新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



社会人に必要な必要火急のインプットと不要不急のインプット

3月4月と、コロナの影響で仕事の時間帯が変わったり形態が変わったりと、なにかとバタバタしていました。

どうしても目の前の対応に迫られると、必要に迫られるインプットばかりになってしまいます。

僕も多分にもれず、この2ヶ月は仕事に必要なインプットをとにかくしまくっていました。

 

で、その反動というわけではないのですが、GW明けくらいから、僕は毎日一本映画を見るという習慣を続けています。

そんなことをしていて感じることが、実用性以外の観点から行うインプットの大切さです。

 

僕たちは社会に出ると、ついつい自分の本業に関するインプットに意識が行きがちです。

鉄鋼業の人ならば鉄鋼に関する知識を、広告会社の人ならばマーケティングに関する知識を、などなど。

もちろん専門分野の知識を身につけることは必須なので、これ自体が必要なことには間違いありません。

しかし一方で、「必要な知識だけ」に当たり続けても、中長期的な戦略としてはいまいちだと思っています。

 

僕は、その人がアイデアや企画を生み出す際のバックグラウンドになる経験や知識のことを、知識の層と書いて「知層」と呼んでいます。

ある程度までは必要な専門知識をかたっぱしから身につけるだけでどの分野でも通用する(というかそれがないと話にならない)わけですが、そこから先、何年か越しできちんとその分野で結果を出そうと思ったら、この知層が必要だというのが僕の持論だったりします。

そしてこの知層を育てるのには非常に時間がかかる。

 

第一線で活躍している人たちを見てみると、同業界であれば、彼らの行う仕事のスペックはそれほど大差がありません。

一流の営業マンなら誰もが一定のスピード、提案、コミュニケーション能力は持っていますし、プロの塾講師であれば誰もがやる気にさせる腕、練り込まれた授業力、教材の知識に、お客様を安心させるだけの所作みたいなものは当たり前に身につけています。

彼らにとってはそんな部分は持っていて当たり前なわけです。

で、全員がそういうスペックはほぼ変わらないはずなのに、僕たちにはご贔屓の営業マンができたり、お気に入りの先生が生まれたりします。

この違いはなぜ生まれるのか?

僕はその答えの一つが、知層であると思っています。

 

同じタネをうえたとしても、その土壌が異なれば成長速度や出来た果実の味に影響がでてきます。

それと同じように、一定のスペックを持っている人も、それを使うバックグラウンドとなる知識や経験の部分、つまりそれまでに積み上げてきた知層が異なるため、そこから生まれる魅力は多種多様になっていると思うのです。

 

必要に応じたインプットは、いわば肥料のようなものです。

それがなければそもそも発芽することはありません。

しかし、肥料だけでは初めは良くても、そこから先はどん詰まりになってしまいます。

そして、知層を作るのには数年スパンの積み上げがいる。

これは僕の経験と周りの観測範囲におけるお話にすぎませんが、新卒から3年くらいすると、僕たちは少しずつ戦い方を変えていかなければなりません。

(もちろん1年目からそういう責任ある職にある人もいるでしょう)

会社や先輩、チームの知層で戦っていたところに、自分の知層を混ぜていかなければならないわけです。

その時になって気がついて急いでインプットをしようとしても直ぐには成果は見えません。

恐らく純粋に仕事に関係するインプットがこれまで以上に増えているでしょうし、そもそも知層を作るのには時間がかかる。

だからこそ、そうした戦い方の変更を迫られると数年前からそのことを見越して、不要不急のインプットをしておくことが不可欠だと思うのです。

 

僕は社会に出てロクに仕事がなかった時、大学の図書館にこもって本を読み漁ったり、NPOで広報のお仕事をさせてもらったりという本業以外のインプットの場を意識的に用意していました。

(もちろん今もそういうことを常に意識しています)

そういう不要不急のインプットを意識し始めたのは大学4年生の頃だったのですが、案外これが今に生きているように思っています。

とにかく今はなにかをやろうとした時に形にできるスピードも速ければ、結果を求められる期間も速い時代です。

だからこそ、その戦いで勝つために僕たちはついついそこに最適化してしまうわけですが、実は僕たちはそんな短期の勝負をしているわけではありません。

数ヶ月先の結果を追いつつ、数年先の戦略の準備をしていく。

そういう「老獪さ」を持つことが、現代で上手に立ち回るには大切なんじゃないかと思うのです。

 

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余白の芸術

余白の芸術

  • 作者:李 禹煥
  • 発売日: 2000/11/11
  • メディア: 単行本