新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



世界観のレンジの違いと炎上のメカニズム

最近ツイッターを見ているとやたらと炎上をしている人を見かけます。

或いは、炎上までいかなくとも、心無いリプライや誹謗中傷が集まっていたり...

なぜ炎上したのか?や誰が悪いのか?には興味はないのですが、その炎上のメカニズムについては非常に気になったので、多くの「炎上」的なリプライを集めるツイートを眺めていました。

で、色々なツイートを見ていて思ったのが世界観のレンジの違いによる「気持ち悪さ」や「常識ズレ」のようなものが原因になっているのではということでした。

 

僕は実家に帰ると家族や親戚の人から「お前は車を買わないのか」という話を始め、違和感のある「当たり前の疑問」を受けます。

これを聞くたびに僕は「世界観のレンジの違い」を感じていました。

どの地域に住んでいて、どれくらいの生活圏で暮らしているかによって、「当たり前」はまるで異なると思うのです。

 

例えば僕の地元である静岡県浜松市は、鉄道は東西にJR、中心地から北は一本の私鉄が走り、バスは遠鉄バスという一社のみが運行しています。

そして大型商業施設が中心地から10km圏内くらいに点在し、かつ最寄りの大都市名古屋までは100km以上離れているので、自ずと生活パターン離れてその大型商業施設に囲まれたエリアになります。

一方で僕が住んでいる京都はJRの他に市営地下鉄、阪急線、京阪電車京福電車、叡山鉄道など、多くの鉄道が走っていて、バスも市バスと京阪バスなどがかなり細かな移動網を引いています。

そして四条烏丸河原町に密集した繁華街があり、50kmくらいの範囲に大都市としての大阪がある。

浜松市という環境にとっての「便利」は、京都市という環境にとっての「不便」であるということはザラにあるわけです。

(だって、生活のロジックが違うわけなので)

 

上の例で行けば、浜松市京都市の両方を知っている僕にとっては、浜松市にとっての常識と京都市にとっての常識があることが分かっています。

浜松市の場合は(一人暮らしであっても)車がない生活様式は考えられませんが、京都市の場合は(むしろ一人暮らしの場合は)車を持つことが多大なコストになりうるのです。

一方で、浜松にしか住んでいない親族にとっては「車が必須の生活」が当然で、それがデメリットになる生活様式たいうものを体験したことがありません。

仮にそれを口で説明したとしても身体感覚としてそれが理解できず、どうしても認識にギャップが生まれてしまうわけです。

これが僕の考える、思考のレンジというお話です。

浜松市から出たことのない人にとっての思考のレンジは半径10kmくらいで、浜松市出身で京都に住む僕は浜松と京都の両方を結んだものがレンジとなります。

これが日本中を飛び回る人であれば思考のレンジは日本全体となるわけですし、仕事で世界を飛び回る人にとっては仕事でのレンジは世界全体となります。

そして思考のレンジによる理解の差異は、常に一方方向に生じるわけです。

 

対面であれば思考のレンジの差があっても、会話の中でそれを修正することができる一方で、ツイッターのような文字情報を基本に行うコミュニケーションでは、思考のレンジの修正がしにくくなります。

会話の場合は話し手と受け手の間には常に文脈が存在しますが、ツイッターの場合はAという情報が投稿された後に、特定の個人がそれを発見し、自分の元に受け取るわけなので文脈が存在しません。

文脈が無いと100%自分の価値観のレンジの中で情報を処理することになるので、大きな思い違いと、それを前提にした誹謗中傷が発生するわけです。

 

例えば数学の問題で「次の場合のaの値がどうなるか?」という問題があって、その答えが「a=bである」となった時にそれを批判する人はいません。

はっきりと前提となる情報が共有され、文脈が理解されているからです。

しかしもし、a=bを何の前提もなく理解したらどうなるでしょう。

仮にこの問題の出題者は世の中全てが[a=bである]といっているなんて解釈をしたら、次に現れるのは「ならばこの出題者は[baby]という単語は[bbby]とでも言いたいのか」みたいは誤解が生じる訳です。

 

数学の例で書けば「そんなバカな」と思うかもしれませんが、実際に炎上の起きているつぶやきを見れば、これと同レベルの現象が平気で起きています。

そしてこれは価値観のレンジの差によってもたらされるわけです。

僕はツイッターのようなSNS潜在的にこうした誤解を生むシステムを内包していると思っています。

そしてその誤解を防ぐことはできません。

最近の炎上は有名人が不用意な発言をしたことでも悪いことをいったのでもなく、単にここの差異に原因があると思うのです。

 

アイキャッチは中川さんのこの本。内容は好きでは無いけれどタイトルがぴったりだったので(笑)ほ

 

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

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