新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



学生になれない「大学生」〜学生と生徒の違いを考える〜

先日、行きつけの飲み屋さんで言語学の教授と飲んでいた時のこと、その教授が「最近は自分のことを生徒って考える学生だけでなく、職員にも学生のことを生徒と考えている人が多いんですよ」というお話をしてくれました。

生徒と学生。

学校教育法では、初等教育を受けている子供たちを「児童」、中等教育(中学・高校)を受けている人のことを「生徒」、高等教育(大学・大学院など)を「学生」と呼ぶことになっています。

一緒に飲んでいた教授は、もちろんこのことを踏まえて指摘していたと思うのですが、その会話のニュアンスにはそれ以上の意味が含まれているように感じました。

つまり今の大学生は学びに関して、もう少しいえば社会との関わり方に関して、そのスタンスが「学生的」ではなく「生徒的」であるということです。

僕の周り大学生さんは、比較的「学生的」な関わり方をする人が多いのですが、確かに「生徒的」な関わりの大学生とあるなあと思います。

そこで、僕の中で「生徒的」なスタンスとは何なのかを分解してみました。

 

学生になれない大学生に共通する3つの「生徒思考」

僕がこの人は学生というより生徒だなと感じる基準を掘り下げていったら、次の3つの思考にたどりつきました。

①消費者思考

②他責思考

③リセット思考

年齢に関わらず、この3つを抜け出せない人は、どこか学生ではなく生徒的に感じます。

 

①の消費者思考とは世の中の学びや面白いことは、全て周囲から「与えられる」と思っている思考です。

たいていの場合「楽しさ」や「やりがい」というものは、向こうが与えてくれると同時に、こちらの参加意識が必要になります。

勉強の楽しさも仕事の楽しさもそうです。

ライブや遊園地のようにそこにいれば盛り上がる「楽しさ」ではなく、自分が積極的に参加することによって感じる楽しさがある。

というか、社会に出たあとの楽しさなんてほとんどこちらです。

もちろん、高校生くらいまでなら消費者で十分でしょう。

しかし、大学生の学びになれば能動的に楽しむスキルは必須であるように思います。

この何でもかんでも「与えられる」消費者としての思考。

これが学生と生徒の1つ目の違いに思いました。

 

次に②について。

何か嫌なことがあったとき、全て社会のせい、相手のせいだと思い、自分の側にも問題があるのではないかと振り返らないのが他責思考です。

例えば、大学の授業がつまらない、分からない、単位を落とされたみたいなことをいう「生徒」がいたとして、それは実際のところ、教える教授の側に100%の責任があるのかといえば、そうとは限りません。

授業中に自ら理解しようという努力を怠っていた、スマホをいじっていた、友達としゃべっていた、あるいは授業をサボっていた。

こういう態度を取っていたとしたら、授業の難しさの責任が100%教授にあるのかといえばそんなわけがありません。

本来ならまず他者の非を責める前に、自分の非を見つめるべきです。

それをせずに全てを相手のせいだという前提で考えるのが他責思考。

これも、生徒から学生へのステップアップを阻害する大きな要因です。

 

最後のリセット思考について。

これは、何か物事が起こった時に、そこで終了と考える思考法です。

ちょうど、スーパーマリオを始めとするゲームや試験勉強みたいな感じ。

ゲームでは操作を誤って的に負けてしまえばそこで終わりですし、試験勉強ではテストで結果を残せなければそこで数値がついてしまいます。

中学生・高校生までの僕たちの周りには、「一度エラーが起きたら終わり」というシステムがあふれています。

だからついつい僕たちは「一度でもうまくいかなくなったらそこで終わり」というような考え方をしてしまいがち。

しかし、言わずもがな社会に出たあとの殆どの課題は、「一度失敗してからどう修復をするか?」や「成功と失敗の間の妥協点をいかに探るか?」ということが大事になってきます。

大学での研究もそうでしょう。

仮説を立て、調べて教授にレポートを提出して、こっぴどく論破され、「ダメ」を突きつけられた後でだめだった点に修正を加えるということを繰り返す。

そうやって少しずつ「正解」に近づけていく作業が必要です。

そんな環境に置かれているのに、一度でも駄目を突きつけられた瞬間にもういいやとなってしまえば、そこでの学びができるはずもありません。

これが僕の考えるリセット思考です。

 

学生になるということ

便宜上タイトルには大学生と書きましたが、これは何も大学生に限ったことではなく、社会人(極端な話50歳や60歳のオトナな人たち)でもたくさんこういった人が存在します。

逆に、中学生や高校生ですでにこの3つの思考を抜け出せている人もいます。

だから別にこうした3つの視点のままでは大人になれないなんてことを言いたいのではないですが、大学を楽しみたい、ひいては社会を楽しみたいと考えるのならば、この3つの思考は必須なんじゃないかなと思います。

自分に無意識に染み付いた①消費者思考②他責思考③リセット思考を自覚して、少しずつこの思考の癖を脱していく。

もし、大学生生活を有意義にするために「生徒」から「学生」になろうとするなら、その辺が大事なんじゃないかと思います。

 

アイキャッチはちきりんさんのこの本。

ひとことでいえばこういうこと(笑)

自分のアタマで考えよう

自分のアタマで考えよう

  • 作者:ちきりん
  • 発売日: 2011/10/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)