新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



ネットはテレビの競合でなく上位互換

テレビを見ていると、ちょくちょくネットを利用してとか、ネットに負けないようにとかいうタレントさんや批評家がいます。
あの言葉を見る度にどこか違和感を感じるのは僕だけでしょうか。

利用するとか負けないようにするっていうのは、競合相手との勝負の際に使う言葉。
個人的にはネットって、もはやテレビの競合材ではないと思うんです。
既にネットはテレビにとって競合の関係ではなく、上位互換の関係。
ラジオでできることがテレビでできるのと同じように、テレビで出来る事はもう殆どネットでできるようになってきています。


その流れが顕著になったきっかけは以下の3つ。
一つ目は各種ネットの映像メディアがライブ配信サービスを始めたこと。
Ustreamニコニコ生放送YouTubeの生放送はじめ、現在多くの動画サービスで生放送がされるようになってきました。
それによって、テレビとのタイムラグが殆どなくなりました。
むしろ近くにいる人がその場で配信でき、番組枠に制限がない分、情報の鮮度が高いことさえあるようになってきた。
台湾の若者による国会占拠問題に関して、どこよりも詳しく報道していたのがネット中継であり、その配信のためのカメラがiPadであったということが、マスメディアとネットメディアの力関係が変わりつつあることを象徴しているように思います。
ここ数年の中で、ネットメディアはマスメディアよりも早く、そして大量の情報を提供する力を持ちました。


二つ目は著作権の問題が解消され始めているということ。
YouTubeでは、テレビのコンテンツなどが違法アップロードされた場合、製作者側が申告すれば、その動画の広告収入から一定の額を製作者に支払うという制度を取っています。
いわば、映像版JASRACのようなもの。
詳しい仕組みは知りませんが、おそらく様々な動画につけた広告による収入の一定額を供託金としてストックしていて、著作権侵害の申告があったとき、そこから一定の額を製作者に支払うという形をとっているのではないでしょうか。
ネットの拡散性を考えたら、1度アップロードされたものを完全に削除することはできません。
で、あるならば地道に削除をするよりもそこから収入を得た方がコンテンツ製作者にとってもプラスになる。
結果として、テレビのコンテンツが一定期間経つと、ネットで見られるようになってきたわけです。


三つ目の大きな動きは、今までのテレビCMのスポンサーが今年あたりからネットCMに流れ始めているということ。
僕が最近ネットで動画を見ていて気になったのが、花王りそな銀行のCMが流れていたことです。
トイレタリー製品メーカーや金融メーカーは、テレビCMの代表格のような人たちです。
それがネットにCMを打ち始めたということから、少しずつテレビの影響力にネットの影響力が追いついてきている、もしくはテレビの力が落ちてきているということが推測できます。
反対にテレビのCMには消費者金融、パチンコ、リクルート、生命保険が増えてきた。
これらはどれも以前ならあまり歓迎されなかったような広告です。
それがプライムタイムにガンガン広告を打っているということは、裏返せばそういうところからしか広告が取ってこられなくなっているということ。
スポンサーの変遷から、テレビの影響力の低下を感じることができます。


こうした流れを見てわかるのはネットにしかできない事はあっても、テレビにしかできないことは殆どなくなってきているということ。
もちろん、一つの放送あたりの視聴者数という点でいけば視聴者数%でも何十万もの人にアクセスできるという、テレビの拡散性に依然強みはあると思いますが、それでも確実に機能や時代の流れを見れば、ネットに飲み込まれつつあると言えます。

ネットを単なる競合材として捉えるのではなく、早いうちに上位互換の存在であることを認め、自分たちが多少事業規模を縮小してでも今後生き残っていける道を探すことが、今のテレビには不可欠なように思います。
その辺の危機感を持ってるように見えるのがさんまさんやダウンタウンの松本さんとか大御所ばかりで、若手のタレントさんには見えていないように僕には見えてしまい、そこにテレビの終わりを感じてしまいます。