新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



答えのない「問い」に切り口を入れるスキル

ここ最近、ipponグランプリにはまっています。

もう、朝起きてから寝るまで、暇さえあれば流しているくらい(笑)

芸人さんの出す答えが面白いのはもちろんですが、それ以上に、芸人さんの思考過程をトレースするのにはこれ以上ないいい材料だと思うのです。

有吉さんはこのお題に対してどういう方程式を立てたのだろう?とか、大吉さんはどういう切り口をもっているのだろう?とかetc...

芸人さんが瞬発力で答えているからこそ、その人「らしい」切り口や引き出しがふんだんに映像に現れていて、「思考過程」を覗くのが大好きな僕としては、こんなに面白い番組はないんじゃないかと思うくらいです。

 

そんなipponグランプリですが、僕が最も集中して聞いている場面があります。

(どれくらいかというと、その場面になったらドライヤーをかけていても一旦止めてメモ帳を手に取るくらい...)

その場面が、お題に対して松本さんが切り口を提示する場面です。

 

ipponグランプリでは、それぞれのお題が提示されると、一定時間芸人さんたちに答えを考える時間が与えられます。

その時にダウンタウンの松本さんが自身のお題に対する感想を述べるのですが、これがむちゃくちゃクリティカルで面白いのです。

たとえば、有吉弘行さんと堀内健さんがサドンデス(予選終了時に同点だった場合発動する、先に会場の笑いを取った方が勝ちという勝負)に突入したときの話題は「わんこそばを入れる店員が100杯過ぎたころに考えることは?」というものだったのですが、これ対する松本さんのコメントは、「これはマンネリ化したときのあるあるみたいな感じですね」というものでした。

僕はこの抽象化を聞いて凄いなと思いました。

仮に僕たちだったら、「わんこそば」とか「150杯目」とか、具体的な部分を意識するはずです。

しかし、松本さんが言ったのは「これは切り口としてはマンネリ化したときのあるあるですね」という言葉。

「何かをずっと続けて退屈になってきたときのあるある」だったら共感を呼ぶ笑いが量産できると考えたようです。

実際、その後の有吉さんと堀内さんの出した答えを見ると、一本を取った答え以外は「わんこそば」に注目したもの(確か「もう丼で食えばいいのに」「ここで一回うどんいれようかな」「わんこ?おわんこ?」)であったのに対し、一本を取った答えは「一回だけ右手でいっちゃおうかな」という、マンネリ化したときの共感をさらうような答えでした。

 

また、「『100円拾った』というエピソードに尾ひれをつけて下さい」というお題の時、松本さんは「一見すると虫食い問題と同じパターンにも見えますが、「尾ひれ」ということなので、このお題の場合、前にも後ろにもつけられます。その辺をどう使うかですね」といった事を言っていました。

そして実際に答えた芸人さんたちは、初めは後ろにエピソードを追加する形で答えを作り、中盤から「100円拾った」の前にエピソードを付け加えるという形の変化球を投げていました。

これも「わんこそば」と同様に抽象化です。

 

僕たちは課題を見つけると、ついつい具体的な部分に切り口を見つけようとしがちです。

しかし、切り口とした部分が具体的であるほど、出てくるアイデアは限られてしまうし、凡庸なものになってしまいます。

一方、高度に抽象化した部分で切り口を見つけられたら、それに当てはまるパターンから仮説を量産することができます。

松本さんがあれだけ「笑い」を量産できるのは、もちろん言葉のセンスや天性の間の取り方もあるのでしょうが、それと同時にあの「物事を抽象化して捉える力」にあるのではないかと思います。

ipponグランプリを見ていると、そういう芸人さんたちの思考回路が見えてきて、とても良質な抽象化の事例集になっています。

そんなわけで僕は今、ipponグランプリにむちゃくちゃハマっていたりします。

皆さんももしよかったら見てみて下さい。

 

アイキャッチは科学で読み解く笑いの方程式。

科学で読み解く笑いの方程式[上巻]

科学で読み解く笑いの方程式[上巻]