昨日の夜、千葉で地震があったようです。
で、その中に地震雲についての話が混じっていて、それに対して不安がる人のコメントをいくつか見つけたので、ちょっと地震雲について考えてみたいと思います。
結構多くの大地震の前に確認されています。
(ツイッターで検索してもらえればどんなものか写真が出てくるでしょう)
不気味なものが多く、しかも大地震の前には必ず現れるというようなことを聞くと、不安になる気持ちは分かります。
さて、では地震雲というのはどうして発生するのでしょうか?
僕はその答えは奇術の仕組みと同じだと考えています。
昔、ユリゲラーという超能力者がいました。
テレビの前の視聴者の持つスプーンに念力を送って、その人たちのスプーンを曲げてしまうという超能力が売りの人です。
彼がこのネタを行うと、行った直後に、テレビの収録スタジオに用意されたコールセンターの電話には「スプーンが曲がった!」というエピソードが次々に届きます。
一見すると凄い現象が起きているようにも見えますが、実はこれはテレビの仕組みをうまく利用したマジックにすぎません。
そもそも、スプーンには色々な種類があって、中には曲がりやすいものも存在します。
そして、視聴者の中には力持ちで、スプーンが曲がってしまうような人たちもいるはず。
仮に視聴率が10%だとして(当時話題だったらしいのでもっと控えめな数字だと思います)、約1000万人が見ている計算です。
視聴者のうち、1万人に1人くらいは、スプーンが柔らかく、かつ力持ちだったりテコの原理で上手いことスプーンが曲がったとします。
そんな人がテレビ曲に電話を入れるだけでも、1000件の「スプーンが曲がった!」というエピソードがテレビ局の電話デスクには届くことになるのです。
これをお茶の間で聞けば「凄い人数の人のスプーンが曲がった」という印象になるわけです。
これは一定数の母体数であれば必ず起こり得る特殊な事象を集めて超常現象っぽく演出した典型例です。
地震雲もこれと同じ構造が見て取れます。
まず、日常生活で世界のどこかには、①いつだって不思議な形の雲は発生します。
そして、一定の人数がいる媒体であればあらゆる人があらゆる画像をあげるため、②そういった不思議な雲をSNSで探せば必ず毎日画像が見つかります。
あるいは、地震雲研究みたいなことをしている人が、毎日せっせと不思議な形の雲をSNSにアップし続けているかもしれません。
③そこに大きな地震が発生したとして、④気になった人が「地震雲」について調べます。
そうすると、⑤本当は「毎日あげ続けられているだけのちょっと変わった雲の写真」が、調べた人には「大きな地震があった時に現れた不気味な雲」に映るわけです。
何なら地震雲を主張する人はドヤ顔で、「空見たことか」と呟けばいい。
(で、何も起きなかった日のつぶやきは消していく)
毎日起きている事象を特定の時だけ見にいくと、いつもそこにあるから妙な恐怖心が芽生える。
僕はこれが地震雲の仕掛けだと思っています。
ユリゲラーの種明かしをされると、
「なんだそういうことか」となる人がいるように、地震雲に関しても確かにと納得できれば、不安が減ると思うのです。
もちろん地震雲を信じるも信じないもその人次第ですし、もしかしたら本当にそういったものがあるのかもしれません。
でも、信じたくもないのに目にしてしまった不安に思ってしまう人がいるとしたら、それはいらぬコストだなあと思うのです。
というわけで、地震雲について、手品のタネ的に仕組みを明かしてみました。
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