新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



往復書簡[11通目](2020.02.25)しもっちさん(@shimotch)へ

これまでのやりとりはこちらから読めます!

note.com

 

拝啓 しもっちさま

返信ありがとうございます。
いやはやっ、しもっちさんの〈傾聴〉の哲学(に付随する心地よい思考の言語化)、いつもながら脱帽です。

なので、〈聞いた量〉の値が大きければ大きいほど良いという単純な構造になりにくい。ある人は100聞いてほしいけど、別の人は40がちょうどよくてそれ以上はしつこい。満足するポイントは本当に人それぞれです。

「Barのマスター」という立ち居地だからこそのこの着眼点、目からウロコでした。
と、同時に、それぞれに適切な〈分量〉があるというお話は、なんだか焼酎へのこだわりにも通ずるところがあるような気がしてほっこりしました。


先の手紙で聞くことの公式についてお褒めの言葉をいただきましたが、僕にしてみればしもっちさんの「企画作り」のロジックの方が何倍も何倍も凄いものであるように思います。
特に企画作りの話の後半に出てきた、〈付け加えるなら、諸々の企画をなるべく実行しやすくするために①普段から面白がる人を周りに増やしたり、②お店を構えたりはしています。〉という部分は、これから企画を作ろうと思っている人や、いざ行動に起こしたのに上手くいかなかった人たちが、最も聞きたい部分なのではないかと思いました。
僕が昨年読んだ本の中でBest5に入るだろうと思う本の一冊に、アレックス・バナヤンの『The third door』があります。
僕がこの本をBest5に入れるほどためになったと思った最大のポイントは、偉人の伝記や成功者の自伝本にはほとんど書かれない、「行動以外の準備」の部分が書かれている点です。
チープな自己啓発などを読んでると、頻繁に「成功するための行動力の大切さ」は多く書かれますが、「『成功する確率を上げる』ための行動の仕方」はほとんど見かけません。
「行動が大事」という起業家の人も、多くは創業時には古巣の仕事を業務委託で受注していたり、古巣の縁で仕事をもらったりしています。
でも、ビジネス本の多くにはそういう部分は書かれない
でもでも、実際に起業しようとする若者が聞きたいのは、「創業時に20時間頑張った」とか「一日に200件電話した」みたいな武勇伝ではなくて、「根回し」や「準備」みたいな地味で格好悪い部分だと思うのです。(某N’s Picksの敬虔な読者の皆さんは本当に武勇伝を求めている気もしますが…)
しもっちさんの『企画論』には、こうしたバックグラウンドの重要性が書かれていた(どころかメインとさえみえる)ため、むちゃくちゃ興味深く読ませていただきました。
たぶん、今後人から企画の作り方を聞かれたら、どのアイデア本や記事よりも先に、しもっちさんの先の書簡を紹介すると思います(笑)


さて、剛速球をなんとか受け止めたあとのしびれた腕で、キレのあるボールを放れるかが不安ではあり(すぎ)ますが、僕なりのコンテンツ作り論についてまとめてみたいと思います。
僕が何かしらコンテンツや企画を作る場合は大きく、①自分の欲求を満たすコンテンツと②他者の欲求を満たすコンテンツに分けられます。
僕の中で両者は明確に異なるイメージです。
①の場合(作曲や手品のネタ作りなど)は、「ある技術でどのような世界が表現できるのか?」という視点でコンテンツを作ります。(僕はこれを『SF的創造』と呼んでいます)
例えばトランプの手品の場合で言えば、ティルトという真ん中に入れたように見せて実は2番目にカードを入れる技術と、ダブルリフトという2枚同時にカードをめくる技術を組み合わせたら、どのような現象が演出できるだろうといった具合です。
(因みに下のネタがそれによって作られるネタです)

www.youtube.com

 

次に②の他者の欲求を満たすコンテンツの方ですが、これは広報で学んだスキルを中心に、徹頭徹尾理詰めで「答えを出していく」イメージです。

www.youtube.com


たとえば、これは昔僕がお手伝いした知人のジャグリング大会のネタの動画なのですが、これを作ったときは、①これまでの優勝ネタのパターンを分類した上で、②それまでにやられていない演出を考えるということをしました。
具体的には、それまでのネタを見ると、Ⅰ道具を改造する、Ⅱ奇抜な技の組み合わせ、Ⅲキャラが立つ人がネタをするというパターンがほとんどでした。
そのため、この路線を除いた上で②に合致するものを作ろうと。
で、大会会場を聞くとライブBarであり、開催日時はちょうど鏡開きのあたり。
鏡開きと飲み物という要素の延長でディアボロと考えたとき、僕たちの頭には「みかん」という答えが出てきました(ちょうどみかんを半分に割ってつなげると、ディアボロのコマのように見える)
で、鏡餅の上のみかんを「開き」、ディアボロをその場で作り演技をし、最後は飲み物を振舞うというネタが完成しました(笑)
②のコンテンツを作る場合の僕の思考はこんな感じです(①を『SF的創造』と呼ぶのだとすれば、こちらは『詰め将棋的創造』とでも言いましょうか)

しもっちさんに問われて改めて自分のアイデアの出し方を言葉にしてみたのですが、なんだか手品の種明かし(それもひどくチープな)をしているようで気恥ずかしいですね(笑)
企画論・コンテンツ論は語り始めたらお互いにとまらない分野な気がしますので、また会ったときにお話したいです。

ところで、先日、猿基地さんにお邪魔したとき、大将の光城さんから、しもっちさんと僕の人生に影響を与えた本TOP5なんてお題はいかが?という素敵なお題をいただきました。
個人的にブックバーのマスターのお気に入り本には非常に興味があるので、ぜひぜひ人生に影響を与えた5冊を紹介していただけないでしょうか?
(もしくは、一冊ずつお互いにリレーするとかでも面白そうです)

P.S 花粉のおかげで生産性50%カット(※当社比)の今日この頃。

 

アイキャッチはもちろんサードドア。

サードドア: 精神的資産のふやし方

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