新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



相手を頷かせる説明の作り方〜就活の面接が上手くいかないのは1つの説明を練り込むから〜

僕が愛読しているブログのひとつ、みつしろさんの『楽しく、気持ちよく、適当に。』というブログで、非常に面白い記事が上がっていました。
「アオアシ」というサッカーマンガに出てくるセリフに触れて、選択肢を複数持つことの強さについて書いています。
この記事を読んだとき、確かになあと膝を打ちました。
というのも、僕自身、授業をするに当たって、複数の教え方を用意しておくことを心がけているからです。
例えば高校英語の完了形という単元に関して、僕は初めの切り口を4つ用意しています。
「完了形って3種類の用法があったよね?」と中学の復習から入るパターン。
「3種類あるって習ってきたけど、実は一つのイメージから派生したんだよ」と、中学の知識をアップデートするアプローチ。
「そもそも完了形っていう概念は今の日本語にない」と、完了形の概念を日本語の特徴と混ぜて説明するアプローチ。
そして、そもそも完了形とはどういう理屈で生まれたのかという、文型の知識から遡っていくアプローチ。
もちろんこれは高校英語用の説明なので、中学英語では全く違う導入を用意しています。
特にマンツーマンでの指導の場合はそうなのですが、こんな感じで何パターンかの説明方法を準備しておき、生徒さんの興味の度合いや理解の深さによって切り口を選びます。

複数の説明パターンを用意しておくことで、相手の反応を見て、説明方法を変えたり、場合によってはいろんな説明を組み合わせたりということができるようになります。
結果として、説明が相手に刺さらなかったときも、慌てずに対応することができる。
一つのものに対して複数のアプローチを持っておくことの強みはここにあるように思います。

友達でやたらと営業が上手い人がいるのですが、彼の説明もまさにこのパターンです。
一つの説明を綿密に練り上げるのではなく、細分化したできるだけ多くの説明を用意しておき、対面した相手に合わせて臨機応変にカードを切って行く。
相手に合わせて用意したカードを変えていくため、結果として相手に刺さる説明になるわけです。
逆に、この人は営業に向いていないなと思う知り合いもいます。
彼も決して怠けているわけではありません。
むしろ、先にあげた人よりもずっと丁寧に準備をするタイプ。
ただ、その準備の仕方というのが自分が想定した一つの説明を丁寧に作り込んでおくというタイプのものなのです。
だから、ちょうど自分と波長の合う人の場合はすごく上手くいくのだけれど、それ以外の人には全く刺さらないという事態になってしまいます。
当然相手に自分の用意した説明にイマイチ納得していない場合、なんとか伝えようとしてもその説明しかないので、どんどん焦り、余計相手には伝わりにくくなってしまいます。
「そもそもその説明では相手に伝わらない」というときに、思い切って切り替えるという発想が持てないのです。

話の組み立て方やプレゼンテーションにおいても言えることですが、説明には最初から最後まで完璧に用意しておく方法と、絶対に外してはいけないポイントだけを抑えてあとはその場で組み立てて行くという方法があります。
僕はこれを音楽になぞらえて、前者をクラシック型の説明、後者をジャズ型の説明と読んでいます。
クラシックとジャズに優劣がないのと同様に、説明方法そのものにどちらがいいというのはありません。
例えば演劇や落語、結婚式のスピーチみたいな発信者と受信者が1:nの関係になる場面であれば、圧倒的にクラシック型が適しています。
逆に受け手の数が少なくなるほど、クラシック型よりもジャズ型の方が相手に伝わりやすくなるわけです。
極端な話、発信者と受信者がn:nであるディスカッションでしっかり組み立てたクラシック型の説明をし始めるような人がいたら迷惑です。
その場に適した型を選ぶのが重要なわけです。

就活や営業の場は、マンツーマンから多くとも数人に対して説明をすることが求められます。
この時に役に立つのはジャズ型の説明です。
そして、ジャズ型の説明をするときに重要なのは、カードをたくさん用意しておくこと。
その場で臨機応変に組み立てていくといっても、それはまったく用意もなくその場の思いつきに任せるということとは違います。
相手から見たらその場で作っているように見えても、パーツパーツの説明は、事前にしっかり用意したものでなければならないのです。
その意味において一つの説明を丁寧に作り込むよりも、はるかに準備が必要かもしれません。
しかし、複数のアプローチを用意しておくことで、圧倒的に自由度の高い説明をすることができます。
これは、就活の面接などで非常に有効な戦略です。
「これだ」と思う説明を作り込んでいる人は数多くいますが、いくつも説明の手段を用意しているという人はそういません。
例えば、留学という一つのネタがあるのなら、アピールしたいことが全く異なる4パターンのストーリーを組み立ててみる。
逆に粘り強さをアピールしたいのなら、全然違う4つのエピソードから、粘り強さを表現できるストーリーを組み立ててみる。
こんな感じで用意しておくだけでも、相当面接のときに上手く説明ができるようになるはずです。
偶然このブログにたどりついて悩んている人がいたら、ぜひ試して見て下さい。

アイキャッチは度々紹介するみつしろさんの就活ゲーム

就活ゲーム/準備編(第1?4章)

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