡田さん曰く、「女性が『得意料理はカレーと肉じゃがです』っていうと料理が得意なように聞こえるけど、あれ、実は材料も調理法も殆ど同じで、味付けだけがちょっとちがうんだよね。」だそう。
確かに(細かな工程にケチをつければ別ですが)味付けがみりんとしょう油なのかスパイスなのかという違いを除けば、殆ど工程は同じです。

入試問題の中ではしばしば、表面的な情報に惑わされず、その問題の本質を捉えることを要求する問題がでてきます。
僕はこうした問題を岡田先生の言葉を借りて「カレーと肉じゃが問題」と呼んでいるのですが、今話題になっているセンター地理で出題されたムーミンと言語の対応を聞く問題は「カレーと肉じゃが問題」の典型例だと思うのです。

もちろんこの問題はムーミンが好きだったり、作者のトーべ・ヤンソンの出身地を知っていたりすれば有利になってしまいます。
したがって50万人以上が受けるセンター試験(今年は528,323人)で特定の分野に詳しい(今回ならば文学)人に有利な問題を出すのはいかがなものかという切り口からこの問題が批難されれば理解できる部分もあるのですが、一方で単に「全員が知っているわけでもないムーミンの出身地を答えの根拠にするなんてけしからん」という意見に関しては、(少なくとも僕には)問題の意図が捉えられていなかったというように見えてしまいます。

以下は専門外の人間が高校時代の知識で類推しただけなので本気にしないで欲しいのですが、僕はこのムーミンの問題に関しては、「与えられた情報から根拠を拾い、地理の知識と結びつける問題」であったと考えています。
問題文の『ニルスのふしぎな旅』『ムーミン』『小さなバイキングビッケ』に引っ張られるとどうしても「キャラクター」に気をとられてしまいそうですが、しっかりとその背後にも問題の問わんとする「意図」が描かれています。
今回の問題は言語の知識でも、ましてキャラクターに対する理解でもなく、「絵」の周辺情報から正解にたどり着くという物だったように思うのです。

今回の問題に関して、重要なことは『ムーミン』『小さなバイキングビッケ』ではなく、フィンランドノルウェーという地名です。
この2つの国名を聞いて、立地を頭に浮かべ、気候区分を頭の中で思い浮かべた上で設問の絵を見れば、問題の意図をはっきりと汲むことができます。
フィンランドノルウェーもともにスカンディナヴィア半島付近に存在する国(スカンディナヴィア諸国という括りではフィンランドは含まれなかったはず...)で、ノルウェーは大西洋に面しているのに対し、フィンランドバルト海に面したやや奥にある国です。
どちらも高緯度に位置する国ですが、大西洋側は偏西風と暖流の影響により西岸海洋性気候で「高緯度の割に温暖な気候」であるということを考えれば、ノルウェーが「比較的暖かい」知識ということにたどり着けます。
それを踏まえて『ムーミン』の背後にはクリスマスツリーのような木(モミの木?)が、『小さなバイキングビッケ』の背後には海賊船がそれぞれ描かれていることを考えれば、どちらがノルウェーでどちらがフィンランドかという「根拠」にたどりつけるわけです。
そして言語の方の選択肢にはトナカイが書いてあるので、そちらがフィンランドであるという「推測」が成り立ちます。
ムーミンの問題で問いたかったのはこうした「思考」ではないかというのが僕の考えです。

確かに日頃からこういった「カレーと肉じゃが問題」は「〇〇のときは××になる」みたいな情報処理型勉強しかしてこないと手が止まってしまうかもしれません。
しかし、これがセンター試験である以上、何の意図もない問題が出題されるはずもなく、キチンと意図を読み取れば習った「地理」の知識の範囲内で解けるはず。
その前提の下にしっかりと対策をしていれば、難問でも新傾向の問題でもなく、普通に正面から解けた問題だと思うのです。
もちろんこの問題でうろたえてしまったという人もいるでしょうし、「この問題のせいで…」という感情を持った人もいるかもしれません(先ほども触れた通り、特定の学部や科目の知識に長けた子に有利な可能性のある出題はいかがなものかとう切り口であれば、その主張が分からないこともありません)。
しかし、終わった問題にいちいち文句を言ったところで点数は上がりません。
この問題で点数を落としてしまったのなら、一点でも明日の試験で取り戻す方に意識を向けるべきです。
基本的に僕はセンター試験の振り返りは、2日目が終わるまで行わないのですが、この問題に関してはう路絶えている人が少なからずいたので、ざっとまとめてみました。
この問題自体がどうというのではなく、「問題の意図を汲む」題材としては明日の試験にも役立つ可能性があると考えたからです。
まだセンター試験は終わっていません。
本日の試験が上手くいった人は明日もそれが続くように、残念ながら思うようにならなかったという人は明日の試験で少しでも挽回できることをかげながら祈っています。

偉そうに書いていて全く的外れだったらごめんなさい(笑)

 

アイキャッチはもちろん「ムーミン

学研ステイフル ムーミン 2018年 カレンダー 壁掛け BLUE BM12043

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