新・薄口コラム(@Nuts_aki)

こっちが本物(笑)アメブロでやっている薄口コラムから本格移行します。



マーケティングの分析④不都合な真実を公にすることで自社を相対的に持ち上げる無印良品の戦略

自分の商品の価値を説明する時、その方法には①自社サービスの最も強い部分を押し出す絶対評価型と、②他社サービスと比較した強みを押し出す相対評価型があります。

独自の強みを押し出すのが前者、価格や品質など他社と比較して強い部分を押し出すのが後者です。

別にどちらがいいというわけではないと思うのですが、マーケティングという観点でみたとき、創造性があるのは前者、戦略性が高いのが後者であるように思います。

このうち、前者に関してはその商品の独自性やトップのキャラクターが影響する戦略が多く、周囲が参考にしづらい側面があります。

一方で後者のタイプに関しては相対評価であるため、比較的さまざまなものに転用しやすい。

というわけで今回は②の相対評価型のマーケティングについてまとめてみたいと思います。

 

自社のPRで相対的に競合を負かす無印良品戦略

相対評価マーケティングの成功事例として僕の頭に真っ先に浮かんでくるのは、無印良品です。

無印良品は過度な梱包、無駄なモデルチェンジ、派手なプロモーションといった、従来のお店がやりがちな販促方法の全て裏をつく形で市場に現れました。

そして、その無駄のないイメージとリーズナブル(実際にはそうでもないのですが)な値段から、瞬く間に広がっていきます。

僕はこの無印良品がとったマーケティングにかんして、中々エグいものだなあと思っています。

 

確かこれはNewsPicksの対談動画か何かで触れていたことなのですが、無印良品の自社の「無駄な包装、余計なコストをかけていない」というプロモーションの仕方は、結果的に安かろう悪かろうの姿勢やみせかけのパッケージやデコレーションを変えただけで新商品として購買意欲をそそろうとするような従来の小売業界の問題とみてとれるような体質を明らかにするようなものでした。

 

「無駄なデコレーションがあるから値段が上がる、意味のない新商品を作るから環境に悪い。だからうちはシンプルで機能性に特化した商品を作ります」

このメッセージは、裏を返せば視聴者に「従来の小売店は無理やり売りつけるためにこんな悪知恵を用いてました」と言っているようなもの。

つまり、無印良品は自分の商品の魅力の説明を100%ですることで、同時にそれと悟られないように、他者の印象も下げていたわけです。

 

こうした事象はさまざまな場面でみられます。

例えばバーバリーの大量に新品の服を焼却していたことを知らせた広告や、イギリスのボディシャンプーの「私たちは動物実験をしていません」というコピーを用いることで暗に化粧品業界で行われる動物実験の事実とそれによる自社の安全のアピールに成功した企業など。

最近では「環境にやさしい」電気自動車という印象でもって「環境に悪い」ガソリン車を作っているTOYOTAの人気を相対的にかえることとなったテスラの戦略などもそう。

 

僕たちの業界でいえば、「うちは低価格帯で教える個別指導にありがちな学生バイトは一切雇っていません」みたいな文言もそうです。

それを用いることにより、消費者に対してそれとなく、低価格の個別指導は学生バイトなんだというネガティヴな印象を植え付ける事ができるわけです。

 

こうした広報に関して、個人的にはあまり好きではないのですが、すごいなあとおもうところがあります。

それが、直接的に自社のページで悪口を言っているわけではないということです。

言っているのはあくまで普遍的に自社が持つ強みや事実の部分。

だから特定の企業を潰そうというようなものではありません。

しかしむちゃくちゃ戦略が張り巡らされている。

 

今後の社会において、こういうある種したたかなやり方は効果的な場面があるように思います。

というわけで、これは一つ平成の発明のように思ったので紹介させてもらいました。

 

アイキャッチ無印良品大百科

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