新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



オリンピックは失敗以外の選択肢は見つからない

1月の終わりくらい、ちょうどコロナが中国で流行りはじめ、日本にも感染者が出たか出ないかくらいの頃に友人とご飯に行った際、「オリンピックは開催できると思う?」という話になり、僕は「やるかやらないかは分からないけどどちらにせよ失敗する」というようなことを話していました。

その場ではサッと仮説を立てて話しただけだったのですが、大分コロナが広がりを見せてきて、いよいよ言った通りになってきたので、その時の仮説を備忘録的にまとめたいと思います。(以下基本的に1月時点で考えたお話です)

 

オリンピックが開催される中止されるかは分からない

友人からの問いは「オリンピックが開催されると思うか?」だったのですが、これに関しての僕の答えは「分からない」でした。

僕は何かについて考える際、「しなければならない理由」と「できない理由」を比較することにしているのですが、オリンピックに関してはどちらも十分すぎるくらいあるというのが僕の答えでした。

 

これは政府に限らず日本人のくせみたいなものだと思うのですが、日本では大きな企画毎をする際、たいてい当初承認を得た予算が、それが進むにつれ「止むを得ず」大幅に大きくなっていきます。

今回のオリンピックに関してもそうでしょう。

別に僕はそれに対する良い悪いの判断に興味はありません。

ただ、こうした企画運営は、中止という意思決定がとれない構造になっていると思うのです。

経済学に「サンクコストの呪縛」という考え方があります。

これは、費用を投資し続けたら、その分だけ回収しなければという意識がはたらき、後戻りができなくなるというもの。

ちょうどパチンコで負け続けているおじちゃんが、少しでも取り戻さなければと考えてもっと負け続けるのと同じ構造です。

はじめに承認を得た予算から大幅に膨れ上がるというのは、まさにこのサンクコストの呪縛にかかりやすい。

約束を上回った分はなんとか取り戻さなければいけないとなるからです。

また、様々な利益関係者の人たちを考えれば、このオリンピックがあることを前提に組織を運営していた人たちも少なくないはずです。

彼らにとって中止はあり得ない。

そういった人たちの事情も、「しなければならない理由」に入るでしょう。

 

一方で「できない理由」もたくさんあります。

コロナウィルスの感染力を考えれば、大人数が一箇所に集まるイベントは避けるべきです。

まして応援となったら、接触や飛沫(これによる感染があるのかは定かではありませんが...)は避けられません。

それが分かる状態でオリンピックを強行し、コロナウィルスの発病者を出せば、日本が非難されることは明らかです。

こうした観点からイベントはできないでしょう。

また観客だけでなく、アスリート入院中んしても、この世界的な自宅待機の空気で、十分な調整ができていないはずです。

トップアスリートともなれば、数ヶ月に渡る調整は不可欠でしょう。

そうした観点からも、そもそも出場者が集まらないと思うのです。

これもオリンピックが「できない」理由です。

 

こんな風に考えると、「しなければならない理由」と「できない理由」のどちらもが存在するため、どちらになるか分からないと答えました。

 

開催してもしなくても、うまくいかないという仮説

先ほど、僕は何かを考えるときに、「しなければならない理由」と「できない理由」を検討すると書きましたが、両方の場合を考えた上で、僕は次に「もしそうなった時に何が起きるか」を考えていきます。

そして予想をするときはどちらにも共通する部分を取り出します。

 

オリンピックの場合であれば、①開催しなければならない場合と②開催できない場合があるわけですが、①の場合、おそらく観客が集まらず、当初見込んでいた収益は上がらないでしょう。

また、仮に人が集まった場合でも、そこを経由してコロナウィルスの感染者が1人でも出た場合は国内外からの非難は必死です。

したがって仮に開催しなければならないとして、うまくいかないと考えられます。

 

また②の開催できない場合に関しては、ここ数年の日本経済はオリンピック需要を見越したものであったように思います。

そのお目当がなくなるわけですから、今以上に経済的に失速する可能性があります。

昨年、ファンドで働く知人と話していたとき、今の動向を見ていると投資家のお金が集まりすぎているから、数年後には何かをきっかけにリセッションが起こるのではないかという意見で一致しました。

僕はそのきっかけがオリンピック特需の終了と予想したのですが、今回のコロナに加えオリンピックも無くなれば、このタイミングで大きく景気が後退することもあり得ると思うのです。

したがって②の場合もうまくいかないというのが、1月時点での僕の予想でした(その後、自粛要請や欧州での予想外のコロナの広がりで予想よりもずっと早く景気が悪くなっている気がします。)

 

以上のようなことを考えたので、僕は「どちらにせようまくいかない」というお話をしました。

 

56日前の予想と現在の答え合わせ

 

この話をしたのは1月の終わりで、この2ヶ月弱で大分色々な動きをみせています。

ちょうど先ほど(23日時点)、カナダが東京五輪へと不参加を表明しました。

Team Canada will not send athletes to Games in summer 2020 due to COVID-19 risks | Team Canada - Official Olympic Team Website

さらに個人的には財政的な観点から無観客試合でも強行するだろうと思っていたIOCの中でも延期案が出つつあります(開催推進派も根強くいるようですが)

東京五輪の延期、1カ月めどに判断 IOCに最終決定権(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

個人的にはIOCは日本に「中止の選択」をさせ、イベントが頓挫した際の賠償等をして欲しいんじゃないかと思っているのですが、これは根拠も何もない僕の妄想なのでここでは置いておきます(笑)

こんな形で進んでいるので、僕としてはやや中止の側に偏っているんじゃという印象です。

 

コロナの影響が今のようなマスク不足、トイレットペーパー等の紙類の買い占め、自粛要請や欧州でのここまでの広がりなどが起こるなどとは思ってもいませんでしたが、一方で大枠は1月末時点で考えた通りでした。

したがってオリンピックもどちらに転ぶかは分かりませんが、うまくはいかないんじゃないかなと考えています。

 

岡田斗司夫さんが以前、敏腕編集者の箕輪厚介さんとの対談で、箕輪さんから「岡田さんはどうしてそこまでの精度で未来を予想できるのか?」と問いかけられた際、「いつそうなるかと細かな変化は分からないけれど、長いスパンでみればそうなるという意見を述べるだけ」というようなことを言っていました。

僕もこの考え方が好きで、何かを予測するときはもちろん、広報や企画を作るときは「最終的にどこに落ち着くか」を考えるようにしています。

「どんな広報をしたい!」ではなく、「それをすると誰がどんな反応が出るか」を予想して、その中で対象者に影響が出るものを選ぶイメージです。

オリンピックの話も同じで、当日この質問をしてくれた友人は、「どうなって欲しいと思っているか?」や「どうすれば開催できるか?」みたいな答えを期待していたみたいですが、僕が考えるのは自分の主張や願望の部分ではなくて、ひたすらに「どこに答えが落ち着くか」の部分だったりします。

先日、後輩からどうやって先のことを予想しているのか?と聞かれてこのエントリを書いていたのですが、その答えは「そこにしか落ち得ない場所を探す」という事なのかなと思います。

 

書きながら思考をまとめていったので、内容がガチャガチャになってしまった...

 

アイキャッチはオリンピック間のある、東京事変のこのアルバム。

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  • アーティスト:東京事変
  • 発売日: 2010/02/24
  • メディア: CD