新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



ES段階で落ちるのは100%あなたが悪い!?〜落ちないエントリーシートの作り方

巷に溢れる安っぽい記事みたいなタイトルをつけてみました。
この一ヶ月、大学生と話す機会が結構ありました。
その中でよく出てきたのが「エントリーシート」のお話。
僕自身マスコミを目指していたこともあって、結構な量のエントリーシートを書いてきました。
(一応は)社会人になった今考えると、どんなエントリーシートがよくて、どんなエントリーシートがダメなのかがよく分かります。
僕が考えるいいエントリーシートと悪いエントリーシートの基準は、文の構成だとか、内容とかいう話ではありません。
そうではなくて、もっと前の段階。
社会人になると必ず持っていて、学生時代には殆ど意識すらしない視点があると思うのです。
それが僕の考えるいいESとダメなESを見分ける基準です。

悪いエントリーシートに欠けているのは読者視点

具体的には「読者視点」(ビジネスマンであれば「顧客視点」)があるかないかということです。
ちきりんさんの言葉を借りるなら「マーケット感覚」ということになります。
読者視点とは相手が読みやすい文章を意識することです。
具体的には①相手が聞きたいことを読み取ることと②自分が伝えたいことに沿って書くこと。
相手が何を求めていて、自分は何を提供できるのかを意識することが、僕の考える読者視点です。
エントリーシートに当てはめるならば、出題者がその質問から何が聞きたいのかをしっかり汲み取り、それを踏まえて自分がアピールしたいことが伝わる内容を書くということになります。
相手がその質問を通して聞きたいことを考えずに自分が言いたい事を書けば、それは好き勝手に書いた自慢話(もしくは愚痴)になってしまいます。
逆に自分がアピールしたい事を踏まえずに書いてしまえば、どんな人柄を伝えたいのかが分からず、伝わる人物像がかえってボヤけてしまうでしょう。
そこに盛り込まれたエピソードや、文章の構成以前に、「読者視点」の有無が、いいエントリーシートと悪いエントリーシートを決めています。

「失敗のエピソード」を聞いた面接官は「どう乗り越えたか」には興味はない!?

「あなたが今までで一番失敗したと思うエピソードを教えて下さい」という質問を例にして、読者視点について具体的に掘り下げようと思います。
失敗経験を尋ねる質問は、エントリーシートの頻出パターンの一つでしょう。
失敗経験を聞かれるとすぐに失敗したエピソードと、それをどう乗り越えたかを探し始めてしまう人がいますが、ちょっと立ち止まって、「読者視点」を意識することが必要です。
例えば今回の「失敗経験」を聞く質問であれば、「どんな失敗をしたか?」ではなく、そもそも「何をもって自分は『失敗』と認識するのか?」をまず考えることが大切です。
一緒に仕事をしていて気になるのはその人の価値観や物の考え方です。
「失敗経験」を通して面接官が聞きたいのは、まさに「何をもってこの子は『失敗』と認識するのか?」という考え方の部分なのです。
これが読者視点の一つ目の要素「相手が聞きたいことを読み取ること」です。

書き終えたあと、自分は読者(=面接官)に何を伝えたいのかが分かるかどうか

相手が聞きたいことが分かったら、次にしなければならないことは、「自分が伝えたいことに沿って書くこと」です。
僕は自己PRやエントリーシートは、料理屋さんのメニュー表と同じだと考えています。
それぞれのメニューで、自分ができることのお品書きを揃えて、それを相手に選んでもらう。
また、メニューには一貫性が必要です。
フランス料理のお店のメニューに「おにぎり」なんてあったらイメージがだだ下がりです(笑)
フランス料理店であるならば、フランス料理以外はメニューに載せない。
自己PRでも、自己のメニュー表に載せるものを取捨選択する基準が必要です。
それがコンセプト。
自己PRを書く以上、必ずそこには全ての質問を貫く一つのコンセプトを自分のなかで想定していなければいけません。
それがないと、フランス料理屋さんの「おにぎり」みたいにおかしなことになってしまう。
読者視点のもう一つの側面である「自分が伝えたいことに沿って書くこと」とは、まさにこのコンセプトに沿って書くということです。
「何をもって失敗と考えるのか」という価値観の部分には、非常に色濃くその人の「考え方」が現れます。
だからこそ、自分の伝えたいコンセプトに沿ったエピソードを書くことができれば、相手にしっかりと伝わりますが、逆に全然コンセプトと違うことを書いたら、「本当のこの子はどっちなのだろう?」と面接官を混乱させてしまうわけです。
例えば、「協調を大切にしている」みたいな内容を始めに書いているのに、失敗経験を聞かれた時に「バイトでノルマが達成できなかった」などと言われると「んっ!?」ってなります。
協調を大切にするタイプなのか、競争でやる気を出すタイプなのか分からなくなってしまうわけです。
自分の性格なんて、ゼロ百じゃなくてグラデーションだという人がいるかもしれません。
もちろんその通りなのですが、自己PRは制限の中で自分を伝えるものです。
であるならば、自分が最も伝えたい所に焦点を絞り、アピールすることが何より大切になるのです。
先の例で協調を大切にすると言っているのなら、失敗経験はやはり「協調を崩してしまったエピソード」にするべきでしょう。
「始めてのリーダーで、理想とする皆の意見を聞けるリーダーを目指したが、それが逆に日和見主義と誤解されてグループで対立を生んでしまった。」とか。
逆に忍耐力をアピールしている人ならば「かつて1度だけ努力が報われなくて挫折してしまったエピソード」かもしれませんし、完璧主義な性格をアピールしたい人ならば「ほんの少し手を抜いたが故に取り返しのつかない過ちをしたエピソード」かもしれません。
自分がアピールしたい「コンセプト」に沿ったエピソードを選ぶことが大切です。


相手が聞きたいことを読み取ることと自分が伝えたいことに沿って書くことから成る「読者視点」という考え方。
この「読者視点」があるだけで、読む側に与える印象はかなり違ってきます。
正直、大学生時代に凄いと思っていた経験で社会人を唸らせることができるものなんて本当に稀です。
内容では殆ど差がつかないのが現実でしょう。
それよりも「読者視点」を持って書いてある方がよっぽど読んでいる側にとって印象に残ります。
何より、実際の面接官の時に自分のことが伝えやすくなる。
だって、面接官は自分のコンセプトに沿って練りこまれたメニュー表を持っているわけですから。
タイトルに書いた「落ちるES」とは、凄い体験の羅列で読者視点が全くないエントリーシートのことです。
もちろんいろいろな人が「就活の攻略法」なるものを言っていて、僕の考えは的外れだと思う人もいるかもしれません。
しかし、どのやり方を試して見るか考えることも含めて必要な力だと思います。
もし上手くいっていないという人がいたら、僕の考える「読者視点」を試してみてください。

================================
以前具体的な書き方についてまとめた関連記事です。よかったらこちらもご覧下さい!
就活で面接官が読みたくなるエントリーシートの書き方①「アピールする」とは何か?考える - 新・薄口コラム
就活で面接官が読みたくなるエントリーシートの書き方②アピールとは「いろんな要素を捨てる」こと - 新・薄口コラム
就活で面接官が読みたくなるエントリーシートの書き方③プロの文とアマチュアの文の違い - 新・薄口コラム
就活で面接官が読みたくなるエントリーシートの書き方④メンタルをロジックで切らない - 新・薄口コラム
就活で面接官が読みたくなるエントリーシートの書き方⑤情報の詰まった文章の書き方 - 新・薄口コラム
就活で面接官が読みたくなるエントリーシートの書き方⑥読みやすい文章のポイント - 新・薄口コラム


アイキャッチは読者視点が凝縮されている「荒木飛呂彦の漫画術」