高校入試作文で差が出るたった1つの「ある」視点
突然ですが、金髪フリーターのヤンキーが10年付き合っていた彼女にプロポーズする場面を思い浮かべてみてください(笑)
A「お前のことが好きだ。お前と結婚したら正社員の仕事を見つけるし煙草もやめる。これからはお前を大切にいていこうと思う。だからオレと結婚してくれ。」
B[お前のことが好きだ。お前に結婚してもらえるために正社員の仕事を見つけてきたし、煙草もやめた。これならお前を大切にできると思う。だから結婚してくれ。]
みなさんが告白をされる彼女だったとしたら、どちらのヤンキーと結婚したいですか?
入試小論文・作文の指導を毎年行っていると、「目的に沿った文章を書く訓練」の大切さを強く感じます。
特に高校入試では、与えられた課題に対する論理的思考力を問う問題と、半ば自己PRのような問題が存在します(これは僕が住んでいる京都だけかもしれませんが…)
本屋さんや入試のテクニックを解説したようなウェブページを見ていると、論理的思考力を問う文章の書き方は多く書かれているのですが、後者の「自己PR的」な作文の書き方はあまり見かけません(あったとしても「ザ・真面目学生」のテンプレートみたいなものばかり…)
どうやって「考えればいいのか」という説明が書かれているものが少ない結果、テンプレートに頼らざるを得ず、結果折角魅力的な要素を持っている高校生の皆さんなのに、全員同じアピールしかできないという状態になってしまっているように思います。
…ショッカーの集団面接みたいな(笑)
自己PR型の作文に関しては、ちょっとした工夫で相手に伝わる印象が変わる「コツ」のようなものがいくつもあります。
今回はその中でも比較的即効性があるものを紹介したいと思います。
自己PR型の作文で最も多いのが、「高校に入ってどういうことをしたいのか?」を問うパターンです。
このパターンの作文に関して、多くの生徒さんが書くのが「大学入試を見据えて~」とか「高校では〇〇があるので~」といった書き方です。
もちろんこうした書き方がダメというわけではないのですが(そもそも「正解」の書き方なんて存在しないので)、それを読む試験官の立場になったら、どうしても説得力に欠ける印象を持ってしまいます。
僕は冒頭で「フリーターヤンキーのプロポーズ」について二つのパターンを挙げ、みなさんならどちらと結婚したいかと書きました。
恐らく多くの人がヤンキーBのプロポーズを選んだのではないでしょうか?
ヤンキーAのプロポーズは全て「未来の約束」です。
「お前を幸せにするために結婚したら正社員の仕事を探す」「お前を幸せにするために結婚したら煙草もやめる」というのは全て「結婚後」の話で、今は何も行動していないのです。
一方でヤンキーBの場合は「正社員の仕事を見つけてきたから結婚してもお前を幸せにできる」「煙草をやめたから結婚してもお前を幸せにできる」というように「今の延長」で未来を語っています。
ヤンキーBの場合は、既に行動に移しているのです。
説得力があるのは当然ヤンキーAよりもヤンキーBであるのは明らかです。
作文の場合でもこのヤンキーの話と全く同じことが言えます。
試験官が聞いて「なるほど」と思えるのは、「高校に入学したら~したい」という約束をする人ではなく、「今まで~してきたから高校でも続けたい」と書かれた作文です。
「大学進学を考えているから高校に入学したら毎日勉強したい」というのと「受験勉強で毎日勉強してきたから高校に入学しても毎日勉強したい」というのとでは、明らかに後者の方が言われた側としては安心できますよね。
自己PR型の作文で重要なことは、「未来手続き型」の作文ではなくて、「現在延長型」の作文なのです。
こう言うと、「現在の延長で高校に入ってやりたいことを書けって言われたって、人にアピールできることなんて今までしてこーへんかった!」と思う方も多いかもしれません。
しかし、本当にそうでしょうか?
部活動に所属していた人は何らかの大会に出場したり、コンテストに向けて頑張ったことはあるでしょうし、そうでない人も少なからず「受験」に向けて勉強をしてきたはずです。
「何かをきっかけに続けてきたこと」であれば、何でも構いません。
それさえあれば、「だから高校でも続けたい」と言えるわけなので。
大切なことは「確かにこの子は高校に入ったらそれをやりそうだな」と納得してもらえること。
それが書けているだけで、グッと説得力が高まります。
たいていの受験生が、説得力の乏しい「未来手続き型」の作文です。
そんな中でしっかりと「現在延長型」で書けるだけで、読む側にとっては印象に残ります。
(その上で「未来像」に触れられたらベストです。)
自己PRタイプの作文が上手く書けなくて迷っているという人がいましたら、是非この点を意識してみてください!
アイキャッチは僕が自己PR型の作文を指導する際に参考にした大量の就活の本の中で最もいいなと思っているこの本