ヒソカが敵キャラとして優れている理由
週刊少年ジャンプ史上初、不定期連載が許されているマンガHUNTER×HUNTER(笑)
多分に漏れず僕も大ファンだったりします。
初めて読んだのは小学生の頃だったと思うのですが、キャラもストーリーも魅力的で、当時からどっぷりハマっています。
おそらくファンの人気投票などをしても、上位に食い込んでくるのではないでしょうか。
キャラの魅力に関しては、どこに惹かれるかは人それぞれなのはもちろんですが、僕の中でヒソカの魅力に関してひとつだけ持論を持っています。
今回はそのことについてまとめたいと思います。
サスペンスとしての敵キャラ
僕はヒソカの魅力を構成する要因のひとつに、ヒッチコック的な手法を利用したキャラ作りがあると考えています。
サスペンスの王様ヒッチコックは、自身の本の中で、「見知らぬ二人がテーブルに座ってご飯を食べているだけの映像ならただの日常の風景だが、見ている側にテーブルの下には時限爆弾が仕掛けられていると知らせるだけでそれはサスペンスに変わる」みたいなことを書いています(文言は忘れました)
僕はヒソカというキャラクターに関して、これと全く同じ要素が含まれていると思うのです。
ヒソカの登場シーンと読者だけが知る秘密
物語の始めに登場したヒソカは、その後、主人公たちが「念」というHUNTER×HUNTER世界観の主軸となる能力を習得するタイミングで、再び登場しました。
その時にヒソカの仲間であるマチという女性が戦いを解説するという体でヒソカの念能力を紹介するのですが、これがまさにヒッチコックが説明するサスペンスの手法になっているのです。
ヒソカには①伸縮自在の愛(バンジーガム)という能力と②薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)という2つの能力があります。
これは上に書いた場面で明らかにされています。
しかし、ここで注目したいのは、この2つの能力のうち、②のドッキリテクスチャーは、技の解説をしたマチと読者以外、作中の誰もその能力の存在を知らないのです。
そしてこの場面以降、敵として登場するときや主人公の見方として登場するときなど、ヒソカは登場するたびに、この能力を何度も使って様々な場面を切り抜けていきます。
しかしそのことはそこに出てきた人物は知らないのです。
読んでいる僕たちは、ここに何とも言えないドキドキ感を覚えます。
ヒソカというキャラクターは、物語の序盤で読者だけに隠れた技を明かすことで、以来登場するたびに読者と悪巧みの共犯関係を結ぶことになります。
それにより敵も味方も翻弄されることになるのですが、その読者とヒソカだけの秘密であるドッキリテクスチャーを使って上手くやろうとすることに対して、僕たちはこれでやりきるんだという、何とも言えないスリルを覚えるわけです。
まさにこのドキドキ感はヒッチコックがサスペンスの手法と言ったのと同じ方法です。
このような共犯関係を結んでいるため、僕たちはヒソカが出てくるたびについつい惹かれてしまうし、ドッキリテクスチャーを使うたびに妙な興奮を覚える。
ヒソカの魅力のひとつはこうした、作者の設計にあるのかなと思います。
そして、こういう設計を自然と忍ばせる作者の冨樫さんはやっぱり凄いなと思うわけです。
登場人物のどこに魅力を感じるのかなんて人それぞれですが、僕はヒソカに関して、ひとつこの部分が大きいと思っています。
アイキャッチはHUNT
ER×HUNTER