大鏡の大宅世継ではないですが、僕はしばしば現代に起こる出来事を未来のために記しておこうみたいな視点で世の中を見たりしています。
さまざまな時代の変革があるタイミングで必要なのは現状批判でも未来予測でもなく、ただただ事実の記述だなあと。
そんな風に思うので、僕はあえて激動の変化と共に忘れ去られてしまいそうなマーケティングの事例をここに書き留めておこうと思います。
という事で記念すべき第一弾はゴールデンボンバーさん。
そもそもヒットのきっかけもビジュアル系エアバンドだったり、音楽の世界にお笑いを持ち込んだりという事でマーケティングセンスがバリバリに光るグループではあるのですが、やはりマーケティングの戦略という観点から見た時に最大の功績と言えるのは「令和」という曲のプロモーションであったように思います。
数年前、年号が変わった日。
そのわずか数時間後にはレコーディングとmvを仕上げて、新曲「令和」を発表しました。
PVを見る感じ、予め新元号のフレーズ以外の歌詞の収録と全ての撮影は済ませており、その場面だけの撮影をする事で実現した戦略であるように思います。
実際に音楽を聴いてみても、新元号の「令和」が含まれるのはサビの冒頭部分だけ。
小節とメロディから考えれば2〜6文字なら(6文字ならギリ)対応できる構成です。
つまり、この曲は時代の変わり目を指すというコンセプトのもとに作成された曲ということができます。
案の定この曲はネットニュースやSNSで頻繁に取り上げられ、夕方以降のテレビでも紹介さらました。
全マーケッターが羨ましがったんじゃないかと思うくらいに秀逸な企画です。
しかもゴールデンボンバーはこの曲を引っ提げて年末のレコード大賞に出演するわけですが、そこでもトップバッターとして、"トップバッター"ならではの活躍をみせます。
それが、歌に合わせてそれぞれの出演アーティストに書道入りの額縁(菅さんが令和を発表した時のモチーフ)を自身の演奏中に配り、大サビの部分でそこに書かれた各組の特徴を示してあり、アーティスト紹介を兼ねているという演出。
自身の楽曲の特性を活かし、他者を紹介するなんてほうほう、僕はゴールデンボンバー以上のものを見たことがありません。
おかげでその後の場の空気がどことやく和らいでいるように感じた事を思い出します。
そんなわけでずば抜けたマーケティングセンスを持つゴールデンボンバー。
時代の変わり目だからこその戦略ももしかしたら少なくないかもしれませんが、さまざまな気づきがあるチームだと思っています。